2018/07/16

7/17(火),7/19(木),7/22(日)東京/証言ドキュメンタリー「福島は語る」上映会




(市民科学研究室よりお知らせいただきました。 子ども全国ネット)
https://www.shiminkagaku.org/201807_fukushima_film/

来る7月17日(火)、19日(木)、22日(日)に、証言ドキュメンタリー「福島は語る」の上映会を市民科学研究室の主催で実施します。







2時間51分の映画上映のあと、5分ほど上記助成活動の報告をさせていただき、さらに5分ほどアンケートをお書きいただくことにご協力ください。
多くの方々のご来場をお待ちしております。
証言ドキュメンタリー 福島は語る 【短縮版】(2時間51分)
制作:ジャーナリスト・記録映画監督 土井敏邦

この活動は、「立正佼成会一食(いちじき)平和基金」及び「ふくしま地球市民発伝所」による「一食福島復興・被災者支援」事業助成プログラムにより「福島県からの避難を理解するための福島県外での中学・高校・大学生向け教育(ワークショップ)プログラムの開発と実践」の一環として行うものです。
日時:7月17日(火)、7月19日(木)
   いずれも18時30分から21時40分(開場は18時00分、上映開始は18時35分)
   7月22日(日)
   14時00分から17時10分 (開場は13時30分、上映開始は14時05分)
場所:光塾COMMON CONTACT並木町(渋谷駅新南口から徒歩1分)
参加費:無料
定員:40名
お申込み:事前に予約申込をお願いします→こちらから
原発事故から7年が過ぎました。 日本は、2020年の東京オリンピックに向けて浮き足立ち、福島のこと は「終わったこと」と片付けようとしているように感じます。
しかし、原発事故による放射能汚染により人生を変えられてしまった十数万人の被災者たちの傷は疼き続けています。100人を超える被災者たちから集めた証言を丹念にまとめました。その‘‘福島の声”を、忘却しつつある日本社会に届けたいのです。【土井敏邦】
内容紹介(※は【完全版】(5時間30分)のみです。また短縮版では各章の時間が完全版よりいくらか短くなっています。)
第一章「避難」
「自主避難」をめぐる家族間の軋礫と崩壊、他県で暮らす避難者たちと福島に残る人びととの乖離、避難生活の厳しさ と苦悩に引き裂かれていく福島出身者たち。
第二章「仮設住宅」
4畳半ー間での独り暮らす孤独感と先が見えなしロミ安。「避難解除」され「仮設」を出ても、大家族が共に暮らす元の 生活に戻れない絶望感。
第三章「悲憤」
「補償」の負い目と“生きがいのの喪失。「帰村宣言」で補償を打ち切られた生活苦と先の見えない不安と病苦。“自死”の誘惑が脳裡を過ぎる。
第四章「農業」
「福島産だから」と避けられる農産物。福島を想いながらも他県産を求める自責と葛藤。農家は“農業と土への深い愛着”と、経営破たんの危機の間で揺れ動く。
第五章「学校」
差別を恐れ「原発所在地」出身だと名乗れない子どもたち。生徒数の激減で学校消滅の直面する大熊中学校の教師と生徒たちの闘い。
第六章「原発労働者」(※【完全版】のみ)
下請けの建設会社から搾取される労働者。形だけの「除染」。現場から見えてくる原発産業の構造。終わりが見えない「廃炉作業」を担う労働者たちの犠牲は今も続く。
第七章「汚染」(※【完全版】のみ)
空気中の放射線量を目安に「帰還」政策進める国。 一方で7年を経ても「放射能管理区域」以上の土壌汚染が各地に広がる。元「原発労働者」や 民間の測定者が実証する汚染の現実。
第八章「2つの原発事故」(※【完全版】のみ)
福島の原発事故の17年前にチェルノブイリを訪ね、福島と重ね合わせた詩人、若松丈太郎。原発建設が象徴する日本社会の差別の構造を読み解く。
第九章「抵抗」
水俣病と同様に被害を隠蔽し矮小化する国家の体質。福島原発に象徴さ れる根強い「東北差別」と“構造的な暴力”。事故の背後でうごめく国際的な原子力推進勢力の存在。それらと闘う反原発運動のリーダーたちの“抵抗”。
第十章「喪失」
「帰還困難区域」となった飯舘村・長泥で、家と農地、石材工場を失った住民。追し打ちをかけるように、将来に絶望した跡取り息子も“自死”で失う。原発事故で「人生を狂わされた」被災者の慟哭。
最終章「故郷」
「住民の一人ひとりの半生を全てを知る」故郷。「汚染されても美しい」故郷。原発事故が福島人に突き付けた“故郷” の意味。
土井敏邦さん プロフィール
ジャーナリスト、イスラエル・パレスチナ問題を中心に取材活動。ドキュメンタリー映画「沈黙を破る」「“私”を生きる」「異国に生きる」「「飯舘村―放射能と帰村―」監督。著書に「アメリカのユダヤ人」「沈黙を破る」「パレスチナの声、イスラエルの声」(いずれも)岩波書店)など。

