2015/03/05

群馬/原発事故の実態伝えたい 避難中の丹治さんが写真など展示



    
2015年3月5日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150305/CK2015030502000172.html

 いまだに県内で千三百人以上が避難する東京電力福島第一原発事故から間もなく四年。福島県から前橋市に避難中の丹治杉江さん(58)が、原発事故が起きたチェルノブイリ(ウクライナ)や福島で撮影した写真などを並べた展示が四日、前橋市上泉町の桂萱(かいがや)公民館で始まった。丹治さんは「県内の被災者は当初より忘れられつつある。あらためて原発事故の実態を伝えたい」と意欲を見せている。 (菅原洋)
 丹治さんは伊勢崎市出身で、東日本大震災時には福島県いわき市に住んでいたが、現在は夫と一緒に自主避難している。
 丹治さんは二〇一二年五月に約一週間、「被災者として、将来の福島を考える参考にしたい」とチェルノブイリを訪問。放射性物質を抑えるためにコンクリートで覆った原子炉などを数十メートルの近さから見学し、作業員や住民と交流した。
 丹治さんによると、事故当初の収拾作業により、放射性物質の影響で死亡した作業員の妻は「子どもに内臓疾患がある」と明かしたという。
 展示している現地の写真は六枚。原子炉や、チェルノブイリ博物館に展示されている、事故後に足が八本の奇形で生まれたという犬のミイラなどを説明文を付けて紹介している。
 福島県内の写真は二〇一三~一四年、丹治さんと知人の二人が第一原発がある双葉町や、近くの富岡町などで撮影した約二十枚。倒壊したままの住宅、津波が押し寄せて荒れた土地、仮設住宅など、復興が進まない現状が伝わる。
 丹治さんは「自主避難のため、東京電力からの補償は全部で十二万円。震災から四年を前に、親類がいる福島に帰りたいとの思いが募る。県内の被災者は故郷への思いと、戻れない現実の間で、先行きを悩む人が多い」と顔を曇らせた。
 展示は入場無料で六日まで。地元住民による桂萱平和委員会などが主催し、戦後七十年に合わせ、前橋空襲や原爆の写真なども並べている。









0 件のコメント:

コメントを投稿