2014/11/14

首都圏でも支える 東京に避難者相談サロン/東京


 福島に住む当事者が、都内にすむ避難移住者の不安に寄り添う…そのことに一定の意味はあるのだと思います。福島の人間同士だからこそ、わかりあえる思いもあることでしょう。「避難者や福島からの進学者はもちろん、東京の人も悩んでいる。誰でも相談に来てほしい」とのこと。点を設けることは、それだけの費用もかかるでしょうから、それ以上の思いがあって東京での事業展開をされるということなのだと思います。
 通常の生活をしているように見えつつも、確かにこの東京でも放射線被ばくに対して不安をもっている人も多いと思います。日々の子育てを不安のまま過ごすことはできませんし、母親のそうした精神状態は子どもへの影響も大きいのは事実です。まして、避難移住をしていたり、福島から来ているというだけで、不安も悩みも多いでしょう。不安に寄り添う支援が必要なのは言うまでもありません。
 ただ、放射線への「不安を和らげる」ことは、常に、原子力推進派の「安全神話」に取りこまれやすい危険をはらんでいます。もちろん、「これだけなら」とある時点で受け入れざるを得ない汚染や数値が出てくることはあるでしょう。東京の汚染も、事故前であれば、ドラム缶に詰めて厳重保管だったはずの100ベクレル/kgというあり得ない汚染物質が、街のあちこちにあるわけですから、住み続けている限り、それを受け入れざるを得ないわけです。
 ただし、それはあくまでも「がまん値」で、決して「安全な基準」ではありません。被ばく影響にしきい値がないことからも、できるだけ避けたほうがいいことには間違いありません。知識情報を得た上で、何をどう注意していくのかという点が重要だと考えます。
 ここは、支援者(団体)としても、被ばくを避けたい母(親、保護者)としても、留意していきたい点です。市民団体と一口で言っても、いろいろな団体があります。避難者に寄り添う時に、避難・移住を含んだ当事者の選択を保証し、それを支援するのが支援者の立場だと考えます。これは、法律である「子ども・被災者支援法」の精神でもあります。

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 東京電力福島第一原発事故に伴う避難者らの相談に応じてきた南相馬市原町区の市民団体「ベテランママの会」代表の番場さち子さん(53)は15日、首都圏での支援拠点「ママ応援サロン&学び舎 番來(ばんらい)舎」を東京都目黒区に開所する。運営には東日本大震災後に学習支援などで南相馬市を訪れていた東大生らが協力する。物件探しなどの苦労はあったが、避難生活を続ける被災者の不安を和らげたい一心で開設にこぎ着けた。「話を聞いてほしい人を放っておけない」 
 支援拠点は井の頭線駒場東大前駅から徒歩1分のマンションの1室。8日は番場さん、東京の支援者らが集まり、棚や机を組み立てて開所に備えた。 
 番場さんはボランティアで本県からの自主避難者や、放射線への不安を抱く首都圏在住者らの相談に応じてきた。喫茶店などで会うと、相談者は周囲を気にした。泣きたくても泣けなかった。震災の年から首都圏の拠点が必要と思っていた。 
 しかし、福島県の人に事務所を貸してくれる人は見つからなかった。物件を見るため乗り込んだ東北新幹線で「オーナーが福島の人には貸せないと言っている」と、不動産屋から電話が入ったこともあった。東京の福島を見る目を思い知らされた。「やっぱり無理か」と諦めかけた時、助けを求める新たな電話が入るのが常だった。 
 先月紹介されたのが今回の物件だった。家主は福島を特別視しない人だった。約90平方メートルあり、食事も宿泊もできる。相談者が人目を気にせず泣ける場所だった。 
 ベテランママの会は、南相馬市原町区で塾を経営する番場さんが高校の同級生らとつくった。家賃をひねり出すため、学童保育も考えたが、進学塾を併設した。 

■被災地支援で絆 東大生らも協力
 灘高(神戸市)や広島学院高(広島市)から被災地支援で訪れた高校生が東大に進学していた。同会の相談活動や放射線の説明会開催、子どもの学習支援などの取り組みに触れた学生らは「番場さんがやることなら」と、何人かが進学塾で有償のボランティアで講師を務めてくれることになった。その1人、滝川陸さん(18)=東大理科二類=は「知人に頼まれたからという軽い気持ち。結果的に被災地支援につながればうれしい」と話す。 
 番來舎は福沢諭吉がつくったサロン「萬來舎」の名前にちなんだ。番場さんは「避難者や福島からの進学者はもちろん、東京の人も悩んでいる。誰でも相談に来てほしい。2年は続けたい」と話している。問い合わせは番場さん 携帯電話090(9034)8728へ。

2014/11/14
福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2014111419221



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