http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201609/CK2016092102000182.html
◆塩谷の「子供を守る会」大山さん
「大きな一歩」。塩谷町が、東京電力福島第一原発事故当時、十八歳以下だった町内の子どもを対象にした独自の甲状腺検査を来年二月にも実施すると決めたのを受け、町の住民団体「原発・放射能から子供を守る会・塩谷」の大山昌利さん(55)はこう歓迎する。一方で「原発がなければ、こんな事態にはならなかった」と指摘。原発再稼働に突き進む政府の姿勢に警鐘を鳴らす。
(中川耕平)
大山さんは事故から三カ月後の二〇一一年六月に、町民有志で「守る会」を発足。当初から町内の空間放射線量を計測するなど精力的に活動してきた。
一四年からは、隣の矢板市の市民団体などと協力し、集団甲状腺検査を実施。これまでに矢板、塩谷両市町の公民館で一度ずつ開催し、約二百五十人が受診した。十一月には三度目の検査を町で開く予定だ。
だが「民間でやるには限界がある」とも感じていた。準備には時間がかかり、人手や資金にも限りがあるため、一度の検査で受診できるのは百人程度。こうした事情から町に独自の検査実施を求め続けてきた。
栃木県は福島県と違い、国費での甲状腺検査が行われていない。事故直後、県内でも北部を中心に放射線の影響が広がり、幼い子どもを持つ母親らから同様の検査を求める声が上がったが実現していない。
大山さんは町費での検査が行われるのを歓迎する一方、そもそもの原因は原発にあると考えている。町が高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分場(長期管理施設)の候補地となっていることにも触れ、「原発の『安全神話』を信じ、国にだまされた。問題の根源は同じで、国の身勝手な考え方に振り回されてきた」と憤る。
この五年の「守る会」の活動を通じ「震災の記憶が風化する中、町民の放射線問題に対する理解は徐々に広まってきた」と感じている。「大切なのは、問題に気づいて声を上げ続けること。そうすれば、今回のように検査が実施されるように変わることがある」と訴えている。
「甲状腺検査の実施は大きな一歩」と歓迎する大山昌利さん=塩谷町で |
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