2019/03/03

3/8(金)東京/放射能安全神話の流布と帰還政策のひずみ ── 被害およびリスクの過小評価、「安心」の強制、「復興」が切り捨てるもの

第23回 原子力市民委員会(CCNE)

http://www.ccnejapan.com/?p=9702

東電福島第一原発の発生から8年の時が経ちますが、事故の責任がきちんと問われないまま、「復興加速化」のかけ声のもとに帰還促進が進められ、帰還しない人たち、帰還した人たち、また被災地に継続居住してきた人たち、いずれの苦難・苦悩も、あたかも「自己責任」であるかのように切り捨てられようとしています。

原子力市民委員会(CCNE)は、『原発ゼロ社会への道 2017』等で、現在の政府が進める「帰還促進政策」には、住民の意思が反映されていない上、被ばくのリスクが過小評価されていることに強い懸念を表明してきました。一方、安全安心の喧伝材料として、復興庁パンフレット『放射線のホント』や文科省の『放射線副読本』などが組織的に配布され、「あらたな安全神話」(放射能はそれほど恐がらなくてよい、被災地の放射線量はそれほど心配ない、不安を抱くほうがストレスになってよくない、云々)が正当化されようとしています。しかし、その記述内容には、科学的にも倫理的にも数々の疑問があります。

昨今、ガラスバッジによる伊達市の住民被ばく線量評価をめぐる宮崎真・早野龍五論文が厳しい批判を浴びている問題にも見られるように、信頼できない科学を根拠にした政策決定は、「人間の復興」を遠ざけるものでしかありません。帰還促進、被害者の分断と切り捨てを政府が強引に進める現状において、いわゆるリスコミや安全安心の言説が被害者と地域社会にどのような影響をもたらしてきたのか、見極めることが重要です。 

今回の委員会では、CCNEの第1部会(東電福島原発事故部会)の福島県在住メンバー2名とゲストスピーカー1名の講演ののち、討議・意見交換を行います。

ゲストの吉田千亜さんには、近著『その後の福島』で描かれたような住民の思いを伝えていただくとともに、双葉郡の消防士からの詳しい聞き取りを通じて見えてきた初期被ばくの問題などについてもお話しいただきます。また、福島県立田村高校(三春町)で長年にわたり理科教育に携わった八巻俊憲さんには、原発事故当時の「リスクコミュニケーション」の実態について、科学技術社会論および被災地住民としての視点から語っていただきます。環境教育の理論と実践に精通する福島大学の後藤忍さんからは、文科省副読本の昨年の再改訂の内容について詳しく分析した結果を報告いただきます。

これらの話題提供と問題提起をふまえ、「あらたな安全神話」をどのように解体し、本当の「復興」のために何が必要なのか考えたいと思います。

委員会はどなたでも傍聴いただけますので、ぜひ多くの皆様にご参集いただけると幸いです。

■日 時:2019年3月8日(金)15:00~18:00
■場 所:文京シビックセンター 26階 スカイホール
     (東京都文京区春日1‐16‐21)
     https://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html
     最寄駅:東京メトロ 丸ノ内線・南北線「後楽園」駅 徒歩3分
        都営地下鉄 三田線・大江戸線「春日」駅  徒歩3分
         JR総武線「水道橋」駅(東口) 徒歩12分

■プログラム(予定):
第一部:発表と討議(15:00~17:30)
1.原発事故後を生きる人々 ── 事故当時の状況についての新たな証言も踏まえつつ
   吉田千亜(フリーライター、主著に『ルポ 母子避難 ── 消されゆく原発事故被害者』岩波新書2016年、
  『その後の福島 ── 原発事故後を生きる人々』人文書院2018年など)

2.福島第一原発事故による被害とリスクコミュニケーション ── 被災地からの視点
   八巻俊憲(元福島県立田村高校理科教員、CCNE第1部会メンバー)

3.文科省『放射線副読本』2018年改訂版の批判的検討 ── 削除、復活、追加された内容
   後藤 忍(福島大学共生システム理工学類准教授、CCNE第1部会メンバー)

4.コメント: 島薗進(上智大学)、清水奈名子(宇都宮大学)、市村高志(とみおか子ども未来ネットワーク)ほか

5.質疑および全体討議

第二部:(17:30~18:00)
6.CCNE各部会・プロジェクトチームの進捗報告、今後の取り組み予定など


当日でもご参加いただけますが、資料準備の都合上、3月6日(水)までに
email@ccnejapan.com 宛て、お申込みいただけますと助かります。


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