2016/09/18

【報道まとめ】「3・11甲状腺がん子ども基金」の設立記念シンポジウム

甲状腺がんの子ども支援シンポジウム 寄付を呼びかけ

2016年9月17日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160917/k10010690541000.html 


福島第一原発の事故後に甲状腺がんと診断された子どもたちを支援する団体が都内でシンポジウムを開き、長期的な定期検査の充実を求めるとともに、経済的な支援を行うための寄付を呼びかけました。
このシンポジウムは原発事故後に福島県が行った検査で甲状腺がんと診断された子どもたちを支援する「3・11甲状腺がん子ども基金」が開き、およそ350人が参加しました。

はじめにチェルノブイリの原発事故の後、ベラルーシで子どもたちの甲状腺がんの治療にあたった外科医で長野県の松本市長、菅谷昭さんが講演を行いました。

この中で菅谷さんは、ベラルーシでは事故から30年がたった今も汚染された地域の6歳から17歳までの子どもに対して国が甲状腺検査などの定期健診を年2回、行っていることを紹介しました。そして、福島県で診断された甲状腺がんが事故による影響なのか、現時点で特定することは難しいとしたうえで、疫学的な検証をするためにも国や県は定期検査に力を入れるべきだと指摘しました。

一方、基金によりますと、甲状腺がんと診断された子どもの中にはリンパ節への転移などが確認された子どももいるということで、経済的な支援を行うため寄付を呼びかけました。




小児甲状腺がんシンポ、福島事故 「不安深まる」と支援呼び掛け

2016年9月17日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016091701001658.html

東京電力福島第1原発事故後に甲状腺がんとなった子どもの治療費を支援する「3・11甲状腺がん子ども基金」は17日、東京都内で設立記念シンポジウムを開いた。会場では当事者の「患者同士が関わり合うなどのサポート態勢がなく不安が深まった」との声を紹介し、支援を呼び掛けた。

同基金は小泉純一郎元首相、細川護熙元首相らが呼び掛け人で、9日に設立会見を開いた。被ばくによる健康影響の調査も進めるという。

シンポジウムでは「がんの疑いと診断された時、まず生じたのは『今後どうなるのか』という不安。治療費や、将来の結婚差別などを考えた」という、当事者のメッセージが代読された。
(共同)

 「3・11甲状腺がん子ども基金」の設立記念シンポジウムで、
講演する長野県松本市の菅谷昭市長=17日午後、東京都北区


「定期健診にもっと力を」 甲状腺がん子ども基金・シンポジウム

2016年9月18日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160918-112599.php

東京電力福島第1原発事故後に18歳以下の県民を対象とした甲状腺がん検査で「がん」と診断された子どもの手術費や通院費用などを支援する「3・11甲状腺がん子ども基金」(崎山比早子代表理事)は17日、東京・王子で設立記念シンポジウムを開いた。

基調講演の講師は甲状腺専門医としてチェルノブイリ原発事故の医療支援に当たった長野県松本市長の菅(すげの)谷(や)昭さんが務めた。菅谷さんは同原発事故で被災したベラルーシが、事故から30年を経過しても汚染地域の6~17歳の子どもには甲状腺検診を含む年2回の定期健診を国費で実施している現状を説明。子どもたちの健康を守るため「日本でも定期健診にもっと力を注ぐべきだ」と指摘した。

東京電力福島第1原発事故後の甲状腺がんについては「自然発生したがんと、放射線で誘発されたがんを区別することは難しいのではないか。検査結果を注視していく必要がある」と述べ、長期の低線量被ばくの影響についても対応が必要と訴えた。

また、崎山代表理事らとのパネル討論も行われ、菅谷さんは「住民が(甲状腺がんなどに)不安を抱えている限りは国や行政が向き合うのは当然だろう」と述べた。


【3・11甲状腺がん子ども基金】菅谷昭市長が指摘するこの国の誤り。「健康調査の充実を」「長期保養も必要」~基金はまず患者の経済的支援へ

2016年9月18日 民の声新聞

「3・11甲状腺がん子ども基金」の設立シンポジウムが17日午後、都内で開かれ、基金の特別顧問である長野県松本市長の菅谷昭さんが基調講演。チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ共和国で甲状腺治療に従事した経験から「甲状腺ガンはもちろん、他の健康障害も長期的な観察が必要だ」と訴えた。また、決して財政が潤沢でないベラルーシが国家予算で子どもたちの長期保養に取り組んでいるのに対し、日本は「政府が無関心」、「これが安倍総理の言う『被災者に寄り添う』なのか」などと批判。「やっとここまで来た。重要な基金が設立された」と語った。基金は寄付を募りながら、11月以降、小児甲状腺ガン患者への療養費の給付などに取り組んでいく。