2018/07/15

【報道リンクまとめ】7月14日(土)・15日(日)

【7月14日(土)】

事故から7年、語る 福島支援講座で渡部さん/富山:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180714/ddl/k16/040/238000c

撤去反対25市町村 慎重姿勢目立つ モニタリングポスト:福島民報 http://www.minpo.jp/news/detail/2018071453248


【7月15日(日)】

避難者支援の課題共有 福島市で「県被災者生活支援調整会議」:河北新報
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201807/20180715_71036.html

OurPlanetTVより/集計漏れ11人〜福島県の甲状腺がん209人へ

(7/10に各紙で報じられた集計漏れの詳細報告です。OurPlanetTVサイトより。詳細資料、動画はこちらから。http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2275 子ども全国ネット)



 
東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県の甲状腺検査のあり方や検査結果の評価を行う甲状腺評価部会の第10回目の会合が8日、福島市内で開催された。部会では県が公表してきた集計から漏れていたがん患者が少なくとも11人いることが、報告された。
 
検査を実施している福島医大によると、同大付属病院で2011年10月~17年6月に甲状腺がんの手術を受けた人を調べたところ、がんの手術を受けながら、集計から漏れていた患者が11人いた。このうち、検査を受けず、自覚症状などで医大を受診していた人が3人、2次検査の対象でありながら、受診していなかった人が1人、2次検査で経過観察と判断された人が7人だった。また7人のうち、5人は2次検査で穿刺吸引細胞診を実施していなかった人、2人は実施したが「悪性または悪性疑い」と診断されていなかったという。内訳は男性4人女性7人。事故当時0~4歳1人、5~9歳1人、10~14歳4人、15~19歳5人となっている。
 
医大提出資料「甲状腺検査集計外症例の調査結果の速報」
 
前回、県が公表した甲状腺サポート事業結果で、集計外の患者が5人いることが明らかになったが、これらの患者がこの7人に含まれているかは調査していないため、わからないという。現在、福島県で甲状腺がんまたはその疑いと診断された患者は198人だったが、今回のデータを含めると少なくとも209人となり、そのうち、手術を受けて甲状腺がんと確定した患者は162人から、173人へと増えた。
 
昨年3月、小児甲状腺がん患者を経済支援する民間団体の指摘により、事故当時4歳児の患者を含め、集計漏れの患者が存在することが発覚し、検査を実施している福島医大が調査を行なっていた。
 
甲状腺スクリーニングのメリット・デメリットめぐり議論

検討委員会では、このほか福島県内の甲状腺スクリーニングを今後、継続するかどうかをめぐり、大阪大学の高野徹委員と神奈川県予防医学協会の吉田明委員が資料を提出し、意見を述べた。高野委員は、現在の「県民健康調査」の同意書について、検査を受けることに「健康上の利益があるように誤解させる文章になっている」と指摘。海外の論文でも、甲状腺の超音波検査は推奨されていないとして、「超音波検査を受けることで健康上の利益を得られるという証拠はなく、利益はあるとしても小さいことを明記すべきだ」と主張した。また、10代に甲状腺がんと診断された場合、「がん患者とみなされることによる様々な社会的・経済的不利益を被ることがある」と強調した。
 
