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「がん」50人 福島で続く甲状腺検査、見守り手厚く
事故との関係不明 受診率向上が課題
- 2014/6/20付
環境省が青森・山梨・長崎3県の3~18歳約4千人を対象に、福島県と同じ手法で実施した甲状腺調査でもがんと診断されたのは1人。福島事故による住民の健康への影響に否定的な報告をまとめた国連科学委員会のラーソン議長も5月の来日時、「小児甲状腺がんの発生率は基本的に低いと思っている」と話した。
これに対し岡山大学の津田敏秀教授は「細胞採取で悪性か悪性疑いとされた人の地域分布には偏りがある。多発地域があるのは明らかだ」と異論を唱える。日本医科大学の清水一雄名誉教授によると、チェルノブイリで子供の甲状腺がんの多発が確認されたのは事故の4~5年後という。
■受診率向上が課題
県立医大も「事故の影響なし」と断定しているわけではない。放射線量が低い会津地域の1回目の検査結果は今秋ごろにまとまる見通しで、県は原発周辺地域などと比べることで影響の有無を判断する材料の一つになる、とみる。
今後の課題は受診率の向上だ。1次検査を受けたのは80.2%だった。成人の対象者が今後増えるにつれ、受診率が下がる恐れがある。2巡目の検査では事故時は母親のおなかの中にいた子供も加わり、対象は約38万5千人に増えた。県は公共施設だけでなく、指定する民間病院でも検査を受けられるようにした。
2次検査を受けた子供や保護者の心のケアも重要だ。県立医大は昨年11月、心理的支援のチームを設置した。検査は20歳までは2年に1回、それ以降は5年に1回の間隔で続く。鈴木教授は「関心を持ち続けてもらうため、学校や県外の避難先で開く説明会を増やすなどして検査の意義を知らせていきたい」と話す。
(福島支局長 中丸亮夫)
[日本経済新聞夕刊2014年6月20日付]
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