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9月27日と28日の2日間にかけて開催された甲状腺課題に関する国際専門家会議 「福島における甲状腺課題の解決に向けて〜チェルノブイリ 30 周年の教訓を福島原発事故5年に活かす」の出席者が取りまとめた提言書を、主催した日本財団が9日、福島県の内堀雅雄知事に提出した。
甲状腺検査のあり方提言する専門作業部会設置を提案
提言書では、現在、集団で行われている健康診査と甲状腺検診について見直し、自主参加にすべきと提言。また福島県に対し、甲状腺検査のあり方について提言する専門作業部会「原子力災害と健康モニタリング」の設置を提案した。提言をとりまとめたのは、日本財団の笹川陽平会長のほか、笹川記念保健協力財団喜多悦子理事長、丹羽太貫放射線影響研究所理事長、山下俊一長崎大学副学長ら。専門家会議は、国連科学委員会(UNSCEAR)、国際原子力機関 (IAEA)、世界保健機関(WHO)、国際放射線防護委員会(ICRP)といった海外の機関から多数の専門家が参加。国内の研究者も交えて、甲状腺がんにテーマを絞り議論していた。
福島県の甲状腺がん検査をめぐっては、「過剰診断」が起きているとして、福島県の小児医会などから県へ検査の縮小を提言している。
福島県に提出された「将来への提言」
(1)福島県民健康調査事業、特に甲状腺超音波検査の今後については、地域の ステークホルダー(利害関係者)、すなわち直接その決定によって影響を受 ける関係者の課題である。甲状腺検診プログラムは、個人と集団全体のリ スクと便益、公衆衛生上の人的ならびにその他の資源の需要、他の国々の 同様なプログラムなどの分析を考慮した上で決定されなければならない。 健康調査と甲状腺検診プログラムは自主参加であるべきである。(2)甲状腺異常が発見された場合の対応や治療方法も含めて、将来起こり得る 予後とリスクについて、何故検査が行なわれているのかについての明確な コミュニュケーションを行うことが、検診を受ける対象者とその家族には 不可欠である。これは、現在実施中の検査の一部として、顔の見える関係 でなされるべきである。このコミュニュケーション戦略を支えるネットワ ークづくりと合わせて、訓練を受けた人材、すなわち事情を理解した参加 者、実施者、医療専門家が、それぞれより多く必要となる。この調査に参 加している人たちが、偏見や差別を受けないように、検査を受けない一般 住民とのコミュニケーションについても改善策が必要である。
(3)放射線と健康問題に関する国際機関の豊富な経験に照らし合せ、WHO(世 界保健機関)、IAEA(国際原子力機関)、ICRP(国際放射線防護委員会)、 NCRP(米国国立放射線防護審議会)、UNSCEAR(原子放射線の影響に関す る国連科学委員会)そして IARC(国際がん研究機関)などの機関との国際 協力が重要である。福島の経験を国際社会と共有するために、国際機関と 国内組織との共同事業が奨励され、強化されるべきである。
(4)福島県は、国内外の関係機関と協力し、過去と現在において学んでいる教 訓から、如何に最善の対応策を生み出せるかを熟考することで、これら関 係機関と強靭で調和のとれた協力関係を長期にわたり効果的に続けること ができる。 一つの可能性として、福島原発事故の健康影響の低減と健康モ ニタリングに関する課題を取上げる専門作業部会の招集がある。専門作業 部会の一つとして、「原子力災害と健康モニタリング」が考えられ、特に、 甲状腺問題に焦点を絞ることで、現在の福島における甲状腺超音波検査の 将来について、専門的な提言を提供できる可能性がある。この国際的な合意は、政府や福島県、県内市町村、被災した地域の住民代表などすべての 利害関係者と共有され、現在の甲状腺超音波検査プログラムの改善につな げるべきである。
提言書のダウンロードはこちら
日本財団
http://www.nippon-foundation.or.jp/news/pr/2016/132.html
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