2015/06/27

栃木/原発事故で客足減って つり場の母“奮戦” 自慢の魚や山菜商品化

2015年6月27日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150627/CK2015062702000138.html


地元産の食材で作った商品を手にする塩生美智子さん=日光市で



 「つりコン」が企画された背景には、原発事故の影響で減った客足を何とか取り戻そうという思いがあった。「三依渓流つり場」を家族で営む塩生康幸さんの母、美智子さん(61)も必死に歩んできた。

東日本大震災と原発事故は、康幸さんが東京での会社勤めを辞め、後継ぎとして地元に戻り両親と経営を始めようとしていたところで起きた。放射線の風評被害で誰も釣り場を訪れず、客数、売り上げともに半減した。地元産の山菜やキノコも売れなくなった。

「三依に独身者が多く、お嫁さんが来なかったこともあり、釣りに来てくれるお客さんと女性の出会いの場もつくりたかった」と美智子さん。

原発事故から一年四カ月後の二〇一二年七月に「つりコン」を初めて開催。美智子さんは康幸さんと話し合い、自慢の川魚や山菜を使った商品を次々に考案した。

マスの身を削った自家製ふりかけ、サンショウのつくだ煮など商品はどれも手作り。震災前から作っていたイワナ、ヤマメ、マスの甘露煮の数も増やした。美智子さんは「息子が、私の作ったものをみんなに食べさせたいというので、仕事がどんどん増える」と苦笑する。

商品は釣り客がお土産に購入してくれるほか、インターネットでの問い合わせも増えた。苦境からの創意工夫で遠のいた客足を取り戻し、現在は客数や売り上げが震災前の八割まで回復しているという。

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