2016年3月11日 毎日新聞 地方版
http://mainichi.jp/articles/20160311/ddl/k34/040/547000c
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で5年を迎えるのを前に、震災後に県内に避難した人たちのグループ「アスチカ」(三浦綾代表)は、会員を対象にしたアンケート結果を公表した。原発の再稼働や長引く避難生活よる経済的な困窮、成長した子どもの進路への不安が目立ち、被災者が抱える苦しみを浮かび上がらせている。【加藤小夜】
2012年10月に発足したアスチカは、現在116世帯346人が会員。交流会や勉強会などのイベントを通じ、お互いの経験や情報を共有する活動を続けている。アンケートは2月に実施し、会員の約半数に当たる63世帯から回答があった。
「今、大変なこと、つらいこと」(複数回答あり)では、「原発の再稼働」が31世帯(49・2%)と最多を占め、「避難元の親、親戚、友人になかなか会えない」29世帯(46%)、「生活費が足りない」21世帯(33・3%)と続いた。
また「今後の不安」は、「自分の健康が保てるか」33世帯(52・4%)が最も多かった。続いて「家族の健康が保てるか」31世帯(49・2%)が挙がり、5年の経過で避難元に残るなどした高齢の家族を心配する現状がうかがえる。また、当時幼かった子どもが中高生となり、学費や進路選択に対する不安から「子どもの教育・進路」も21世帯(33・3%)と目立った。
「自分を『避難者だ』と言うことに抵抗があるか」の設問には「とても抵抗がある」と「少しある」を合わせると32世帯。一方「あまりない」と「全くない」の合計は26世帯となり、ほぼ二分した。
抵抗があるとした回答者は、「自主避難者は生活にゆとりがあると周囲から見られている」「関東からの避難で肩身がせまい」などとした。一方、抵抗がないとした理由では、「原発事故が忘れられないようにするのが私の務めであり、発信したい」「理解者が周りに多いから」などが挙がった。
心境の変化では、「あきらめのような気持ちが強くなった」と「楽しいことをしようという気持ちになってきた」がそれぞれ19世帯(30・2%)で同数だった。
アンケート結果は同会のホームページで公開している。佐々木紀子副代表(44)は「子どもの教育など5年たったからこその課題も出てきた。周囲に受け入れられていると感じれば避難者も前向きになれる。アンケート結果を通じて市民の理解が広がれば」と話している。
0 件のコメント:
コメントを投稿