2016/03/07

被災者の現状知って 関西に避難、自助グループが冊子 /大阪


2016年3月7日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160307/ddl/k27/040/252000c

東日本大震災から5年を前に、東京電力福島第1原発事故で関西に避難する人で作る自助グループ「Thanks&Dream」(森松明希子代表)が、メンバーの手記などをまとめたブックレットを作成した。「被災者の現状を世界中の人にも知ってほしい」と、英語版も掲載している。【長尾真希子】

東日本大震災避難者の会「Thanks&Dream」の森松明希子代表
=大阪市中央区で、宮武祐希撮影
タイトルは「福島原子力発電所事故からの避難者たちによるスピーチ、手紙、そして避難手記 〜A speech, letters and memoirs by evacuees from Fukushima〜」。大阪市や兵庫県西宮市などに母子避難した3人の女性による手記や手紙の他、仙台市で昨年開かれた「国連防災世界会議」で森松代表がしたスピーチなどを収録した。また、昨年9月に英ロンドンで開かれた福島原発事故で苦しむ人々に寄り添うアートイベントの会場で配った英語版も掲載した。

表紙には、被災当時、1歳の息子を連れて大阪に避難した30代女性の、福島県須賀川市にある自宅裏庭の写真を掲載。放射能汚染された樹齢100年の大木を切り倒したものの、処分先がなく庭に放置されている風景で「帰りたくても帰れない」現状を訴える。

「世界中の人に」
編集を担当した森松さんも乳幼児2人を連れ、福島県郡山市から大阪市へ母子避難している。「夫との二重生活や子どもたちの健康被害への不安など避難者が抱える問題は解決されていないのに、忘れ去られ、風化が進んでいると感じる。日本だけでなく、世界中の人に避難者の現状を知ってもらうことで、次の災害への備えとなれば」と話す。

同会は、2014年9月に発足。主に「おはなし隊」と「ブース隊」が、イベントなどで避難者の思いを話したり、展示する活動をしており、今までに約200人が参加した。

冊子は1部500円。売り上げは、今後多言語に翻訳、普及させるための費用に充てる。問い合わせや注文は、メールで件名を「ブックレット希望」とし、同会(sandori2014@gmail.com)へ。

また同会は11日まで、大阪・梅田で東日本大震災5周年企画展を開いている。会場では避難者らの声や川柳、子どもたちの作品などを展示しブックレットも販売するほか、連日午後1〜3時に避難者を囲む座談会もある。会場は阪急三番街南館地下1階のSMBCコンシューマーファイナンス梅田お客様サービスプラザ。無料。午前10時〜午後6時。

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