高野委員・祖父江委員提出資料「県民健康調査における甲状腺超音波検査の倫理的問題点と改善案」
 
一方、吉田委員は、小児_若年層の甲状腺がん症例を分析した3つの論文を報告した。取り上げた論文は、甲状腺がんと治療実績が高い専門病院の野口病院(大分県)、隈病院(兵庫県)、伊藤病院(東京都)の3つの病院が、20歳未満または20歳以下の甲状腺がん患者100人超の患者の予後について、10数年から30年程度遡って調査したもの。いずれの論文も、術前にリンパ節転移や皮膜外浸潤があるものは、再発しやすいとしている。吉田委員は、早期に発見・治療することで、手術の合併症も低下し、再発予後が良くなると指摘した。
 
吉田委員提出資料「日本の若年者甲状腺癌乳頭癌の臨床像と臨床経過について」
 
その後、甲状腺スクリーニングのメリット・デメリットについて、全ての部会員から集めていた意見をもとに議論。鈴木元部会長は「別に部会の結論ではないが」と前置きした上で、日本では、海外と比べ、侵襲性の低い半葉切除が基本となっており、アイソトープ治療やホルモン補助療法も限定的であり、早期発見早期治療の副作用は少ないのではないかとの見方を示した。
 
甲状腺スクリーニングのメリット・デメリット等に関する部会員意見

7/22(日)埼玉/映画カフェ「福島 生きものの記録」シリーズ5追跡


7月22日に「福島 生きものの記録シリーズ5〜追跡〜」という映画の上映会があります。シリーズの最新作ですが、他の作品を観ていなくても大丈夫です。

事故後7年たちますが、多くの科学者たちが身体を張って今も調査を続けています。事故を風化させないためにも、放射線汚染の実態を知るためにも、多くの方に観て欲しい映画です。

託児はありませんが、お子様連れでの来場も歓迎です。お誘い合わせのうえ、ぜひご参加ください。

日時:7月22日(日)受付13時30分〜14時00分
          上映14時00分〜15時30分

鑑賞代:前売り700円(お茶、お菓子付き)
    当日 900円(お茶、お菓子付き)

場所:所沢市新所沢公民館 学習室1(西武新宿線新所沢駅西口から徒歩5分)

カフェメニュー:手作りお菓子
       有機紅茶か有機コーヒーどちらか

事前申込:tokolabo2013@gmail.com
問合せ先・当日連絡先:080-6257-2306(とこらぼ)



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「福島 生きものの記録」HP
http://gunzosha-july.tumblr.com/fukushima

とこらぼHP
https://children-foundation-t.jimdo.com/

とこらぼfacebookページ
https://m.facebook.com/tokorozwahousyasensokuteijo/

7/16(月・祝)福島/ふくしまくらす交流会「お母さんが名医になる方法 -子どもたちのより良い成長のために、日々できること-」

福島県内の子どもたちは、東日本大震災・原発事故後の不安要素から運動不足になりがちで、肥満などの健康によくない状況にあります。

子どもたちの肥満など健康面が問題になっているなかで、事故後から長期的に及ぶ母親たちへの精神的な負担の軽減を目指し、子育て世代を対象に小児科医師から子どもたちの健康増進について学ぶ講演会を行ないます。

講演会は二部構成で、第一部は小児科医師による、食事、免疫力、自然治癒力などの面からみた、子どもたちの健康増進を図る方法やアドバイスの講演になります。第二部は車座になり、講師だけでなく参加者も交えて、それぞれが語る対話のかたちの会とします。

講演:山田 真 医師

(八王子中央診療所理事長 、子どもたちを放射能から守る小児科医ネットワーク代表)
略歴:1941年、岐阜県生まれ。小児科医。八王子中央診療所理事長。子どもの病気をわかりやすく解説する著書で知られるが、障害のある子をもつ親の当事者として「障害児を普通学校へ・全国連絡会」世話人を務めるなど、さまざまな活動、意思表明を行ってきた。

日時:2018年7月16日 (月) 13時00分~16時00分

参加費:無料

場所:アオウゼ 和室
(福島市曽根田町1-18 MAXふくしま 4F)

詳細はこちら

まとめ:「『差別』『いじめ』はなぜおこる?」(清水奈名子先生)

こちらでは当日お話いただいた内容を簡単にまとめています。
イベント全体の報告については、こちらをご覧ください。
http://kodomozenkoku-news.blogspot.com/2018/07/71-7.html

