2016/05/08

宮城/ 農産物直売 回復基調店舗も

2016年5月8日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201605/20160508_15016.html

福島県境と接する丸森町内の農産物直売所が、東京電力福島第1原発事故の風評被害と闘う。今も影響は続くが、商品の安全確保策を進め、事故前の販売水準に戻す直売所も出てきた。

同町大内の「いきいき交流センター大内」では毎日、東北大が研究用に設置した非破壊式放射能測定器で野菜を測る。測定した商品から売り場に並べられる。

センターは、放射性セシウム濃度の出荷制限値を自主的に国基準の半分の1キログラム当たり50ベクレルに定める。2012年度に事故前の3割減と落ち込んだ売り上げは15年度、6220万円と事故前の水準を上回った。

運営する大内活性化施設管理組合の塩沼邦夫組合長は「測っているから安心という意識が客に定着してきた」と笑顔を見せる。

町中心部の物産館「八雄館」は、生産者に町の放射能測定器で商品を測定してもらっている。事故後の11年7月の開館当初は客足が鈍かったが、観光バスが乗り付けるようになった。安保和子店長は「昨年ごろから客が放射能のことを言わなくなった」と振り返る。売り上げは開館時の2.4倍、6000万円に迫る。

町によると、町内の直売所の総販売額は10年度を100%とすると、12年度は75.5%に落ち込み、14年度は110.3%になった。事故後に営業を始めた八雄館などがあるためで、放射線量が高かった地区では依然、苦戦が続く。

耕野地区の「あがらいん伊達屋」は、12年度の売り上げが以前の2割に下がった。特産のタケノコの出荷が14年度に再開され15年度は6割にまで戻ったが、原木シイタケや山菜の規制解除はまだ。谷津とき子代表は「事故前の水準に戻らないかもしれないが、生産者の努力が報われる日が早く来てほしい」と願う。

今もタケノコが出荷できない大張地区にある「大張物産センターなんでもや」も売り上げ半減が続く。それでも、佐藤美幸店長は「事故で客足は落ちたが、特産品があればリピーターを確保できる。いつまでも風評被害のせいだけにしてられない」と前を向く。

〔メ モ〕 丸森町内の農産物直売所9カ所と農村レストラン「味の里」、食堂「蔵っこ」の11店は29日までスタンプラリーを開催中。5カ所分を集めると抽選に参加でき、精米30キロなどが当たる。全店回った人は野菜など3点を選べる抽選にも参加できる。連絡先は町農業創造センター0224(72)3028。

新鮮な野菜を手に取る買い物客
=丸森町大内の「いきいき交流センター大内」


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