2015/11/30

<福島第1>焼却施設、運転開始

2015年11月30日  河北新報
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151130_63051.html

東京電力は福島第1原発の廃炉作業で発生する防護服や廃材などを焼却処理する「雑固体廃棄物焼却設備」の試験運転を始めた。排ガスに含まれる放射能濃度の低減効果などを確認後、2016年3月までに本格稼働させる。
試験運転が始まった雑固体廃棄物焼却設備
設備のラインは2系統あり、1日最大600キロの焼却処理が可能。高温の排ガスを冷却し、フィルターを通すことで放射能濃度を100万分の1にまで低減する。焼却灰はドラム缶に詰め保管する。
 

試験運転は25日に始まった。汚染されていない模擬廃棄物の処理を行った後、放射性物質を含んだ廃棄物の焼却試験を来年2月に始める。

第1原発で発生する廃棄物は構内から持ち出せない。廃炉作業の本格化に伴い、使用済み防護服が1日1万着近くに上るなど、焼却による減容化が必要な状況となっている。

福島/震災で転校、2万人割る 文科省「今も多くが避難」

2015.11.30 産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/151130/afr1511300011-n1.html

文部科学省は30日、東日本大震災の影響で転校した小中高校生や幼稚園児が5月1日現在で、昨年同期より2253人減って1万9522人となったと発表した。被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県でも減少し、調査開始以降初めて2万人を割った。

文科省は「転校先に生活基盤ができると元に戻りにくいという話も聞いている。今も多くの子どもが避難している現状に変わりはない」としている。

3県から他の都道府県に移ったのは、1181人減の1万271人。福島からが8729人(1038人減)、宮城は1258人(142人減)、岩手が284人(1人減)で、東京電力福島第1原発事故による影響が残る福島が8割以上を占めた。3県の子供の受け入れ先は山形1119人、新潟1092人など。

同一県内で転校した子供は福島で5177人(337人減)、宮城2016人(307人減)、岩手843人(239人減)だった。

[福島日報ダイジェスト] 「国見町のサツマイモから3ベクレル」10月21~22日 

(フクシマン・マサさんメルマガより転載させていただきます。http://ameblo.jp/masa219koro/ からメルマガ登録できます。子ども全国ネット)

10月22日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、郡山市、三春町市、平田村などで、農産物、畜産物等122検体について、放射性セシウムの検出検査が行われました。
その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。
また測定下限値を超える数値が検出された検体は、全体の約4%にあたる5件でした。
その品目と産地、数値は次の通りです。

南相馬市産の柿2件から 63.1Bq/kg、3.36Bq/kg
大玉村産の柚2件から 4.59Bq/kg、3.54Bq/kg
伊達市産のサツマイモ 2件中の1件から 3.36Bq/kg


続きまして、10月21日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、郡山市、南相馬市、西郷村などで、水産物、畜産物等251検体について、放射性セシウムの検出検査が行われました。

その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。
また測定下限値を超える数値が検出された検体は、全体の約9%にあたる23件でした。
その品目と産地、数値は次の通りです。

大玉村杉田川産のイワナ1件から 99.1Bq/kg
いわき市産のイシガレイ1件から 41.23Bq/kg
伊達市布川産のヤマメ1件から 34.6Bq/kg
伊達市阿武隈川産のコイ1件から 24.3Bq/kg
北塩原村檜原湖産のワカサギ1件から 24.3Bq/kg
会津若松市猪苗代湖産のウグイ1件から 20.6Bq/kg
いわき市産のコモンカスベ4件中の4件から 20.4Bq/kg~11.9Bq/kg
金山町沼沢湖村産のヒメマス1件から 18.5Bq/kg
富岡町産のシロメバル1件から 14.4Bq/kg

詳しくお知りになりたい方は、福島県のHPより「ふくしま新発売」、厚生労働省 および、 郡山市のHPより「食品中の放射性物質の検査結果について」をご覧ください。

2015/11/29

福島から自主避難の住民 無償住宅の打ち切り撤回を要求

2015年11月29日 スポニチhttp://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/11/29/kiji/K20151129011593330.html

東京電力福島第1原発事故で福島県の避難区域外から自主避難した住民らが28日、都内で開かれた集会に出席し、災害救助法に基づく借り上げ住宅の無償提供を2016年度末で打ち切る福島県の方針について、撤回と支援継続を訴えた。

妻と息子4人がさいたま市に避難している福島県郡山市の中学校教諭瀬川芳伸さん(53)は、除染後も自宅の放射線量が十分に下がっていないと指摘。「支援がなくなると今の収入では家族を支えられない。年齢的に転職も難しく、行政の対応は不可欠だ」と述べた。

福島市から娘3人と山形県米沢市に移った会社員渡辺加代さん(39)も「長女が中学校に上がったばかりで、このままでは新しい環境に慣れたころに家を失うことになる」と訴えた。

2015/11/28

福島県の農業人口29%減 高齢化、原発事故など影響

2015年11月28日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151128-031419.php