【甲状腺ガンばかりでない健康被害】

「福島の事故は、たった5年、わずか5年が経過したに過ぎないのです」

チェルノブイリ原発事故による人体や環境への影響は、30年経過した今も収束したとは言えず、長期にわたって注意深く経過観察をしていく必要がある。菅谷市長はその前提に立った上で「福島で見つかっている甲状腺ガンの原因など、現時点では特定出来ない。『放射線の影響ではない』ではなく『分からない』と言うべきだ。今すぐ結論を出すことは控えた方がいい。スクリーニング効果だという指摘があるが、ではなぜ7割以上がリンパ節や肺などに転移しているのか。最近は逆の方向に行く動きもあるようだが、国や福島県は定期検査にもっと力を注いで、疫学的事実を集積していくことが必要だ」と語り、福島県や福島県立医大による甲状腺検査「縮小」の動きをけん制した。

日本では甲状腺ガンばかりが注目されるが、チェルノブイリ原発事故後の健康被害として「免疫機能の低下」、「造血器障害」、「集中力低下」、「疲れやすい」などが報告されている。6歳から17歳までの定期健診では、眼科や歯科検診、血液、尿検査も実施されている。ゴメリ州の産科医は「ぜんそくや皮膚疾患などのアレルギー疾患、胎児異常の増加」を指摘しているという。

ベラルーシでは、汚染地域に暮らす子どもたちを対象に年1回、1カ月間にわたる非汚染地での長期保養が実施されている。費用は全て国家予算で賄われ、保護者の負担は無い。今年7月、地元の男性医師に「日本ではなぜ、国家的保養プロジェクトを実施していないのか」と尋ねられ、答えに窮したという。

「向こうでは、保養を非常に重視している。汚染地で生活していると、注意していても汚染された食べ物を食べてしまう。でも、3週間から1カ月、きれいな土地で生活すると排出される。精神的にも良い。私も福島第一原発事故当初から保養は長期でやるべきだと言ってきた」と菅谷市長。松本市では2011年8月、「信州まつもとこどもキャンプ」として飯舘村の子どもたちを受け入れた。現在は「NPO法人まつもと子ども留学基金」をバックアップしている。菅谷市長は「経済的に厳しく、原発が元々無いベラルーシでさえ無料で長期保養を実施している。日本も国の責任を果たすべきだ。国民がムーブメントを起こすべきだ」と訴えた。

「公人だから物を言うのがつらい」、「松本市は予算を減らされるかも」などと笑いも誘った菅谷市長だったが、国の帰還政策はきっぱりと批判した。

「一定の年齢以上の方が故郷に戻りたいという気持ちは分かる。しかし、今なお原子力緊急事態宣言は解除されていない。それなのに海外で『アンダーコントロール』と言ったり、若者や子どもに『大丈夫だから帰還しなさい』と言ったりする。矛盾している。大丈夫なら年20mSvでなく年1mSvに戻すべきだ」

甲状腺ガンを含む幅広い健康調査の充実、国家予算での
長期保養施策の必要性を訴えた菅谷昭・松本市長


【「日本はなぜ厳しく制限しないのか」】

1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故。菅谷市長は1991年3月、医療支援活動に参加して初めて現地入り。当時は信州大学医学部第2外科の医師だった。「原発から100メートルほどにまで近づいたが、線量計のアラームが止まらない。でも痛くもかゆくも何ともない。測って初めて高度な汚染が分かる。放射性物質の恐ろしさを実感した」と振り返る。当初は執刀する予定は無かったが、現地の医療関係者の求めで96年には甲状腺ガン手術も行っている。

当時のソ連は、一番重要な国家行事であるメーデーを控え、原発事故の発生を公表しなかった。「私たちの国では、メーデーは命に先行するんです」。住民は菅谷市長にこう語ったという。