清水奈名子先生のご専門は、国際機構論や国際法。戦争の犠牲者はなぜ一般市民が多いのか、国家は市民を優先的に守らないという問題について研究されています。日本では、沖縄戦、戦後の引揚げ者問題、戦災孤児など、市民が犠牲になった歴史がつい70年前のこと。2011年に原発事故が起こった時に、これだけ多くの避難民化した人たちがいるのに、政府はここまで市民を守らないのだ、という現実を目にした思いだったそうです。

先生自身も、栃木にお住まいで、翌日ラジオで原発事故を知り、教え子からは「窓を閉めて換気扇を止めて」と連絡があったそうです。関西では何ごともなかったように日常が流れていたことにがく然とされたとか。大学は、計画停電の中で卒業式を行いますが、それはちょうどプルームが流れてきた時期でもありました。一方で、栃木県には避難されてくる方も多かったわけです。ご自身が安全保障の専門家なので、原発事故は関係ないと言えないと、「福島乳幼児・妊産婦支援プロジェクト」「福島原発震災に関する研究フォーラム」を中心に関わってこられました。

以下、先生のお話の中からまとめました。


いじめの背景にあるものは


原発避難した子どもたちへのいじめは、社会構造や人々の中にある差別意識が、子どもたちの中に噴出しているわけですが、原発を稼働するかどうかも決められない子どもたちに向けられた社会の牙でもあります。加害者である特定の子どもを「問題児」と分類してしまうことで、いじめという認定もせず、背景にある構図をうやむやにしてきました。しかし、明らかに「避難」によるいじめだったということが、保護者の粘り強い対応でわかってきたのです。背景には原発事故や被害の実態に関する無理解不理解があります。探せばもちろん信頼に足る情報もありますが、これほど労働環境が悪い中、日々疲れすぎて、社会問題などの情報を取りに行く気力がないという現実もあります。



そこには「社会に役立たない人」を切り捨てる優生思想が根強くあります。「福島出身者は嫁にできない」という言葉には、女性差別と障害者差別が入り組んだ構造になっていて、女性を「子を産むため」としか見ない差別、そして放射線の影響を受けた者は障害者を産むのではないかという時、そこには障害者に対する差別もあります。
健康とみられる人たちも、加害者になりかねないのです。たとえばジェンダー、たとえば偏差値など、身近にたくさんあります。差別する人を非難するのは簡単ですが、それでは、どのように乗り越えていけばよいでしょう。そこを考えていきたいです。




また、金銭賠償、慰謝料をめぐる偏見もあります。なぜか「被害者はお金をもらっている」ということだけはよく知られていて、避難解除されたのに避難しているのは、お金が欲しいからだろうと言われた方もいます。大人がしている会話を聞いた子どもたちは、大人の会話をコピーしてしまいます。今では、大人とよりも、テレビやメディアと会話し、それをコピーしているのです。


調査から見えてきたもの


この間、さまざまな当事者の声を聴いてきました。当事者は、記録する余裕がないし、記録がないと、全てがないことにされてしまうのです。たとえば、子育て世帯の不安について、2012年と2013年にアンケート調査を行いました。2012年のアンケートでは、那須塩原市の私立園2園の保護者245世帯(53%)から回答をいただき、うち94%が震災後の子育てに関して心配なことがあると答えています。2013年アンケートは、より広範囲に、那須塩原市、那須町にあるすべての公立保育園、幼稚園、一部の私立園38園の協力の下、2202世帯から回答があり、うち8割以上が「被ばくが子どもに及ぼす影響について不安に感じている」と答えていました。



これらは、事故当初とその後の不十分な対策、最も線量の高かった2011年に子どもを十分に防護できなかったことに起因する不安であり、被ばくの影響は晩発性だということを知っているからこその後悔や不安なのです。「今になっても心配している保護者は知識がない」と言われますが、それは正確ではありません。そして、ジェンダーに基づく対応の格差も見られます。お子さんがおむつに下血した、鼻血を出した、と日々子どもと向き合い目撃した女性が発言すると、「母親が心配しすぎだから、子どもにそんなふうになる」と言われたりします。女性が学校や園に行くと「ヒステリーなママ」という扱いを受けるが、夫を連れて行くと対応がちがう、ということは複数の方から聞いています。

また、政治的な活動経験を持たない人が多く、反原発、脱原発などの運動と共に「政治的」と言われなき非難をされたりしますが、必死で子どもを守るために、初めて署名、申入れをした人が多いのが実態でした。もちろん、お金に困っている団体が圧倒的に多く、お金目当てでないことは当然です。