農林水産省が27日発表した2015(平成27)年の農林業センサス(速報値)によると、県内の農業就業人口は7万7435人で、10年の前回調査に比べて3万1613人減少した。減少率は29%で、全国平均の19.8%を約10ポイント上回った。年齢別では全ての年齢層で減少。平均年齢は0.3歳上昇して67.1歳となり、高齢化が離農の一因とみられる。


県によると、原発事故の風評やコメの過剰在庫による米価下落など複合的な要因が重なり、インターネットなどで消費者に直接農産物を販売する農家が5年前より50%減り、稲作農家も20%以上減少した。

環太平洋連携協定(TPP)への対応も迫られる中で法人化や経営規模の拡大など農業の体質強化が進んでいない状況が浮き彫りとなった。今回の調査は、原発事故による避難区域(14年4月1日時点)の双葉町など7町村の全域と南相馬市など3市町村の一部地域を対象外としており前回調査と単純に比較はできない。

前回の避難区域の農業就業人口は7297人。前回と今回を同じ対象地域で比較するため、前回の数値から避難区域の就業人口を差し引いた就業人口は10万1751人となる。対象地域を同じくして比べても今回の農業就業人口は前回より2万4316人(23.9%)減っており、離農が全県的に進んでいる状況が見て取れる。

法廷・取材帳:福島第1原発事故 原発避難訴訟、長女の作文朗読「家族がおかしくなった」 /埼玉

2015年11月28日 毎日新聞
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20151128ddlk11040340000c.html

 ◇幸せ奪われた人の現実、訴えたい
東京電力福島第1原発事故から4年8カ月余りたった25日、福島県いわき市から長男(10)と長女(8)を連れて県内に自主避難している河井加緒理さん(34)が、さいたま地裁の法廷で、今も続く避難者の厳しい現状を訴えた。

原発事故で福島県内から埼玉に避難している河井さんら7世帯22人は、国と東電を相手取り約2億4000万円の損害賠償を求めている。25日に第1回口頭弁論があり、河井さんが意見陳述した。

河井さんは震災から3日後の3月14日、自宅のあったいわき市を離れた。「避難指示」はなかったが、健康被害から子どもたちを守りたい一心だった。

仕事のある夫とは離ればなれの生活が続き、震災から約8カ月後に離婚することになった。避難先として落ち着いた埼玉で働きながら子どもを育てる生活が始まったが、子どもたちは体調を崩しがちに。河井さんも子どもたちを守り切れていないという罪悪感から精神的に不安定になった時期があったという。

河井さんは「いわきでは、子どもを自然の中でのびのび育てたいと、休日には家族で海や山に出かけて四季の恵みを感じ、夜はベランダで夜空を眺めました」と振り返り、裁判官に「どうか想像力を働かせ、避難を余儀なくされた人の立場に立って公正な判断をしてほしい」と訴えた。

河井さんは長女の作文も読み上げた。「私は最近、地震と聞くと体が震えて泣いてしまいます。こわくてたまりませんでした。(中略)私は悲しくなりました。だって、家族がおかしくなってしまったからです」

閉廷後、仲むつまじく夜空を見上げる親子の姿を思い浮かべた。「ささやかな幸せ」を突然奪われた福島の人たちのことを忘れてはいけない。「想像」することを怠らず、私も報道という形で、避難者の現実を訴えていきたいと思う。【山寺香】

日本で甲状腺ガンが激増する理由――白石草×広瀬隆対談【後篇】

2015年11月28日 ダイヤモンド社書籍オンライン
http://diamond.jp/articles/-/81865

原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた
『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。本連載シリーズ記事も、累計290万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、
OurPlanet-TVの白石草(はじめ)氏が初対談! 
白石氏は『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち』(岩波書店)で、具体的な固有名詞や数値を出しながら、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故のその後を詳細にレポートした。
また、OurPlanet-TVでも、フクシマ原発事故に関する衝撃的な映像を日々公開している稀有な女性だ。
そんな折、8月11日の川内原発1号機に端を発し、10月15日の川内原発2号機が再稼働。そして、愛媛県の中村時広知事も伊方原発の再稼働にGOサインを出した。
本誌でもこれまで、
38回に分けて安倍晋三首相や各県知事、および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
スベトラーナ・アレクシエービッチ著『チェルノブイリの祈り』がノーベル文学賞を受賞した今、白石氏がチェルノブイリとフクシマの現地で把握した事実と科学的データはあまりにも重い。
安倍政権によって、真実の声が次々消される中での対談最終回をお届けする。
(構成:橋本淳司)



岡山大学・津田敏秀教授の
衝撃的な発表


広瀬 岡山大学の津田敏秀教授が、つい先日の2015年10月8日、東京都内にある日本外国特派員協会で記者会見をして、こう警告しました。

「1986年に起きたチェルノブイリ原発事故のあとに甲状腺ガンの発症が多発したケースが、福島に重なる事態は避けがたい」と。

つまり、ベラルーシにおける甲状腺ガンの症例数の変化のグラフを示して、現在の福島県は真ん中の赤い矢印のあたりにあり、事故から4年以上を経過しているので、これから青い四角で囲った領域に突入してゆくことが予想される、という重大な警告です。

 



広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

 

