2015年6月13日日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG12H7Z_S5A610C1CR8000/
東京電力福島第1原子力発電所事故で福島県内に出された避難指示を巡り、政府は12日、放射線量が比較的低い「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」を、2017年3月までに解除する方針を決めた。東電が両区域の住民に支払っている月10万円の精神的損害賠償(慰謝料)は18年3月で終了する。地元からは政府支援の先細りを懸念する声も出ている。
この日、閣議決定した同事故の新たな復興指針に盛り込んだ。被災者に自立を促す狙いがある。安倍晋三首相は官邸で開かれた原子力災害対策本部で「避難指示解除が実現できるよう環境整備を加速し、地域の将来像を速やかに具体化する」と述べ、理解を求めた。
一方、福島県の内堀雅雄知事は同日、解除方針について東京都内で記者団に「(避難地域の)除染や産業再生などを同時に進めなければ成り立たない」と指摘した。
政府は放射線量に応じ、原発周辺の市町村を3段階の避難区域に分けている。17年3月までの解除を目指すのは線量が年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」と、同20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」。
対象地区の住民への慰謝料の支払いは18年3月で一律終了する。慰謝料の支払いは解除から1年後に終了するのが原則だが、17年3月より前に避難指示が解除された場合も18年3月まで支払い、解除時期で受取額に差が出ないようにする。すでに避難指示が解除された地域にも適用する。
政府は放射線量が比較的高い「帰還困難区域」の解除時期は明らかにしなかった。
指針には商工業者への営業損害賠償に関する新たな措置も盛った。従来は16年2月で打ち切る計画だったが1年延長して17年2月まで支払い、その後は賠償請求などに個別対応する。政府は官民合同の支援チームを立ち上げ、事業者への個別訪問などにあたる方針だ。
原発避難指示の解除目標は2017年3月 閣議決定
2015年6月12日朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASH6C7J65H6CULZU00Z.html
安倍内閣は12日、原発事故で放射線量が高くなり日中だけ立ち入りが許されている区域について、2017年3月までに避難指示を解除する目標を正式に決めた。対象区域の約5万5千人に東京電力が支払っている慰謝料は、避難指示の解除の時期にかかわらず、3年分を先に渡す。
目標は、同日閣議決定した福島復興加速化指針(改訂版)に盛り込まれた。
政府は、放射線量が年50ミリシーベルト以下の居住制限区域(避難住民約2万3千人)と同20ミリ以下の避難指示解除準備区域(同3万1800人)を17年3月までに解除し、住民が帰れるようにインフラの復旧や除染を進める。荒廃した住宅は国が解体を進め、建て替えしやすくする。
二つの区域の住民への慰謝料はこれまで1人あたり毎月10万円を東電が支払い、打ち切りの目安は「避難指示の解除後1年」までとしてきた。改訂版では、18年3月分までの慰謝料を一括で支払う。すでに支払った分も含め7年分で1人計840万円となる。
最も線量が高い帰還困難区域(同2万4400人)は全域除染が難しいため、一部だけを復興拠点として開発する。慰謝料は1人1450万円で見直さない。
(編集委員・大月規義)
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