2018/07/15

7/1 子ども全国ネット7周年企画「『差別』『いじめ』はなぜおこる?」を開催しました


放射線被ばくにまつわる問題を話そうとする時、「たくさん情報がありすぎて、どう考えていいかわからない」「何を信じていいのかわからない」と言われたり見たりしたことがあるでしょう。この情報の発信者が権威ある人だから、とか、政府が言っているから、国際機関だから、といって思考停止しまう人が原発事故から8年目の今、周囲にあふれています。

そんな中迎える子ども全国ネットの7周年。今回は、避難者や被災者の現実に向き合い、市民団体にも寄り添いながら発信を続けておられる清水奈名子先生(宇都宮大学学術院国際学部准教授)をお招きして、一緒に考える時間を持つことができました。

清水奈名子先生のご専門は、国際機構論や国際法。戦争の犠牲者はなぜ一般市民が多いのか、国家は市民を優先的に守らないという問題について研究されています。日本では、沖縄戦、戦後の引揚げ者問題、戦災孤児など、市民が犠牲になった歴史がつい70年前のこと。2011年に原発事故が起こった時に、これだけ多くの避難民化した人たちがいるのに、政府はここまで市民を守らないのだ、という現実を目にした思いだったそうです。

先生自身も、栃木にお住まいで、翌日ラジオで原発事故を知り、教え子からは「窓を閉めて換気扇を止めて」と連絡があったそうです。関西では何ごともなかったように日常が流れていたことにがく然とされたとか。大学は、計画停電の中で卒業式を行いますが、それはちょうどプルームが流れてきた時期でもありました。一方で、栃木県には避難されてくる方も多かったわけです。ご自身が安全保障の専門家なので、原発事故は関係ないと言えないと、「福島乳幼児・妊産婦支援プロジェクト」「福島原発震災に関する研究フォーラム」を中心に関わってこられました。

今回は、清水先生が感じ、考えてこられたことをシェアしていただき、私たちはあらためてどうやって、どこをめざして進んでいけばよいのかの気づきを得た時間になりました。避難者の子どもへのいじめ問題の背景を分析し、取り組んできた調査から見える被災地の親の思い、被ばくについて発言する人たちへの誤解を説き、甲状腺がん問題の現状、低認知被害の実態から対立の構造を説明、そこを乗り越えていくために何が必要かということをお話くださいました。

参加者のアンケートにも「複雑に絡んだ差別をめぐる状況について合理的に、またこれからにつながる視点から解説してくださって大変参考になりました。」とありましたが、7年経った今、あらためて考える時間をいただいた気がします。

「たくさんある情報の中で自分はどう考えて、たくさんある選択肢の中から何を選び、何を優先していくのか、こうした社会問題に向き合って思考停止せずに生き続けていく、そのこと自体が大事、きょうここに集まってくださっている方たちは、まちがいなくそれを続けている方たちですね」と清水先生もおっしゃっていましたが、今回もこうしてこの問題に向き合っていこうとする人たちが足を運んでくださり、有意義な時間がもてたことに感謝します。ご参加くださり、ありがとうございました。


長くなりますが、こちらで内容の報告をさせていただきました。よろしければお読みください。
http://kodomozenkoku-news.blogspot.com/2018/07/7.html

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<イベント概要>
子ども全国ネット7周年企画 「差別」「いじめ」はなぜおこる?


日時:2018年7月1日(日)13:50~16:00
場所:世田谷区・代田区民センター 多目的室
参加費:1000円
主催・問い合わせ先:NPO法人子ども全国ネット

登壇者:清水奈名子さん:宇都宮大学学術院国際学部准教授。専門は、国際機構論、平和学。福島原発事故後、栃木県内の避難者および栃木県北地域の子育て世代の状況把握、ニーズ調査などをおこなう。著作に「話しにくい原発事故の被害」 「差別をめぐる議論を考える」など



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