この会見はOurPlanet-TV見られますので、すべての日本人が見るべきです。
というのは、記者会見を多数の日本人が取材していながら、ほとんど報道ゼロだからです。
ニューヨーク・タイムズで報道したのに、これほど重大な内容が無視される日本とは、いったい何なのでしょう。
白石さんは、最初に津田さんを取材した人なので、くわしく説明してください。

白石 最初の取材は、2013年3月でした。
津田教授は水俣病、じん肺訴訟、淀川大気汚染裁判など、さまざまな公害裁判に関わり、疫学調査に基づいた意見書を書いてきて、原告勝訴を導いてきた方です。
結局、こういう問題では、その研究者がどこに立っているか、ということがすごく重要です。
今回の研究論文は、今年、2015年10月7日、国際環境疫学会が発行する医学雑誌『Epidemiology(疫学)』のオンライン版に掲載されたものです。
福島県が、2011年から2014年末までに、18歳以下の福島県民の約37万人を対象に実施してきた、甲状腺の超音波検査の結果を、津田先生が分析したところ、中通りと呼ばれる福島県の中部地域(二本松市、本宮市、三春町、大玉村)では、甲状腺ガンの発症率が日本の平均に比べて約50倍になっているというのです。
また、福島県内の平均でも約30倍の値になっていることなどが明らかにされています。




白石 草
(Hajime Shiraishi)
早稲田大学卒業後、テレビ局勤務などを経て、2001年に独立。同年10月に非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV」を設立。一橋大学大学院地球社会研究科客員准教授。2012年に「放送ウーマン賞」「JCJ賞」「やよりジャーナリスト賞特別賞」、2014年に「科学ジャーナリスト大賞」をそれぞれ受賞。著書に『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち』『メディアをつくる――「小さな声」を伝えるために』(以上、岩波書店)、『ビデオカメラでいこう――ゼロから始めるドキュメンタリー制作』(七つ森書館)などがある。



広瀬 津田さんは、あの外国人記者クラブで大事なことを言っていましたね。
 「直接私に対して反論する人はいません。
私の資料と見解について異論のある人は、陰口で批判せずに、公開の場で私と直接討論しなければならない。批判があれば、直接、公開で議論しましょう。陰口をやめて」と。
ここが一番大事なところです。
このとき、「なぜ岡山大学が」というちょっとイヤらしい質問が出ました。
言葉の端々に「岡山大学のような地方大学がなぜ?」というニュアンスが感じられました。
トンデモナイことです。
実は岡山大学は、大原社会問題研究所(現・法政大学大原社会問題研究所)と深いつながりがあります。
大正時代に岡山県倉敷の大富豪・大原孫三郎が大原社会問題研究所をつくり、高野岩三郎、森戸辰男、大内兵衛(ひょうえ)、櫛田民蔵(くしだたみぞう)などの社会学者を集めて労働問題に取り組みました。ここが原点なのです。

白石 津田さん自身も、そういうふうにおっしゃっていました。

広瀬 戦後に初代NHK会長になった高野岩三郎は、大原社会問題研究所の所長で、鈴木安蔵(やすぞう)と共に日本国憲法を生み出した人です。
これは、現在の
SEALDsに聞いてもらいたい話──つまり、憲法問題と原発問題の密接なつながりがある重要なところです。
それが、白石さんのおっしゃる、「研究者がどこに立っているか」という点ですね。津田先生が、そのイヤらしい質問に対して、

「私たちは、疫学の統計分野では日本一です。
 日本の疫学的解析能力は、アメリカ・ヨーロッパに比べて、きわめて低い」
と、はっきり言い切ってくれましたね。
岡山県には、ウラン採掘をしてきた人形峠があって、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地でもあり、岡山大学の研究者が、以前から、中皮腫など肺にできる癌は、吸い込んだアスベストにより肺に放射性物質のラジウムがたまって“ホットスポット”ができる、という重要な研究結果を発表してきたので、私は、知っています。

白石 津田先生のお話によると、日本の疫学者の多くはガンの治療薬の効果などを分析する研究者が多く、環境曝露(ばくろ)についてやっている人は少ないそうです。

広瀬 まったくその通りです。私も長い間、医学をやってきた中で、そうしたガンの治療の統計処理に、以前から大きな疑問を持ってきました。
日本の多くの医師には、病気を出さないという予防医学の視点が欠けているのです。水俣病の研究をされていた、私の敬愛していた原田正純(まさずみ)先生が、
「公害は、医者が出てきたときには手遅れだ」
と、この言葉を遺言として、フクシマ原発事故のあとで亡くなりました。
つまり、現在がその段階です。
津田先生たちが出てきたということは、もう手遅れだと言うべき段階に入っています。私たちが大量に被曝したのは事実ですし、この被曝は、すでに取り返しのつかない過去の出来事です。あとは、体内での時限爆弾の発症を待つだけです。
福島県内の現状について、くわしく説明してください。

