http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150606/CK2015060602000160.html
東京電力福島第一原発事故の影響で避難生活を送る人々の多くが、近い将来、現在入居している住宅に住めなくなる可能性がある。栃木県は事故後、福島県の要請を受け、強制避難者と自主避難者の区別なく、民間のアパートなどを借り上げ、無償で提供してきた。しかし、こうした住宅支援がいつまで保障されるかは決まっておらず、県内の避難者は不安な日々を送っている。 (大野暢子)
栃木県のまとめでは、県内で生活する避難者は四月現在で二千八百九十一人。このうち九割を超える福島県からの避難者をめぐっては、住宅提供の期限が当初、最長二年間とされたが、福島県側の意向で延長を重ね、今は一六年三月末となっている。
賃貸契約の在り方を定める借地借家法によると、賃貸住宅の契約を更新しない場合、最低でも半年前までに当事者に知らせる必要がある。しかし、入居期限の一六年三月まで十カ月を切った現在も、翌四月以降の方針は未定。法律上、住宅の提供期限は一年を超えない範囲でしか更新できないため、翌年も住み続けられるかどうかが毎年、被災者の懸念材料になっている。
福島県の担当者は「一六年四月以降の方針については現在、国と協議中だ」と理解を求める。栃木県の担当者は「住宅支援は被災県側の要請に基づくもので、栃木県の意思は反映できない。方針が決まり次第、混乱のないように被災者へ周知したい」と見通す。
福島県が二月、福島県内外の避難者に実施したアンケートによると、回答した一万八千七百六十七世帯のうち、62・1%が現在も仮設か借り上げ住宅で生活する。住居をめぐる要望で最多だったのは「入居期間の延長」で48・7%だった。
将来的にどこで生活したいかについては、福島県内と福島県外で、回答の傾向が分かれた。福島県内に避難中の世帯では、「被災時の居住地と同じ市町村に戻りたい」が37・3%で最も多かったのに対し、福島県外では「現在の避難先に定住したい」が24・2%と最多で、「福島県内に戻りたい」が19・8%だった。
自主避難者への住宅提供が、今から一年十カ月後の一七年三月で打ち切られるという一部報道もある。こうした危機感から、福島市から宇都宮市に家族で自主避難し、住宅の提供を受ける主婦(49)は今年三月、他の被災者とともに住宅支援の延長を求める署名活動に参加した。
この主婦は「一口に自主避難といっても、福島県で職や家を失った人は多い。強制避難を余儀なくされたのに、最近の避難区域の見直しで、自主避難の立場に変えられた人もいる」と指摘。「東電の賠償金を受け取れない自主避難者にとって、住宅支援は命綱。避難者を十把ひとからげにして、支援を打ち切るのはやめてほしい」と切実に語った。
栃木県内の避難者の状況に詳しい宇都宮大国際学部の清水奈名子(ななこ)准教授は「原発事故の収束時期や放射能汚染のリスク評価は、専門家の間でも意見が割れており、帰還するかどうかは避難者の判断に委ねられるべきだ」と強調。「原発事故に責任のない避難者に対し、避難先での支援を先細らせて帰還を促すなど論外だ」と国を批判した。
<避難者への住宅提供>
栃木県などの自治体が、福島、岩手、宮城3県の要請を受け、「災害救助法」に基づき実施している。民間住宅を借り上げ、避難者に提供するのが一般的。家賃や部屋の広さには条件があり、光熱費や水道代は入居者の自己負担。家賃や敷金はいったん受け入れ先の県が肩代わりし、後に被災県に請求する。最終的に国が費用を負担するため、支援方針には国の意向が大きく反映される。
東京電力福島第1原発事故で生じた放射性物質を含む指定廃棄物の処分場建設問題で環境省は5日、県内で2回目となる県民対象の「環境省と考える 指定廃棄物の課題解決に向けたフォーラム」を22日午後6時半から宇都宮市内で開くと発表した。
フォーラムでは前回同様に▽指定廃棄物とは▽指定廃棄物の現状と処理方法▽候補地の選定プロセス--などについて担当職員が説明、参加者との質疑応答を実施する予定。
5月14日の前回は候補地の塩谷町が対抗して同じ時間にシンポジウムを開催。フォーラムに約180人が参加したのに対し、シンポジウムには約1100人が集まった。
会場は前回と同じ県総合文化センター(宇都宮市本町)。定員400人(要予約)、入場無料。参加申し込みなどの詳細は8日午前9時半から環境省の専用ウェブサイト内(https://shiteihaiki.env.go.jp/registration/tochigi.php)で公表される。【田内隆弘】
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