甲状腺がん5人に 子ども検査2巡目 福島
2015年5月18日 テレビ朝日
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000050684.html
福島県で震災当時、18歳以下の子どもたちを対象に行われている甲状腺検査。震災半年後から1巡目の検査、そして、去年4月からは震災後に生まれた子どもも含めて2巡目の検査が行われている。この2巡目の検査で、15人が甲状腺がんやその疑いがあると診断され、うち5人ががんと確定したことが分かった。15人のうち14人は、1巡目の検査では異常がなかったという。チェルノブイリでは事故から4、5年後に甲状腺がんの子どもが急増したことが知られていて、福島での2巡目の検査が注目されている。ただ、チェルノブイリでは多くみられた事故当時、0歳~4歳の甲状腺がんが今のところ発生していないことなどから、有識者会合の座長はこう分析した。
「県民健康調査」検討委員会・星北斗座長:「今までの先行調査(1巡目検査)と大きな変化がない。当時の0歳~4歳について、大幅に増えているようなこともみられないので現時点ではそう考えにくい。つまり、放射線の影響と考えにくいという表現を改める必要はないだろう」
県民健康調査 甲状腺がん確定 新たに4人 検討委、放射線の影響否定
2015/05/19 福島民報
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/05/post_11784.html
東京電力福島第一原発事故による影響を調べる子どもの甲状腺検査で、平成26年度から実施している二巡目の本格検査において、3月末までに甲状腺がんと確定した人は、今年2月の県「県民健康調査」検討委員会で示された1人(昨年12月末現在)から4人増えて5人となった。18日に福島市で開かれた検討委で明らかになった。星北斗座長(県医師会副会長)は「(これまでの傾向などから)現時点で、放射線の影響は考えにくい」との見解をあらためて示した。
がんの疑いは7人(昨年12月末現在)から3人増えて10人となった。「確定」と「疑い」の計15人は男性6人、女性9人で、東日本大震災当時、6~18歳だった。このうち、9人については基本調査問診票の提出があり、原発事故後4カ月間の外部被ばく線量が推計できた。最大2・1ミリシーベルトで、1・0ミリシーベルト未満が2人、2・0ミリシーベルト未満が6人だった。
平成23~25年度の一巡目の先行検査で、甲状腺がんと確定した子どもは、前回公表(昨年12月末現在)の86人から12人増えて98人、がんの疑いは10人減って13人となったことも報告された。
◇ ◇
検討委の席上、星座長は県民健康調査の今後の進め方などを盛り込んだ「論点整理」を提示した。次回以降の検討会で議論を深め、一定の道筋を付ける方針。
論点整理は、これまでの会合で出た委員の意見などを基に、星座長が取りまとめた。検査で治療の必要がないがんを見つけているのではないかという「過剰診断」が指摘されている問題についても触れ、「調査対象者の安易な拡大は慎重にすべき」とした。
基本調査の回収率が伸び悩んでいることなども挙げ、「(調査を)県民が参加したいと思えるものにしていかなくてはいけない」と話した。
※甲状腺検査
1巡目の先行検査は原発事故当時に18歳以下だった約37万人が対象で、2巡目の本格検査は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万5千人が対象。それぞれ、1次検査は超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形を調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定する。大きさが一定以上で「B」と「C」とされれば、2次検査で血液や細胞などを詳しく調べる。
■1巡目29万9543人受診 3月末現在 市町村別検査結果
検討委は、平成23~27年度の3月末現在の甲状腺検査の市町村別検査結果を【表(2)】の通り公表した。
23~25年度は一巡目の先行検査で約37万人が対象となった。受診者は29万9543人で、しこりの大きさなどを調べる一次検査で29万9233人の結果が判明した。このうち、いずれも二次検査に移行する「B」判定は2278人、「C」判定は1人だった。
23年度は福島第一原発周辺など13市町村の4万1810人が一次検査した。二次検査の対象者は221人で、このうち14人ががんと確定し、1人が良性だった。
24年度は中通り12市町村の13万9338人が一次検査を受け、二次検査対象者は988人となった。52人ががんと確定し、4人が疑いとされた。
25年度は中・浜通りを中心に、会津地方を加えた34市町村の11万8395人が一次検査を受け、1070人が二次検査対象となった。32人ががんと確定し、9人が疑いとされた。
26年度からは二巡目の本格検査で、原発事故後1年間に生まれた子どもを加えた38万5千人が対象。14万8027人(27年度実施予定で26年度に実施した人を含む)が一次検査を受診した。1043人が二次検査対象となり、5人ががんと確定、10人が疑いとされた。
■問診回答率27.1% 前回比0.1ポイント上昇
基本調査(対象者205万5339人)の問診票の回答状況も報告された。3月末現在で55万6917人から回答があり、回答率は27・1%だった。前回公表の昨年12月末現在と比べ、0・1ポイントの上昇にとどまった。
原発事故直後の記憶が薄れ、行動記録の記入が難しくなっていることなどを理由に、回答が伸び悩んでいる。
回答率には地域差があり、最も高いのは相双の45・5%(8万9063人)で、県北の29・9%(15万628人)、いわきの25・0%(8万7214人)と続いた。最低は南会津の20・1%(6180人)だった。
■1ミリシーベルト未満62.1% 事故発生後4カ月間 外部被ばく推計
原発事故後4カ月間の外部被ばく線量の推計も報告された。放射線業務従事者を除く45万3065人のうち、平時の年間被ばく線量の上限とされる1ミリシーベルト未満は62・1%(28万1446人)だった。
基本調査の問診票を基に、福島医大などが推計した。市町村別の外部被ばく推計の結果は【表(1)】の通り。地域ごとに見ると、1ミリシーベルト未満の割合は県北が20・1%、県中が51・6%、県南が88・3%、会津と南会津が99・3%、相双が77・6%、いわきが99・1%だった。
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