2巡目「本格調査」
25人の衝撃


白石 福島での甲状腺検査は2011年10月から、事故当時18歳以下だった子どもを対象に開始されました。
2013年までの1巡目の調査は、「先行調査」という言い方をされています。
その検査で、113人が穿刺(せんし)細胞診という検査によって──つまり細胞を採取して、甲状腺ガンまたは甲状腺ガンの疑いがあると診断され、そのうち99人が手術を受け、1人を除く98人が甲状腺ガンであることが確定しました。
さらに、去年から2014~2015年に実施した2巡目の「本格調査」では、ガンの疑いを含めて、25人の甲状腺ガン患者と診断されています。

広瀬 その数字が、一般の人にはわかりにくいと思うので、くわしく説明してください。
とくに「1巡目」と「2巡目」の違いの意味を。

白石 この検査は、チェルノブイリ原発事故では、「事故後4年目までは多発がなかった」という前提で、前回の話題に出てきた山下俊一氏などが設計したものです。
1巡目というのは、まだ「被曝の影響がない」状況で、通常の状態でのガンを見つけ、それをベースラインにして、それ以降を比較しようというわけです。
1巡目を「先行調査」、2巡目以降を「本格調査」と呼んでいるのは、このためです。

ところが、想定外のことが起きました。
本来なら、被曝の影響が出ないはずの「先行検査」の段階で100人以上の甲状腺ガンが見つかってしまったのです。
さらに、今年、2015年8月31日に発表された途中段階のデータなのですが、2014~2015年に実施した2巡目の「本格調査」で、ガンの疑いを含めて、25人の甲状腺ガン患者が発見されました。
これはたいへん深刻な問題だと考えられます。

というのも、2巡目というのは、「2年前の検査では異常のなかった子ども」に新たにガンが見つかったからです。
つまり、原発事故のあと、この2年以内にガンが発症したということになります。それが25人いたのです。
もともと100万人に1人か2人しか発症しない稀少な甲状腺ガンが、2年間のうちに25人に見つかったというのは大問題なのです。
津田先生のグラフを見ても明らかなとおり、被曝の影響ではないと否定する材料はありません。
あらゆる可能性を想定して、今後に備える必要があると思います。

広瀬 逆算すれば、福島県の児童が何百万人もいなければ、これほどの発症率にはならない、ということですね。
福島県の人口は200万人です。100万人に2人という話をしているのに、25人も出てきたら、逆算したらとんでもない児童数がいなければならない……。

「津田ショック」は
海外でどう報じられているか?


白石 このことは海外では大きく報じられています。スクリーニングの写真も有識者のコメントも入っています。
「個人線量が明らかになっていないので弱点はあるが、非常に重要な視点で公衆衛生上、政策に生かしていかないといけない」

海外メディアでは下記のように紹介されているのです。
◆AP通信
http://bigstory.ap.org/article/9bd0b3e588634b908193939638126250/researcher-childrens-cancer-linked-fukushima-radiation#


◆NBC
http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/thyroid-cancer-rates-higher-kids-near-fukushima-nuke-plant-study-n440801


◆UPI
http://www.upi.com/Top_News/World-News/2015/10/08/Fukushima-radiation-hits-home-as-thyroid-cancer-rises-among-children/2801444327378/


◆ドイツのメディア
Fukushima aktuell: Zusammenhang zwischen AKW-Krise und Schilddrüsenkrebs vermutet
http://www.spreadnews.de/fukushima-aktuell-zusammenhang-zwischen-akw-krise-und-schilddruesenkrebs-vermutet/1147861/


◆イタリアのメディア
Tumori: Fukushima, picco di cancro alla tiroide nei bambini
http://www.focus.it/scienza/salute/tumori-fukushima-picco-di-cancro-alla-tiroide-nei-bambini#.VhXLIvWSGB8.twitter


津田さんのところには、海外の研究者から数多くのメールが届いていて、
「首相が記者会見を開くような話になっていないのか?」
と心配しているようです。それくらいのインパクトがあると、海外では考えられています。

広瀬 それが日本では、どの新聞にもほとんど載っていないのです。
共同通信と東京新聞のベタ記事だけですよ。バカじゃないのか、と怒鳴りつけたい気持ちでした。
このうちニューヨーク・タイムズの記事を、最近私がsearch(検索)したのですが、記者会見当日、10月8日に記事は書かれ、ヘッドラインは出てくるのですが、記事そのものが削除されていました。
理由はわかりませんが、どこかからの圧力なのか。

白石 この問題はタブーというか、誰も書けない状態になっています。
しかも、インターネット上での批判の多くは、疫学者によるものではなく、物理学者など別分野の方がほとんどであることも気になります。

