2016/05/04

布絵本でつづる福島の詩 避難先で自費出版、共感広がる/滋賀

2016年5月4日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ467D26J46PTJB016.html 

東京電力福島第一原発の事故後、福島県から大津市に避難した青田恵子さん(66)は、3人の娘の古着を切り貼りした布絵に自作の詩を添え、遠く離れたふるさとへの思いを表した。作品は共感を呼び、自費出版本は増刷を重ねている。

福島県南相馬市出身。原発事故後、宮城県を経て大津市に避難した。寂しさから逃れるように段ボール箱から古着を取り出し、趣味の布絵をつくる。はがきに縮小コピーして福島に残る友人、知人に送ってきた。
布絵の作品と青田恵子さん=大津市
かつてのふるさとの風景に詩を添えた作品は100を超えた。

かき氷店の周りで子どもたちがはしゃぐ絵には「3・11が近づくと心がだんだん尖(とが)っていく 錐(きり)のように」。親と見上げる満月を指さす子の絵には「死んでいった家畜も住処(すみか)もそのままにして」と添えた。



評判は口コミで広がり、作品は京都の寺や大学祭の復興支援ブース、脱原発の講演会場で展示された。2014年9月には自費出版の作品集も出した。「詩 布絵 短歌 小さな窓辺から」(A4判28ページ、1千円)。7回増刷を重ね、700部以上売れた。

出版を手伝った大津市の友人の山下愛子さん(66)は「この作品が世に出ないのはもったいない。多くの人に見てもらって、自分の問題として考えてもらえたら」と言う。

4月14日、東日本大震災以来という最大震度7の熊本地震が起きた。青田さんは稼働中の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が「安全に運転している」というテレビのテロップが気になる。「事故が起きてからでは遅い」と思う。

自宅がある南相馬市原町区は除染作業中。「まだまだ不安があって、帰れません」。ふるさとを思って布絵をつくり、詩を書く日々が続く。

自費出版本の問い合わせは青田さん(080・6049・9882)へ。(島崎周)



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