2015/03/27

新潟/福島帰還 迫る親友との別れ 本県へ避難 震災直後から共に支え合う


2015/3/27 新潟日報
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20150327171351.html

東京電力福島第1原発事故で福島県から本県に避難している人の中には、年度が替わるのに合わせて福島に戻る人もいる。福島県南相馬市から新潟市西区に娘3人と共に避難している西村礼恵(ひろえ)さん(40)も4月上旬に帰ると決めた。家族そろって暮らせるようになるのは安心だ。ただ、次女の彩那ちゃん(10)は震災直後から共に避難生活を支え合ってきた親友との別れが近づき、寂しさを募らせている。

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「日菜(ひな)と離れるのはいや」。彩那ちゃんは、親友の杉浦日菜ちゃん(10)と別れるのがつらい。2人は幼稚園の頃から仲が良く、家族ぐるみのつき合いだった。原発事故直後、礼恵さんは日菜ちゃんらが新潟に避難したことを知り、彩那ちゃんらを連れて新潟を目指した。

避難生活を始めた新潟市の体育館では隣同士だった。その後移った借り上げ仮設住宅のアパートも近所。2人はいつも一緒だった。彩那ちゃんは、新潟市の小学校でも日菜ちゃんがいるからなじむことができた。

新潟での暮らしにも慣れたが、彩那ちゃんの姉(12)の中学進学が今春に迫った。礼恵さんは悩み抜いた末に、2月上旬の家族会議で帰還を決めた。毎週末、車で新潟を訪れていた夫(40)の体も気遣った。

南相馬に戻ることを決めたが、礼恵さんの不安は消えない。放射線量が高い場所はまだあり、医療機関も新潟より少ない。そして、何より日菜ちゃんと離れることになる彩那ちゃんが心配だ。礼恵さんは帰還した後も、月に1回は新潟を訪れようと思っている。

引っ越しまであとわずか。彩那ちゃんはそれまで、日菜ちゃんと毎日遊ぶことにしている。シャボン玉やおままごとをしながら、「日菜は宝物だよ」と告げた。「私もだよ」。2人はぐっと涙をこらえた。

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<なお4076人が避難>

県によると3月6日現在、東京電力福島第1原発事故や東日本大震災で本県には4076人が避難している。福島県からが3925人(病院や福祉施設は除く)を占め、うち南相馬市からが891人と最も多い。そのほか郡山市693人、浪江町452人、福島市442人などとなっている。

新潟日報社の調べでは、本県への避難者は震災発生直後の2011年3月は1万人を超えたが、4年間で半数以下になった。

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