広瀬 おかしいんだよ、これほど重大な事実が……なぜ書けないの。

 チェルノブイリを
一切学んでない日本


白石 私は津田さんの研究発表がこれだけ黙殺されているのは、かなり深刻な状況だと感じています。デング熱や新型インフルエンザでもそうなのですが、日本は通常、過剰なほど社会防衛的な予防措置をとる国ですが、原発だけが例外です。100人のガンを放置しています。津田さんが会見で何度も言っていました。
 「チェルノブイリのことを、この国は一切学んでない」と。
私も現地を取材してみて、本当にそう思います。
チェルノブイリでは、事故後4年目に、ウクライナで小児甲状腺ガンが多発しているという論文が発表されましたが、IAEAが「検査をしすぎによるスクリーニング効果である」と否定しました。
国際的に因果関係が認められたのはそれから5年後の1996年のことですが、それは、事故後に生まれた子どもたちをスクリーニングした結果、ほとんど甲状腺ガンが見つからなかったためです。
津田教授は、これらのデータも論文で引用しています。
いずれにせよ、これからの対策としては、まず医療体制をきちんと整備しないといけません。
日本は甲状腺ガンの専門医が非常に少なく、また、ヨード治療の施設も欧米より格段に少ないと言われていますから。

広瀬 チェルノブイリ原発事故の調査結果では、青年から、さらに成人に移行してから甲状腺ガンが発症するケースが増えてきました。
つまり福島県でも、もう事故から5年近くたっているのだから、検査対象を18歳以上に引き上げなくてはなりません。
それから被曝した人たちをサポートするためにも、日本全国の各地へ避難して散らばった人たちをネットワーク化しなくてはならないでしょう。

白石 そうですね。ウクライナでは、もともと医療費が無料なのですが、原発事故の「被災者」はすべて医薬品が無料となります。
では、「被災者」をどう把握しているかといえば、事故処理作業員や0.5ミリシーベルト以上の地域に暮らしている人たちすべてを登録するデータベースがあるのです。
240万人という大規模なデータベースです。日本は急いでそれを見習うべきです。具体化が必要です。

広瀬 どれくらいのお金でデータベースができるでしょうか。福島県民は200万人ですが……。

白石 ウクライナのデータベースは驚くほど安いんです。日本円で、年間3000万円程度です。
人件費の安さは考慮しなくてはなりませんが、彼らの方法を学べば、日本でもそんなにお金をかけないで、できるのではないかと思います。
というか、ウクライナも最初はヒロシマ、ナガサキの12万人のデータベースを参考にしました。けれど、ヒロシマ、ナガサキは、すぐそばで原爆に被害にあった「直爆」を中心に研究が行われているため、1990年代に大幅に見直しし、現在のような、低線量被曝の影響を主眼に置いた、大規模なデータベースを確立したのです。
現状に合わなければ、すぐに方針を見直すという彼らの柔軟さを見習いたいものです。
政府に期待できないのであれば、民間で取り組むことも視野に入れる必要があると思います。
たとえば、携帯アプリを開発して、定期的に身体症状などを記録できるようにするとか。裁判になれば、最終的には自覚症状が重要ですから。

広瀬 私もそう思います。
日本では、福島県の自治体も政府も信用できないので、民間で取り組まなければなりません。
ただし、プライバシーの個人情報保護は必要ですから、誰もが信頼できる人が中心になって進めたいです。
弁護士も医師も加わって、信頼できる人が何人か入った機関をつくって、セキュリティーを万全にしてデータを収集する。
それから、ウクライナのように、サポートの見返りがあると、被害者が申し出しやすいですね。

白石 そう、ウクライナでは登録している人は無料で保養チケットが出るなど、いろいろな特典があって社会保障のひとつになっています。
データベースに対する信頼は極めて高く、心身の異常を申し出しやすいシステムになっています。

広瀬 それが真の社会保障です。
そもそも福祉という言葉の原点は、そこにあるですからね。
ダイヤモンド書籍オンラインの読者の方々には、
OurPlanet-TVが発売しているDVD「チェルノブイリ28年目の子どもたち」の最初の版(低線量長期被曝の現場から)と、そのVol.2(いのちと健康を守る現場から)を買って、ぜひ見てほしいと思います。
ウクライナはロシアとの紛争があって、大統領も交代したので心配だったのですが、チェルノブイリ被災者の救援が続けられていることを知りました。
必ず、これを見てください。
ウクライナと比較して、日本がどれほどおそろしいか、という事実がわかります。

白石 広瀬さんがお話しくださったビデオは、実は、インターネット上で無料で視聴できます。ぜひご覧いただきたいです。
チェルノブイリ28年目の子どもたち〜低線量長期被曝の現場から
https://m.youtube.com/watch?v=3hv-5bW17Rs


チェルノブイリ28年目の子どもたち2〜いのちと健康を守る現場からhttps://m.youtube.com/watch?v=3Sxt6sYBa9Q

ただ、DVDもあるので、そちらを買っていただけると助かります。
私たちは、普通のマスコミと違い、あらゆることをタブーなく報道するために、企業からの広告は一切受けていません。
ですから、DVD1枚買っていただくのも、私たちの活動には大切な資金源なのです。
DVD購入ページ
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1901


しかも、このDVDは1枚2000円で購入すれば、誰でも自由に上映会を開くことができます。有料の上映会でもOKです。
インターネットが不得意で、きちんとした情報にアクセスしていない家族やお友だちなど、なるべく多くの方に広げていただきたいと思っています。

広瀬 白石さん、ご多忙のところ、3回にわたる対談、貴重なデータの数々、ありがとうございました。これからも、全国の人に貴重な事実を伝えてください。救世主ですから。


(おわり)

