2016/03/10

山梨に「永住したい」57% 県内避難者アンケート/山梨

2016年3月10日 産経新聞
http://www.sankei.com/region/news/160310/rgn1603100065-n1.html

あす11日、東日本大震災の発生から5年を迎える。東北3県や茨城県からの避難者の相談に応じ、地元の支援組織を紹介してきた「東日本大震災・山梨県内避難者と支援者を結ぶ会」(結ぶ会)のアンケートで、避難者の57%が「山梨に永住したい」と回答したことが分かった。だが、災害救助法で県内のアパートなど「みなし仮設住宅」に住めるのは来年3月末までという。山梨を“第二の故郷”に決めた人たちの「自立」「支援」が、新たな課題となる。

県防災危機管理課によると、平成23年3月末、原発事故で避難指示を受けた福島を中心に、計969人が県内各地に避難していた。

その後、少しずつ帰還が進み、直近1年間は680人台でほぼ定着。9日現在では、21市町村に計685人が生活している。

福島県からの避難者が582人(約85%)と最も多く、次いで宮城県54人、茨城県32人、岩手県9人、その他8人-となっている。

結ぶ会は23年9月に活動をスタート。交流のイベントを重ね、生活などの相談を受け、市町村の窓口やボランティア団体などを紹介してきた。

同会はこれまで4回、アンケートを実施、避難者の思いや要望を探ってきた。このうち将来の展望では、原発事故の避難指示で福島から来た人が多かった23年12月には「一時避難」「将来帰郷」が計42%と多数を占めた。その後は自主避難の比率が高まり、「永住」希望者が26年12月に49%、昨年11月には57%に達した。

永住希望者の悩みが「住まい」だ。県防災危機管理課や福島県避難者支援課などによると、現在は公営住宅の家賃免除や災害救助法によるアパートなどの借り上げ(みなし仮設住宅)で経済的負担がない。だが、来年3月にこうした制度が原則として終了。家賃負担が発生する見込みだ。

県防災危機管理課の山下宏課長は「災害救助法の住宅支援は帰還が大前提」として、29年度以降に県独自の住宅支援を行う考えはないとしている。

人口減対策に臨む後藤県政にとって、山梨と縁ができた数百人の「永住希望」は無視できない規模だが、「永住後に生活面で心配があれば、通常の相談・支援で対応する」(山下課長)と慎重だ。

結ぶ会の藤原行雄事務局長は「全国的には希望する避難者の永住を支援する地域もある。柔軟な対応も必要では」と指摘している。

0 件のコメント:

コメントを投稿