2015/05/15

福島県内の避難指示 再来年までに解除で調整

(放射能汚染の実態や生活環境の整備に基づかない計画ありきに感じられる今回の発表です。一方で、すでに避難指示区域解除に向けて意見交換会を行ってきた楢葉町では、参加者が少ない上、若い層がほとんどいないという現実があります。当事者の声とは言っても、自治体首長や行政の声を聞くだけでは「復興」「帰還」しか聞こえないのでしょうが、住民の声を聞くべきだと思います。 子ども全国ネット)

避難区域の解除で波紋…自民提言案

2015年05月15日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20150514-OYTNT50122.html?from=ycont_top_photo

期限の設定は、長期避難の弊害解消か机上の計算か。自民党の提言骨子案で14日、示された帰還困難区域を除く避難指示区域の2017年3月までの解除は、同区域を抱える自治体や避難者に波紋を広げている。


富岡町の宮本皓一町長は「除染などを全部終わらせて帰すという考え方は、一応の評価はする」と述べた。だが「帰れる状況になるかは未知数。国の考え方と私たちの考え方が一致するかはわからないし、本当に放射線量が低下したのか検証しなければ」と話した。


骨子案に「事故から6年後までの解除」が盛り込まれたのは、居住制限区域と避難指示解除準備区域で、県によると、対象住民は約5万5000人に上る。県幹部は「居住制限区域まで帰れる環境が整えられるだろうか」と懸念。内堀知事は、解除の判断主体は政府だとして「政府の考え方を見ながら、県として自治体と一緒に対応を考える。具体的にコメントする段階ではない」と語った。


政府原子力災害現地対策本部長の高木陽介経済産業副大臣は14日、福島市で記者団に、「国として決めておらず、検討も進めていない」と強調した。


避難指示区域がある双葉郡のある自治体幹部は「『事故から6年後』と明記されたことは、住民への説明の際、しんどい。既に住民から『政府と役場が話し合って決めたのか。期限通り除染が実現できるのか』と怒りや不安の声が寄せられており、今後も増えるだろう」と頭を抱えた。


居住制限区域の大熊町大川原地区からいわき市に避難する大工宗像宗之さん(62)は「帰還に向けた道路や住宅などの建設は動き始めたばかり。解除されても住める状態になっているか不透明だ。整備が完了する前に、解除の判断が検討されることには違和感がある」と述べた。


避難指示解除準備区域の浪江町幾世橋から福島市に避難中の女性(80)は「浪江の家は雨漏りし、片づけも終わっていない。帰還を諦めて家を壊している人もいる。町民の現実を見ず、机の上だけで計算しているとしか思えない」と嘆いた。





福島県内の避難指示解除へ 提言の骨子案
5月14日  NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150514/k10010079691000.html

自民党の東日本大震災復興加速化本部は原発事故に伴い、福島県内に出されている避難指示を、遅くとも再来年・平成29年3月までに、「帰還困難区域」を除いて解除することなどを盛り込んだ政府に対する提言の骨子案をまとめました。


自民党の東日本大震災復興加速化本部は14日、総会を開き、第5次となる政府に対する提言の骨子案をまとめました。


それによりますと、原発事故に伴い、福島県内に出されている避難指示について、復興を加速する環境を整備し、長期化する避難の弊害を解消するため、遅くとも再来年・平成29年3月までに、「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」の避難指示を解除し、住民の帰還を可能とするよう求めています。


一方、「帰還困難区域」については、放射線量の見通しや住民の意向などをふまえて、引き続き、地元とともに検討するとしています。


また、政府が、来月末をめどに、来年度・平成28年度から5年間の復興支援の新たな枠組みを取りまとめる際には、被災地の自立につなげるために必要な支援を検討すべきだと指摘しています。そのうえで、▽復興事業の財源は被災者支援や住宅再建などの基幹的事業、原発事故に伴う事業などは国が全額を負担すべきだとする一方、▽被災地以外の地域との公平性の観点などから、地域振興や災害への備えを目的とした事業は、財政状況に配慮しながら、例外的に被災地の自治体が一定程度、負担するよう求めています。


総会で、本部長を務める額賀・元財務大臣は「復興支援の財源をきちんと確保したうえで、被災地の復興と福島の原発事故からの再生に安心感を与えていくという考え方のもとで提言をまとめていきたい」と述べました。


自民党の復興加速化本部は骨子の案を基に提言を取りまとめ、今月中にも、政府に提出することにしています。



福島県内の避難指示 再来年までに解除で調整

5月13日 13時33分 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150513/k10010078001000.html

原発事故に伴い福島県内に出されている避難指示について、政府が、遅くとも再来年の平成29年3月までに放射線量が高い帰還困難区域を除いてすべて解除する方向で、地元の自治体と調整していることが、関係者への取材で分かりました。解除にあたっては、避難による精神的な損害の賠償金額の増加も検討されています。


福島第一原発の事故では、合わせて11の自治体の8万人余りを対象に避難指示が出されましたが、事故から4年がたった今もこれまでに解除されたのは、田村市都路地区と川内村の一部にとどまっています。


これについて、政府は、長期化する避難によって、ふるさとへの帰還を諦める人が増えるなど、復興の歩みを遅らせる要因にもなっているとして、遅くとも事故から6年後となる再来年の平成29年3月までに、帰還困難区域を除いてすべて避難指示を解除し、帰還を希望する人が自宅に戻れるようにする方向で、地元の自治体と調整していることが関係者への取材で分かりました。