短時間滞在影響少なく 事故後18~20カ月児童、生徒対象 外部被ばく量と生活の関係

短時間滞在影響少なく 事故後18~20カ月児童、生徒対象 
外部被ばく量と生活の関係
2015年11月28日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015112827029

南相馬市立総合病院の坪倉正治医師らは27日までに、東京電力福島第一原発事故後の市内の児童・生徒の外部被ばく量と日常生活様式との関係について調査結果をまとめた。自宅や学校など長時間いる場所の空間線量が被ばく量に影響を及ぼした一方、通学路など短時間滞在する場所の線量は被ばく量に大きく影響していないとしている。

■南相馬市立総合病院坪倉医師ら調査結果
調査対象は市内の小学生、中学生、高校生520人。原発事故後18~20カ月の期間に行われたバッジ式線量計での外部被ばく検査データと、子どもの行動記録アンケート、自宅前の空間線量、校庭の空間線量を照らし合わせた。

この結果、自宅前線量が毎時0・1マイクロシーベルト上がると被ばく量が相対比で1・1倍になり、校庭の線量が毎時0・01マイクロシーベルト上がると1・02倍になった。一方、放課後や週末などの屋外活動や通学などは、被ばく量の大きな上昇にはつながらなかった。
坪倉医師は「通学中の被ばくが最もリスクが高いと考える人が多いが、普段、長時間いる場所の空間線量に配慮することが重要だ」としている。


「通学」被ばく量影響せず 南相馬の小中高校生調査
2015年11月28日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151128-031404.php


南相馬市の小中高校生の外部被ばく量と行動記録を比べた結果、短時間の登下校や屋外活動の時間は被ばく量に影響しないとする論文を英国インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生大学院の野村周平氏らがまとめ、27日までに国内科学誌オンライン版で発表した。論文では「普段過ごす自宅や学校の空間線量が被ばく量に影響している」と結論。対象の子どもの保護者の4割が「通学中の被ばくが最もリスクが高い」と考え、小学生の保護者の8割が車で送迎している現実も示し「こうした懸念とは対照的な結果」と指摘した。

研究では2012(平成24)年9~11月、個人線量計(ガラスバッジ)で測った同市の520人の外部被ばく量と、児童生徒を対象にした行動記録アンケート、児童らの自宅前や校庭の空間線量などを併せて分析した。3カ月間の外部被ばく量の平均値は0.34ミリシーベルトで、このうち0.14ミリシーベルトは自然にもともとある放射線による被ばくだった。

子どもの行動と被ばく量の関係では、自宅前の空間線量が毎時0.1マイクロシーベルト上がると被ばく量は1.1倍に上昇。また校庭の空間線量が毎時0.01マイクロシーベルト上がると1.02倍に上がった。一方、放課後や週末の屋外での活動時間、屋外クラブ活動への参加時間、通学時間などはいずれも被ばく量との関係は確認できなかった。

今回の調査対象の子どもの屋外活動時間は比較的少なかったことから、屋外活動が多くなると被ばく量に影響してくる可能性も「否定できない」としている。

 

東京都足立区の小学校で基準以上の放射線量

2015年11月28日 朝日新聞アピタル
http://www.asahi.com/articles/ASHCX36QPHCXUBQU00W.html

東京都足立区は、区立中川北小学校内の2カ所で区の基準となる「毎時0・25マイクロシーベルト未満」を超える放射線量が計測されたと27日発表した。ロープで立ち入り禁止とし、業者に手配できた12月1日に除染作業をする。

区によると、いずれも北部電気室付近。高さ50センチで0・45マイクロシーベルトと0・35マイクロシーベルトだった。周りの雨水が集まりやすく、放射性物質が集積したとみている。普段子どもたちが立ち入らない場所という。

2015/11/27

[福島日報ダイジェスト] 「二本松市のキウイフルーツから4.5ベクレル」10/16~20

(フクシマン・マサさんメルマガより転載させていただきます。http://ameblo.jp/masa219koro/ からメルマガ登録できます。子ども全国ネット)
10月16日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、郡山市、矢吹町、葛尾村などで、農産物、畜産物等134検体について、放射性セシウムの検出検査が行われました。
その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。
また測定下限値を超える数値が検出された検体は、全体の約6%にあたる8件でした。
その品目と産地、数値は次の通りです。

相馬市産の柿4件中の2件から 7.47Bq/kg、3.49Bq/kg
二本松市産のユズ3件から 3.81Bq/kg~7.38Bq/kg
国見町産のキウイフルーツ1件から 4.53Bq/kg
棚倉町産のユズ1件から 2.99Bq/kg


続きまして、10月19日及び20日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、
郡山市、会津坂下町、川内村などで、農産物、畜産物等82検体について、放射性セシウムの検出検査が行われました。
その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。
また測定下限値を超える数値が検出された検体は、全体の約28%にあたる23件でした。
その品目と産地、数値は次の通りです。

