2014/10/06

母子世帯の産前産後を支援/山形


母親の外出時に赤ちゃんの世話をするスタッフ
 福島第1原発事故の影響で山形県内に避難している母子世帯の子育てを支えようと、山形の母子避難者らでつくる「りとる福島」が、出産前後の育児と家事の支援サービスに乗りだした。避難生活が長期化し、山形で子どもを産むケースは少なくない。近くに頼れる親族らがいない状況で、産前産後を過ごさざるを得ない母親らの利用が増えつつある。

 支援サービスは、介護や子育て支援などを行う山形市のNPO法人「山形わたげの会」と連携し、民間の助成金を活用して今春から山形市内で実施している。妊娠中の母親や1歳未満の乳児のいる避難世帯と、小学生以下の子どものいる避難世帯を対象とする。
 事前に登録した家庭をスタッフが訪問、低料金で食事支援や買い物、外出時の子守を担う。利用者は少しずつ増え、現在13世帯が登録している。
 特に希望が多いのは、産後の育児支援という。母親が上の子どもの学校や幼稚園の行事に出席する際の保育の依頼が大半を占める。父親は福島に残って仕事をしていて、頻繁に山形に来ることが困難なためだ。
 福島市から山形市に避難し、昨年、長女を出産した神野彩佳さん(30)も外出時にサービスを利用する。「通常の一時預かりは料金も高い。二重生活なので経済的にも助かる」と強調する。
 事業を担当する「りとる福島」のスタッフ西尾紋子さん(29)は「原発事故当時、小さい子を連れて避難してきた世帯では、昨年ごろから第2子、第3子を出産する人が目立つ。潜在的な支援ニーズは少なくない」とみる。
 同団体は今後、山形市に次いで避難者の多い米沢市や天童市でも、サービスを展開する予定だ。西尾さんは「誰でも子どもを産み育てる権利がある。避難中だからといって諦めることのないよう、子育て環境をさらに整えたい」と説明する。
 山形県によると、2日現在、山形で生活する福島県内からの避難者は4323人。

2014年10月6日
河北新報

0 件のコメント:

コメントを投稿