ただ解除を巡っては、放射線量が十分に下がっていないという不安に加えて、指示が解除されると、住民に支払われる1人当たり月10万円の精神的な賠償金が1年後に終了するという今の制度への不満を持つ人も少なくありません。このため平成29年3月よりも前に避難指示が解除されても、平成29年3月に解除されたものとして賠償金を受け取れるよう賠償の増額も検討されているということで、懸念を払拭(ふっしょく)し避難指示の解除を進めたい考えです。


この解除が実現すれば、自宅に戻ることのできる対象の人は、現在の600人余りから5万5000人に一気に増えることになります。

避難指示解除の条件と事例

東京電力福島第一原発の事故に伴う避難指示を解除するのは政府の原子力災害対策本部で、解除の条件は、年間の被ばく線量が20ミリシーベルト以下であることを前提に主に3つです。


まず▽電気・ガス・水道などのインフラや、医療・介護・商店など、生活に関連するサービスが復旧すること、▽子どもの生活環境を中心に除染作業が十分に進むこと、そして▽県・市町村・住民との十分な協議を行うことです。この条件を満たしたうえで、住民が帰還する準備を進めるための自宅での宿泊が数か月間、特別に行われたあと、地元の市町村長の同意を得て解除されます。


これまでに避難指示が解除されたのは▽去年4月の田村市都路地区、▽去年10月の川内村の一部だけです。避難指示の対象となったおよそ8万人のうち、解除された地域の住民はおよそ600人にとどまっています。


この2つの自治体に続いておよそ7500人が避難している楢葉町では、先月6日から3か月間、帰還の準備を進めるための宿泊が始まっていて、3番目に避難指示が解除される自治体になるとみられています。ただ、それ以外の自治体では、具体的な見通しは立っていません。


避難指示解除でも戻らない人も


今回検討されている方針は、帰還を希望する人が自宅に戻れるようにするためのものですが、解除されても帰還をためらったり、ふるさとに戻らず移住を決めたりしている人などが多いのも現状です。


これまでに国の避難指示が解除されたのは、田村市都路地区と川内村の一部で、都路地区で自宅に戻った人は、ことし2月末現在、58世帯146人と全体の42%余りにとどまっています。解除から半年の川内村も帰還率は4%と伸び悩み、解除されてもすぐに自宅に戻ることにはなっていません。


復興庁が平成26年度、避難区域を抱える原発周辺の7町村の住民を対象に行った調査によりますと、回答したおよそ1万8000人のうち、「戻らないと決めている」と答えた人は全体の45%余りの8000人余りに上りました。自宅に戻らない背景には、事故前に住民が利用していた商業施設や病院が今も避難区域にあり、生活の不便さが解消されていないことや、避難生活の長期化によって子どもが通う学校がある避難場所が生活の拠点となっていることなどがあります。


帰還を進めるには、金銭面だけでなく、放射線量の低減や、インフラの整備など、住民が安心して暮らせる生活環境を充実させることも課題となっています。





避難指示解除巡り温度差…政府と意見交換会
2015年05月17日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20150516-OYTNT50446.html

◆楢葉町民 水道水、線量の不安強く

東京電力福島第一原発事故でほぼ全域が避難指示区域になっている楢葉町の町民と政府との意見交換会が終わった。4月25日から今月10日までの計12回で、政府は町内の放射線量や日常生活に必要なインフラの復旧状況を示して「帰還できる環境がおおむね整った」と述べたが、水道水や放射線量に対する町民の不安は強く、避難指示解除を巡る認識の隔たりは大きい。

◆「安心できる対策を」

意見交換会は、町民の長期宿泊が4月6日に始まったことを受け、帰還に向けた課題などを話し合うため避難先のいわき市や東京都などで開催された。政府が第一原発の現状や避難指示解除までの流れを約1時間説明した後、町民から質問や意見を受けた。

町民の意見は「水道水への不安」に集中した。水道用水を取水する町内の木戸ダムでは、底にたまった泥から1キロ・グラム当たり1万ベクレル超という高濃度の放射性物質が検出された。町民からは泥の除去などを求める声があるが、政府は「水道水の安全性は確保できている」との立場だ。

意見交換会でも、政府は浄水場に放射性物質濃度を24時間監視する機器を導入したことなどを説明したが、会場からは「放射性物質が沈殿しているダムの水を何十年と飲むのは怖い。安全と言うだけでなく、安心できる対策をとってほしい」などの声が相次いだ。

放射線に対する不安も大きい。政府は、除染などによって宅地では平均の空間線量率が除染前の毎時0・74マイクロ・シーベルトから同0・30マイクロ・シーベルトに下がったことなどを説明したが、「自宅近くの山林も生活圏なのに線量が高い」「除染したはずなのに線量が高い場所がある」などの不満が出た。

ほかにも、近くに医療機関や商業施設がないなど、生活していく上での不便さを指摘する意見もあった。

◆若者の出席少なく

意見交換会に参加した町民は少なく、会場では空席が目立った。町幹部や政府関係者によると、同町の避難者約7500人に対し、出席者は1割以下の延べ約500人。ある町幹部は「30歳代以下はほとんどいなかった。帰るつもりがない人が多いのかもしれない」との見方を示す。

政府の原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長もすべての日程を終えた10日、「若い世代との対話を模索する必要がある」と今後の課題を指摘した。

長期宿泊の登録者数は15日現在、308世帯665人にとどまっている。町幹部は「政府も努力してくれているが、町民に納得できない部分があるのは確かだ。課題を洗い出し、もう一度町民に説明してほしい」との考えを示した。











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