西郷村産の玄米2件から 26.56Bq/kg、22.43Bq/kg
会津若松市産の施設栽培の原木シイタケ1件から 23.27Bq/kg
下郷町産の露地栽培の原木ナメコ1件から 19.65Bq/kg
伊達市旧小国村産のアズキ1件から15.9Bq/kg
二本松市旧油井村産の秋ソバ2件中の1件から6.59Bq/kg
田村市旧七郷村産の秋ソバ1件から6.16Bq/kg
会津坂下町旧若宮村産の秋ソバ3件中の1件から4.93Bq/kg
福島市旧水原村産の秋ソバ1件から4.53Bq/kg
三島町旧宮下村産の秋ソバ1件から3.59Bq/kg

以上、福島県発表「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」をダイジェストにしてお伝えしました。

詳しくお知りになりたい方は、福島県のHPより「ふくしま新発売」、厚生労働省 および、 郡山市のHPより「食品中の放射性物質の検査結果について」をご覧ください。

検査前のアズキ販売 会津若松、セシウムは検出されず

2015年11月27日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151127-031182.php

県は26日、会津若松市のJAあいづファーマーズマーケット「まんま~じゃ」で、出荷の可否を判断するため県が行っている放射性物質検査を受けていない同市内の旧堂島村産のアズキが販売されたと発表した。同店が自主回収している。

生産者が持ち込んだアズキ計8袋(1袋300グラム)が同日午前、販売された。県が店に残っていた販売前の袋を検査したところ、放射性セシウムは検出されなかったという。県によると、アズキは旧市町村単位で抽出検査し、安全性が確認された地域のものだけが販売可能となる。旧堂島村は検査が終わっていなかった。同店では荷受けや陳列時に出荷が可能だったかどうか原則確認していたとするが、店員への周知が徹底されていなかったという。問い合わせは、まんま~じゃ(電話0242・24・0831)へ。

神埼小に葛尾小生が来校 福島の児童と交流4年目 授業やゲーム楽しむ/佐賀

2015年11月27日 佐賀新聞
 
http://www.saga-s.co.jp/sp/news/saga/10105/253976

神埼市の神埼小(田中達校長)が、東日本大震災の復興支援として始めた葛尾(かつらお)小(福島県双葉郡葛尾村)との交流事業が4年目を迎えた。今年も5、6年生6人が修学旅行を兼ねて神埼小を訪れ、授業やゲームなどで親睦を深めた。

東京電力福島第1原発事故で立ち入り禁止となった葛尾小は、避難先の福島県田村郡三春町で廃校舎を使って学校を再開している。放射性物質の汚染で外遊びが制限されていた現地の子どもたちの実情を知った神埼小の前校長が、PTAに呼び掛けて2012年から招待している。

今回は5、6年生各3人と教諭ら4人の計10人が参加した。19日に長崎市の原爆資料館を見学し、20日に神埼小を訪問した。相手校の校歌を合唱・合奏で互いに披露した後、葛尾小の児童が各クラスに入って交流した。児童たちはすぐに打ち解け、算数や社会の授業を受けたり、給食を食べたり、外で遊んだりした。21日はバルーンのフライトを体験した。
授業やゲームで交流した葛尾小と神埼小の児童たち=神埼市の神埼小

葛尾小の児童は現在、外遊びの制限はなくなったものの、仮設住宅に住み、スクールバスで登校している。同校の芳賀実校長は「今回、大人数で授業を受ける体験ができ、たくさんの刺激をもらったようだ。9月から村に長期宿泊できるようになったばかりで、元の学校に戻るのはこれから」と話した。

神埼小の田中校長は「うちの児童も福島のことを学ぶことができた。人とのつながりを感じる貴重な機会になった」と語った。

毎日メディアカフェ:「ふくしまの今」現状と課題探る /東京

(現在表に出ているは、もしかすると「運動不足」によるものが目立つのかもしれませんが、糖尿病が運動不足だけが原因だと特定できるわけではありません。そしてそれが、被ばくから守られなくてもいい、という言い訳にはならないことを忘れないようにしましょう。「低いレベル」でも被ばく影響はあります。少なくても、年間1ミリシーベルトを超える被ばくについては、これまでも、現在も(福一事故由来以外では)守られるように法で定められているのですから。子ども全国ネット)


2015年11月27日 毎日新聞
http://sp.mainichi.jp/area/tokyo/news/20151127ddlk13040096000c.html

原発事故から4年半を経た福島県の現状と課題を探る「ふくしまの今を知る」が26日、千代田区一ツ橋1の毎日ホールで開かれ、約100人が参加した。

同県出身の社会学者開沼博さんと、同県南相馬市立総合病院で内部被ばく検査を続けている坪倉正治医師が、NPO法人8bitNEWS代表の堀潤さんの司会で討議した。

開沼さんは「県外では福島県の20%以上が避難していると思っている人が多いが、実は2・3%であるなど、イメージと実態に開きがある」と指摘。坪倉さんは「内部被ばく、外部被ばくとも低いレベルで、被ばくよりもむしろ、運動不足による糖尿病など慢性疾患の増加が心配される」と述べた。

今後の課題として、開沼さんは「元からある地方の問題は変わっていない。復興支援が減っていく中、どう対処するかを個別課題ごとに考えなければならない」、坪倉さんは「若い医師や医療者が学べる地域医療を実現することが求められる」と語った。

