2016/03/09

先見えぬ支援策 不安とストレス抱え生活

毎日新聞2016年3月9日
http://mainichi.jp/articles/20160309/k00/00m/040/168000c

福島県は、「自主避難者の帰還を促す」として避難先の住宅の無償提供を2016年度末で打ち切る。支援策として17年度以降の2年間、低所得者や母子避難者を対象に家賃の一部を補助するが、放射線量が事故前のレベルに戻らない中、子育て世代から不安の声が上がっている。

「帰還者が増えると、見かけだけの復興が進んだように見られてしまう。帰還しない自主避難者の実態が見えなくなる」。福島県南相馬市から京都府木津川市に中学生の娘2人と自主避難している福島敦子さん(44)は危惧する。放射線の影響を懸念して11年4月、小学生だった長女亜美さん(14)=中学3年、次女嵯都(さと)さん(13)=同1年=と避難した。現在、京都府に紹介された築30年を超える教員住宅に住む。母子家庭で、財団法人の嘱託職員として働く福島さんが家計を支える。

12年秋、福島さんはストレスが原因とみられる消化器の病気で手術し、健康不安を抱えている。亜美さんの高校進学を控えており、住宅費がかかると生活は厳しくなる。

福島さんは、国と東京電力に対する損害賠償請求訴訟(京都地裁)の原告団共同代表を務める。他の原告と接し、自主避難者は経済的にも精神的にも疲れ切っていると感じた。「時給800円ほどのパートで子育てしている母子避難者も多い」と話す。「多くの人が不安をのみ込んで暮らしている。決して普通の生活ではない」と訴えている。【柳楽未来】


0 件のコメント:

コメントを投稿