2015/06/17

「子ども心配」置き去りの自主避難者 福島県、住宅提供打ち切り決定

2015年6月17日埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/06/17/03.html

避難者の集いで避難生活の苦しみなどを打ち明ける自主避難者=11日、川口市内


 
東京電力福島第1原発事故の自主避難者への住宅支援をめぐり、福島県は15日、住宅の無償提供を2016年4月から1年間延長した上で、17年3月に打ち切ることを決定した。1200人にも上るとされる埼玉県内で暮らす自主避難者の多くは17年4月以降、住宅の無償提供が打ち切られることに。自主避難者からは「経済的に厳しい」「正直がっかり」と苦しい声を上げている。

福島県と国は災害救助法に基づき、避難者の仮設住宅を無償提供。これまで16年3月まで提供期間の延長が決まっていた。今回、福島県はさらに1年間の延長を決めたが、同時に打ち切りも決められた。

埼玉などで生活する県外避難者には、避難指示区域の内外を問わず、公営住宅や民間アパートを公費で借り上げてきた。しかし今回の決定で避難指示区域外から福島県外に避難した自主避難者への無償提供は打ち切られる形になる。

福島県避難者支援課の担当者は今回の決定をめぐり、「全県一律でさらに1年延長することを決めた。応急救助を目的とした災害救助法に基づく支援としては異例だ」と説明する。無償提供の打ち切りについては「(福島県内の)生活環境は整っている。16年末までの除染を目標に進めている」と理解を求めた。無償提供の終了後、福島県は県内に帰還を希望する避難者に、引っ越し費用の支援などを検討しているという。

埼玉に住む自主避難者の中には、すでに生活の基盤を埼玉県内に置いている家族が多い。今回の福島県の決定に、「経済的に厳しい。何とか延長してほしい」と悲痛な声を上げる。

南相馬市の実家から家族4人でさいたま市に避難している40代の女性は、子どもがすでに学校になじんでいるなどの現状に触れ、「追加被ばくなど子どもの健康被害もある。(福島に)戻る選択肢はない」と話す。今回の福島県の決定について「正直がっかり、残念な気持ちです」と声を落とした。南相馬市の実家の除染はまだ終わっていないという。

「震災支援ネットワーク埼玉」の愛甲裕事務局長は、埼玉県内の自主避難者の実態に触れ、「自ら望まない選択を余儀なくされ、避難せざるを得ない立場にいる。一定の地区で線引きされ、公平な対応になっていない」と打ち切りに苦言を呈した。

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