甲状腺がんの影響は

甲状腺がんの「過剰診断」と検査縮小論についても、議論のあるところです。どちらを信じたら…とよく言われます。新たな報告数は回を経るごとに減ってはいるものの、総数は増え続けていますし、2回目、3回目の調査で発症が見つかった人のうち、前回はA1、A2判定だった人もいます。現在199名。症例を見てもリンパ節転移78%、甲状腺外進展39%、そして地域差も見え始めています。

また、「3・11甲状腺がん子ども基金」および独立系ジャーナリストの調査によって、手術後、再発や転移がある者が5%いるということや、199名という総数には、経過観察に回わされた後に見つかったケースはカウントされていない事実も明らかになりました。同じ福島県立医大で手術されていても、カウントされていないのです。しかし、これらについて県はまだデータを示していません。



低認知被害問題の特徴




こうした社会的に認知度が低く、また制度的にも十分な対策が講じられていない被害状況をもって「低認知被害」と呼んでいますが、これは、なぜいじめが起こるかという問題と重なります。

加速する「復興」の中、社会的にはますますタブー化し、「話しにくい」「触れたくない」話題となっていきます。こうして、女性差別など、もともと日常の中にあった差別などの社会問題が顕在化されていきます。甲状腺検査の学校検診見直し案や空間放射線量目安の見直し、モニタリングポスト撤去の動きなど、被害の不可視化も進行し、それによって関係者の孤立化も深刻化していきます。


対立の構造?


個別事例話しましたが、権利回復を求める被災者と、他の選択をする被災者とが対立し、避難することを言えずに引越したり、保養に出ることを内緒にしていたり、また、一度避難したのち帰還しても、同じコミュニティには戻れない等、さまざまな対立があります。


けれども、共通項として、原発事故に由来する多様な被害(被ばく含む)を受けた当事者であり、対応策についての開かれた議論の必要性を感じます。「放射性物質が県境を越えたのだから、私たちも県境を越えてつながらなくてはいけない」と市民団体の方が発言されていました。まさにそうなのだと思います。過去には、原水爆禁止運動を始めた主婦たちの例があります。杉並で読書会を開いていた主婦たちが、第五福竜丸の事件をきっかけに1954年4月に署名を始め、3000万の署名が第1回原水爆禁止世界大会開催へとつながりました。



異なる意見の人と対話する



良くわからないことについて話す大切さを感じます。意思決定者に向けて、主権者である私たちが、「何をわからないと思っているのか」「何をどう説明して欲しいのか」を伝え、回答を受け、また質問をするというやりとりの連続こそが必要です。

これは、憲法が保障する自由と権利は「国民の不断の努力によって保持する」ということにつながります。なぜ、これほど被ばくの問題がこうして語られることなく深刻化するのかというと、そこには「核技術の非民主性」があると故高木仁三郎氏が指摘されています。

異なる意見の人との対話から始めることなのです。意見が違うことが前提であり、なぜその結論にたどり着いたのかを尋ねることから始めます。これは、異なる意見が集まることがあたり前の国際会議ではよくある議論なのです。

ところが、「なぜ」という質問をすることが日本ではとても難しいです。それは学校教育の問題でもあると思います。先生になぜ、と聞けないのです。夏目漱石の優れた表現についての意見は求められても、なぜ夏目漱石の作品が良いのか?という質問をすることは難しいです。

そこには、日常会話の中のジェンダーと抑圧もあります。女性がこんなことを聞くなんて、語るなんて、らしくない等々。その一方で、男性もジェンダー抑圧を受けている。私たちも抑圧する側になり得ることを意識していかねばなりません。抑圧を受け続けている社会は、バッシングしようとする社会になろうとする傾向があります。


「弱さ」を受け止める「強さ」

社会のあり方自体を変えていくには、弱さを受け止める強さが求められます。私たち自身が加害者となることもあるという、人間の弱さを受け止める強さが必要なのだと思うのです。

そこで、社会的弱者としての女性の強みに注目していきたいです。自らの弱さを受け止めて、異なる意見と対話し、尋ね続けていくヒントがあるのではと考えています。

参加者の交流から


こうした清水先生のお話を受けて、後半は、参加者からの質問にお答えいただいたり、参加者同士の意見を出し合ったりする時間に。いろんな立場のいろんな方がいらしてくださり、それぞれが何らかの思いを持ち帰ることができたのではと思います。



