(体験学習は確かに教育上重要だと理解します。これからの子どもたちに原発事故被害について考えて欲しいとは思います。けれども、被ばくのリスクを押しても、この内容が必要なのか、だとすれば、放射能についての学習はどのようにされているのかが問われるのではないでしょうか。子ども全国ネット)
2015.6.1 産経新聞
http://www.sankei.com/region/news/150601/rgn1506010049-n1.html
東日本大震災被害について考え、被災者らと語らうことで生きる意味を学ばせようと、松戸市立六実中学校(井上四志郎校長)では今月、3年生約180人が被災地の岩手県田野畑村などを訪ね、地元民家に宿泊する修学旅行を行う。3年生はこれまで、被災をテーマに校外学習や林間学校の体験を積んできた。余震などを不安視する保護者への説得を経て同校が進めた「体験学習3カ年計画」。被災地の今を知る教育が若者の成長を後押しする。
「こんな人々がいて、場所がある…。被災地と被災者に触れ、自分が生きる意味を感じ取ってほしいと、3年計画を立てた」と六実中3年の学年主任、榎本正文教諭(56)は話す。
平成25年4月、榎本教諭が同校に赴任して衝撃を受けたのが、何を尋ねられても「ウザい」のひと言で片付け、人との接し方が乱暴な生徒らの姿だった。
中学を出れば自己責任がより求められる。困難を乗り越え、他人を思いやれる自立した人間作りの必要性を感じた榎本教諭は、同校が各学年で行う校外体験学習の工夫を思いついた。
1年生は社会見学、2年生が林間学校、3年生が修学旅行。3年間の体験学習を貫くテーマとして「被災」を据えた。25年秋には校長や同僚らの賛同も得、受け持ちである当時の1年生全員に話した。
この生徒らは、まず1年の校外学習で徒歩で同校から約5キロの「21世紀の森と広場」へ。大震災時に多くの人が東京から千葉まで歩いて帰宅した苦労を実感させた。野外で焼きそばを作るなど、楽しみながらも食料調達を想定した遠足だった。
2年に進級した昨年9月の林間学校では、被災者の避難先となった福島県の南会津町を訪問。最低限の物資のみとの想定で非常食の炊き出しを行い、戸外に作ったテントに宿泊。いわき市の震災復興現場では、同市立勿来第二中の在校生やOBらの被災体験談を直に聞いた。
今月の修学旅行では、三陸鉄道震災学習列車に乗って田野畑村に入り、民家約60戸に3~5人ずつ分宿して被災地の人々と交流する。
林間学校や修学旅行実施までには紆余(うよ)曲折も。事前に開かれた保護者会で、一部保護者から「放射能汚染は?」「余震が続く場所に行かせるのか」「京都・奈良旅行という、最上級生恒例の楽しみを奪うな」などと批判が噴出。「民間宿泊させない」「不参加」との主張も出た。学校側は生きた教材であることを、反対する保護者に個別に説得し全員参加にこぎ着けた。
複数の保護者は「不安がないわけではない」としながらも「京都や奈良はいつでも行ける感覚だが被災地は別。子にとってよい経験と信じて送り出すことにした」と理解を示す。
井上校長(56)は「林間学校後、生徒たちは人の話をしっかり聞く姿勢が出て来た。六実中のために何ができるか、被災者と語り合った体験も交え、自分の言葉で下級生に語れるようにもなった。修学旅行がよりよい経験になるはず」と期待を込めて話している。
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