2016/03/10

原発事故避難住民「帰れないと思う」38% 共同調査

2016年3月10日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASJ3251FRJ32UGTB00P.html?rm=408

朝日新聞社と福島大学の今井照(あきら)教授は、東京電力福島第一原発事故で避難した住民に共同調査をした。38%が事故前に暮らしていた地域に「もう帰れないと思う」と答えた。5年間に及ぶ避難生活で、帰還への希望が薄れている実態が浮かんだ。

調査は5回目で、これまで調査に応じた対象者398人にアンケートを送り、21都府県の225人が答えた。住まいの内訳は、仮設住宅が65人(29%)で最も多く、新たに購入した家が52人(23%)、借り上げ住宅が47人(21%)と続く。事故前の自宅に戻った人も36人(16%)いた。

避難中の人に帰還の意向を聞くと、「元のまちのようになれば帰りたい」が41%で最も多かった。「元のまちに戻らないから帰りたくない」が25%で続いた。

何年たてば帰れる環境になるかについては「もう帰れないと思う」が38%。「5年以内」が22%、「10年以内」が17%と続き、「21年以上」も14%いた。

帰還の見通しについての回答

今の気持ちを聞いたところ、「がんばろうと思う」と答えた人が前回調査(2013年)の55%から32%に減った。「気力を失っている」「怒りが収まらない」はともに18%で、いずれも前回より増えた。

「避難先の地域の人たちと話をするようになったか」という問いには、31%が「ほとんど話をしない」と答えた。「避難していることを言いたくないことがあるか」には、38%が「ある」と答えた。

自由記述では、東電からの賠償を得ることで周囲の視線が気になるといった回答が目立った。「避難民がいる事実すら知らない人がたくさんいる。一生懸命、説明しても理解してくれず、気まぐれでよそで生活しているぐらいに位置づけられてしまうことが悲しい」(34歳女性)との答えもあった。(根岸拓朗、伊沢健司)



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