同時に、どうしても避けがちな、異なる意見を持つ人たちともこうして顔を合わせながら、お互いの選択肢を尊重し、質問を投げかけながら対話を図ることが、ここからはより重要なのだと思います。7年が経った今だからこそ、そこから始めてみようと思いました。
(まとめ 伊藤)

7/1 子ども全国ネット7周年企画「『差別』『いじめ』はなぜおこる?」を開催しました


放射線被ばくにまつわる問題を話そうとする時、「たくさん情報がありすぎて、どう考えていいかわからない」「何を信じていいのかわからない」と言われたり見たりしたことがあるでしょう。この情報の発信者が権威ある人だから、とか、政府が言っているから、国際機関だから、といって思考停止しまう人が原発事故から8年目の今、周囲にあふれています。

そんな中迎える子ども全国ネットの7周年。今回は、避難者や被災者の現実に向き合い、市民団体にも寄り添いながら発信を続けておられる清水奈名子先生(宇都宮大学学術院国際学部准教授)をお招きして、一緒に考える時間を持つことができました。

清水奈名子先生のご専門は、国際機構論や国際法。戦争の犠牲者はなぜ一般市民が多いのか、国家は市民を優先的に守らないという問題について研究されています。日本では、沖縄戦、戦後の引揚げ者問題、戦災孤児など、市民が犠牲になった歴史がつい70年前のこと。2011年に原発事故が起こった時に、これだけ多くの避難民化した人たちがいるのに、政府はここまで市民を守らないのだ、という現実を目にした思いだったそうです。

先生自身も、栃木にお住まいで、翌日ラジオで原発事故を知り、教え子からは「窓を閉めて換気扇を止めて」と連絡があったそうです。関西では何ごともなかったように日常が流れていたことにがく然とされたとか。大学は、計画停電の中で卒業式を行いますが、それはちょうどプルームが流れてきた時期でもありました。一方で、栃木県には避難されてくる方も多かったわけです。ご自身が安全保障の専門家なので、原発事故は関係ないと言えないと、「福島乳幼児・妊産婦支援プロジェクト」「福島原発震災に関する研究フォーラム」を中心に関わってこられました。

今回は、清水先生が感じ、考えてこられたことをシェアしていただき、私たちはあらためてどうやって、どこをめざして進んでいけばよいのかの気づきを得た時間になりました。避難者の子どもへのいじめ問題の背景を分析し、取り組んできた調査から見える被災地の親の思い、被ばくについて発言する人たちへの誤解を説き、甲状腺がん問題の現状、低認知被害の実態から対立の構造を説明、そこを乗り越えていくために何が必要かということをお話くださいました。

参加者のアンケートにも「複雑に絡んだ差別をめぐる状況について合理的に、またこれからにつながる視点から解説してくださって大変参考になりました。」とありましたが、7年経った今、あらためて考える時間をいただいた気がします。

「たくさんある情報の中で自分はどう考えて、たくさんある選択肢の中から何を選び、何を優先していくのか、こうした社会問題に向き合って思考停止せずに生き続けていく、そのこと自体が大事、きょうここに集まってくださっている方たちは、まちがいなくそれを続けている方たちですね」と清水先生もおっしゃっていましたが、今回もこうしてこの問題に向き合っていこうとする人たちが足を運んでくださり、有意義な時間がもてたことに感謝します。ご参加くださり、ありがとうございました。


長くなりますが、こちらで内容の報告をさせていただきました。よろしければお読みください。
http://kodomozenkoku-news.blogspot.com/2018/07/7.html

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<イベント概要>
子ども全国ネット7周年企画 「差別」「いじめ」はなぜおこる?


日時:2018年7月1日(日)13:50~16:00
場所:世田谷区・代田区民センター 多目的室
参加費:1000円
主催・問い合わせ先:NPO法人子ども全国ネット

登壇者:清水奈名子さん:宇都宮大学学術院国際学部准教授。専門は、国際機構論、平和学。福島原発事故後、栃木県内の避難者および栃木県北地域の子育て世代の状況把握、ニーズ調査などをおこなう。著作に「話しにくい原発事故の被害」 「差別をめぐる議論を考える」など