5年半、ミンスクやゴメリ、モーズリに滞在して帰国。2012年に久しぶりに現地を訪れた際、現地の人から「日本はどうして、私たちと同じように厳しくやらないのか」と質問されたという。現地では年5mSvで居住禁止。日本政府は年20mSvを下回ったことを理由に避難した住民を戻している。また除染についても「除染してもしきれない」と費用対効果の面からも現地では行われていないという。今村雅弘復興大臣は「出来る出来ないじゃない、やるんだ」と、帰還困難区域の部分除染に着手することを表明している。「福島では、汚染された山をどうやって除染するのか。そう簡単にはいかない」と疑問を投げかけた。

今年7月初旬、30年目の現地も訪問。居住禁止区域で線量計は0.4μSv/hだったという。「畑に入るともっと上がる」。ちなみに、0.4μSv/hは、現在の福島県中通りでは決して珍しくない数字だ。

菅谷市長が執刀した女性の中には、母親になっている人もいた。〝ベラルーシの孫〟を抱かせてもらった。明るさを取り戻し、子どもを育てる姿に「原発事故は確かに影の部分が多いが、結婚できるんだ、子どもを産めるんだという光も見た。そういった部分もプロパガンダしていきたい」とも話した。健康被害が出ていることも事実。出ていない人がいることも事実。

講演後、ぶら下がり取材に応じた菅谷市長は「脱被曝は右も左も政治信条も関係ない。健康被害が起きてからでは遅い。分からないなら、不安に応えるべきだ。福島県の内堀雅雄知事について私も立場上、云々出来ないがニュアンスで感じて欲しい。市長を辞めたらたっぷりお話しする。高村昇先生?彼はベラルーシに行かれた方が良い」などと語った。


【患者の重い経済的、精神的負担】

「3・11甲状腺がん子ども基金」は今年7月20日に設立。①3.11当時子どもだった甲状腺ガン患者に対する療養費の給付②小児甲状腺ガン患者への理解を広めるためのキャンペーン③被曝による健康影響に関する調査を目的としている。

代表理事の崎山比早子さん(元国会事故調査委員)は「福島県では甲状腺ガンが多発している。疑いも含めて174人が甲状腺ガンと診断された。経済的、精神的負担は重い。甲状腺ガンが軽く見られている。生存率だけで語ってはいけない」と語った。療養費の第1期受け付けは、11月以降に予定しているという。細胞診で実際に甲状腺乳頭ガンと診断された人のメッセージが代読されたが「都内の大学に通っているのに、必ず福島県立医大まで通わなければいけない。しかも曜日が決まっている。交通費や治療費の負担は厳しい。将来の結婚など精神的にも大変だ」などと訴える。

副代表理事の武藤類子さん(福島原発告訴団長)は、原発事故直後にもかかわらず福島県内で県立高校の合格発表が屋外で実施され、給水や制服の採寸のために屋外に子どもたちが長時間並んだことなどを挙げ「この国には、子どもたちを必死に守ろうという強い意志が感じられない」と話した。「土ぼこりの中、子どもたちが走り回っているので学校に問い合わせたら『3.8μSv/hを下回っているから大丈夫』と言われた」とも。

基金は広く寄付を募っている。詳細はホームページ http://www.311kikin.org/ まで。

小児甲状腺ガン患者の経済的支援を目的に設立された「3・11甲状腺がん子ども基金」。
広く寄付を募っている=東京都北区の「北とぴあ」つつじホール



3・11甲状腺がん子ども基金 設立シンポ支援呼び掛け

2016年9月18日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201609/CK2016091802000128.html

東京電力福島第一原発事故後に甲状腺がんとなった子どもの治療費を支援する「3・11甲状腺がん子ども基金」は十七日、東京都内で設立記念シンポジウムを開いた。会場では当事者の「患者同士が関わり合うなどのサポート態勢がなく、不安が深まった」との声を紹介し、支援を呼び掛けた。

同基金は小泉純一郎元首相、細川護煕元首相らが呼び掛け人で、九日に設立会見を開いた。被ばくによる健康影響の調査も進めるという。

シンポジウムでは「がんの疑いと診断された時、まず生じたのは『今後どうなるのか』という不安。治療費や、将来の結婚差別などを考えた」という、当事者のメッセージが代読された。

チェルノブイリ原発事故後にベラルーシで子どもたちを診察し続けた医師の菅谷(すげのや)昭・長野県松本市長も講演。現地では、事故から三十年たつ今も住民の定期健診が続いていることを紹介した。

菅谷氏は「福島は事故からまだ五年。がんが自然発生なのか、放射線の影響なのかを区別するのは不可能だ。今後の経過を注視し続けないといけない」と語った。

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