2015年04月03日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/20150403-OYT1T50018.html
東京電力福島第一原発事故後、福島県がイノシシなどの野生動物の体内に含まれる放射性物質量を3年間調査した結果、一時期より下がったものの、わずかな減少にとどまっていることがわかった。野生動物が生息する森林の除染がほとんど行われていないことなどが要因とみられ、県は「影響は長期に及ぶ可能性がある」としている。
県自然保護課によると、毎年、各地の猟友会に委託して避難指示区域外の野生動物を捕獲し、筋肉に含まれるセシウム137の量を調べてきた。1キロ・グラム当たりの量を比較すると、イノシシは11年度(捕獲数176頭)は平均561ベクレルで、12年度(同214頭)に2133ベクレルに上昇した。13年度(同227頭)は541ベクレルに減ったが、初年度と比べて20ベクレルの減少にとどまった。2年目に上昇した原因について、同課は「樹木の上部に付着した放射性物質が雨などで徐々に地上に落ちた」と推測する。
カモは11年度から44ベクレル、122ベクレル、34ベクレルとイノシシと同様に推移し、キジは75ベクレル、82ベクレル、70ベクレルと大きな変化は見られなかった。ツキノワグマは224ベクレルから113ベクレルに半減したが、13年度は110ベクレルと減少幅が鈍化した。
体内に取り込まれたセシウムは尿などで排出されるため、人間は一般的に約3か月で半減する。しかし、除染されていない森林などに生息する野生動物は、放射性物質を含む餌を食べ続けるため減少するスピードが遅いとみられる。
同課は「体内に放射性物質が蓄積するメカニズムや、どこでどのような餌を食べているかを調べ、対策につなげたい」としている。
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