2016/05/09

【報道まとめ】川内村の避難指示解除、6月14日

福島第1原発事故 川内・避難指示解除、国「来月14日」方針通り 住民懇談会、完全賠償の要望強く /福島

2016年5月9日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160509/ddl/k07/040/302000c

川内村の荻・貝ノ坂両地区の避難指示解除をめぐる住民懇談会が8日、同村であり、国は6月14日に指示を解除する方針を示して理解を求めた。住民からは 森林除染の徹底などの要望のほか、賠償金の減額を危惧する意見も出された。国の原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長は終了後、報道陣に「森林除染など の課題には引き続きしっかり取り組んでいくが、日程を変更する必要はないと思う」と語り、当初方針を踏襲する意向を示した。【大塚卓也】

両地区は村の主要県道から5キロ前後の山あいにあり、住民は19世帯52人。懇談会には16人が出席し、自宅裏に迫る山の森林除染や、仮置き場の早期撤 去を求めた。19世帯のうち17世帯は避難指示を来春まで先延ばしするよう求める要望書を村議会に提出しており、懇談会で早期解除を求める声は出なかっ た。

目立ったのは「完全賠償」を求める意見だった。震災から6年未満で規制が解除されると、不動産などの財物に支払われる賠償金が月単位で減額される。だが、国や村から明確な回答はなかった。

災害公営住宅に住む荻地区の女性(81)は「避難指示が解除されても、畑で取れる野菜や山菜や川の水で自給自足していた生活は成り立たない。賠償は(6 年分)全額いただいてもいいのではないか」と質問。貝ノ坂地区の50代の男性も村に対し「100%の財物賠償が支払われるよう国に要望してもらいたい」と 求めた。

元々、買い物施設や医療機関がない両地区の住民は、隣接する富岡町や大熊町が生活圏だった。両町は放射線量が高い帰還困難区域と居住制限区域が混在しており、避難指示が解除されるのは早くても来春以降。医療機関などの再開メドは立っていない。

両地区の住民は現在、高齢者は村の中心にある災害公営住宅や仮設住宅で暮らし、若い世代は仕事を求めて都市部などに移り住んだ例が多い。戻ることを希望 する高齢者も自宅の修築などはこれからだ。賠償金が減額される分だけ今後の生活再建が難しくなってしまうと心配しているのが実情だ。


夢の実現、二人三脚で 吉田さん夫婦、古里離れ新天地で観光牧場

川内村下川内貝ノ坂の吉田和浩さん(52)と睦美さん(28)夫婦は、建設業を営む傍ら、将来は自宅隣の傾斜地を生かして観光牧場を経営するつもりだっ た。だが、放射線量の高い山林に囲まれた古里では難しい。最近、田村市船引地区に3ヘクタールの牧草地を購入し、新天地で夢の実現を目指すという。

人の姿がない山里に「メエー」とヤギの鳴き声が響く。和浩さんと睦美さんは震災直後から、郡山市の仮設住宅から車で約1時間半かけて自宅に通い、隣の牧場で飼う数十頭のヤギや羊にエサを与え続けてきた。

原発事故で家畜を旧警戒区域から持ち出すことは禁止され、多くの畜産農家は動物を安楽死させざるを得なかった。和浩さんは「震災後に胃がんで死んだおやじがかわいがっていたこいつらを、殺すことはできなかった」と話す。

経営する会社が送電線の復旧などを請け負い、旧警戒区域に立ち入れる許可証を持っていたことが幸いした。

もう一つの動機が観光牧場の夢だった。貝ノ坂は太平洋を見渡せる富岡町・大倉山のハイキングコースの途中にある。和浩さんは「連休で訪れる子どもたちが動物に触れ合って楽しめる場所ができたらいい」と考え、自ら敷地の除染をし、ヤギたちの囲いを作った。

一時は保有するキャンピングカーを事務所代わりにしていた建設会社は、震災翌年に避難先に近い三春町に事務所を建て、最近、郡山市に自宅を購入した。 「5年もたてば、社員も全員入れ替わるし、避難先に生活基盤ができてしまう。子どもをいつ呼べるか分からない古里にこだわっていられない」。和浩さんはそ う語った。



福島・川内村 6月14日の避難指示解除受け入れへ

2016年5月8日 産経ニュース
http://www.sankei.com/affairs/news/160508/afr1605080013-n1.html

政府の原子力災害現地対策本部は8日、福島県川内村で住民説明会を開き、東京電力福島第1原発事故で村の一部地域に出ている避難指示を6月14日に解除する考えを伝えた。終了後、遠藤雄幸村長は記者団に「先延ばしの材料は見当たらない」と述べ、解除の受け入れに前向きな姿勢を示した。

説明会には住民15人が出席した。解除に理解を示す声の一方、「森林除染が不十分だ」「(除染廃棄物の)仮置き場の管理を徹底してほしい」といった意見が出た。対策本部の後藤収副本部長は「放射線量への不安が帰還の障害になっている。そういった声には個別に対応していきたい」と応じた。川内村は、一部地域に避難指示解除準備区域が残る。同区域の人口は5月1日現在、19世帯51人。帰還に向け、夜間も含め長期滞在できる準備宿泊に1世帯2人が登録している。


福島県川内村で開かれた一部地域の
避難指示解除についての住民説明会で、
あいさつする遠藤雄幸村長=8日

















「森林除染不十分」不安消えず

2016年5月9日 河北新報
ttp://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201605/20160509_63025.html

東京電力福島第1原発事故に伴う福島県川内村の荻・貝ノ坂2地区の避難指示について、政府の原子力災害現地対策本部は8日、住民説明会を村内で開き、6月14日に解除する意向を伝えた。住民から「森林除染が不十分だ」などと反発の声が上がったが、遠藤雄幸村長は国の方針を受け入れる考えを示した。

説明会には2地区の住民15人が出席。対策本部の後藤収副本部長は空間線量が低下し、商業施設が開業するなどインフラ復旧がある程度進んだことを解除の理由に挙げ、「帰還は強制ではない。要望に応じて除染や土壌調査を行っていく」と理解を求めた。

住民からは森林除染の実施や除染廃棄物の早期搬出を求める声が相次いだ。郡山市に避難する会社経営吉田和浩さん(52)は「解除で終了ではなく、信用できる調査や除染を行ってほしい」と訴えた。

遠藤村長は説明会終了後、解除時期の延期などは求めない姿勢を改めて示した。

2地区の避難指示対象は19世帯51人。国の方針通り解除が進めば、村内の避難指示は全て解除されることになる。

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