【斗ケ沢秀俊】

<避難解除時期>南相馬市長、判断を先送り

2015年11月27日 河北新報
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151127_61036.html

東京電力福島第1原発から20キロ圏内の避難区域について、福島県南相馬市の桜井勝延市長は26日、解除時期の判断を先送りする方針を示した。これまでは来年4月の帰還を目標に、年内に明示する考えを表明していた。国による除染作業の終了が見通せないのが要因。
 同日開いた定例記者会見で明らかにした。桜井市長は「来年3月に除染を終えてもらうのは前提だ」と作業の加速化を要望。「4月中に(住民との協議など)解除手続きを完了させたい」として、帰還目標を堅持する考えを強調した。


東日本大震災:福島第1原発事故 避難指示区域の解除、具体的日程先送り 南相馬市長 /福島
2015年11月27日 毎日新聞
http://sp.mainichi.jp/area/fukushima/news/20151127ddlk07040012000c.html

南相馬市の桜井勝延市長は26日の記者会見で、帰還困難区域を除く避難指示区域の解除時期について、12月をめどに具体的な日程を示すとしてきたこれまでの方針を改め、先送りする考えを示した。

「来年4月解除」の目標は変えないが、解除の日程を示すための前提となる生活圏の除染が来年3月末までに終了する確証が国から得られず、先送りを決めた。

桜井市長は記者会見で、「環境省からは、3月末でおおむね除染が完了できそうだと聞いている」と述べる一方、「(同省は)一部の住民説明会で時期が後ろ倒しになる可能性もある発言もしており、確実に終わる確証はない」と説明。「12月議会では環境省に除染完了に向け全力で取り組んでほしいと答弁しなければならない」と述べた。

避難指示区域にある小高区の市立小中学校については、来年4月に避難指示が解除された場合、2学期から再開すると市教育委員会は説明してきた。この点について桜井市長は「小高中学の保護者を対象にした懇談会では(2学期からの再開に)反対の声が多かったと思う。保護者の意見を踏まえて最終判断するが、今の段階で私の方針が決まっているわけではない」と述べ、時期を先延ばしする可能性をにじませた。

桜井市長は10月以降、避難指示解除について、国から除染完了報告を受けた後、市が独自に作業状況を確認し、各行政区代表にも諮ったうえで時期を確定すると強調している。生活圏除染が3月末に完了するかどうか危ぶまれている現状では、解除時期は早くても5月連休以降になるとの見方も広がっている。【大塚卓也】

北朝鮮産キノコから基準9倍のセシウム 韓国で回収命令

2015年11月27日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASHCW63J5HCWUHBI01P.html

韓国食品医薬品安全庁は27日、中国から持ち込まれた北朝鮮産の乾燥キノコから基準の9倍を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。多くはすでに消費者に販売されており、同庁は販売中止と回収を命じた。詳しい産地やセシウムが含まれていた経緯についてはわからないという。

食品医薬品安全庁によると、韓国の60代男性が今年10月、中国の朝鮮族から北朝鮮産キノコ10キロを仕入れ、別の50代男性に売った。この50代男性は5キロを別の業者に、残る5キロを一般消費者に「中国産」として販売した。すでに8キロは一般消費者に出回っているという。

同庁は2013年1月から韓国で流通する食品150品目について放射能の検査をしている。今年11月までに2万8194件を検査。セシウムの基準値は1キロあたり100ベクレルだが、今回は981ベクレルが検出された。基準値を超えて放射性物質が検出されたのは初めて。(ソウル=東岡徹)

福島高生の研究 英の論文誌に


福島高生の研究 英の論文誌に
2015年11月27日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20151126-OYTNT50159.html


県立福島高校(福島市)の女子生徒らが実施した福島と国内外の高校生らの被曝ひばく量比較の研究成果が、英国の出版社が発行する論文誌「ジャーナル・オブ・レディオロジカルプロテクション」の電子版に27日にも掲載される。福島と他の地域との被曝量にほとんど差がないとの結果で、生徒は「福島に思い込みを持つ人は多いが、判断の手がかりになれば」と話している。

研究は、3年生の小野寺悠さん(18)らが、福島には人が住めないなどと思い込む海外の人らの誤解を解消しようと始まった。2014年6月からの半年間に、県内外やフランス、ベラルーシ、ポーランドの高校生ら200人以上が参加し、2週間の線量計データを解析して論文にまとめた。小野寺さんは「世界の多くの人に知ってもらえるのでうれしい」と語る。

早野龍五・東大教授(原子核物理学)は「広範囲で多人数の個人線量を同じ装置で測定、比較した研究は例がなく画期的だ」と評価し、「福島での暮らしは、外部被曝が特に高いわけではないことを知ってほしい」と呼びかけている。







福島高生の論文、英科学誌に掲載 外部被ばく量「県内と他地域ほぼ同じ」


2015年11月27日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015112726998

福島市の福島高生の研究論文が27日付の放射線防護分野の英科学誌「ジャーナル・オブ・レディオロジカル・プロテクション」電子版に掲載される。同校が26日発表した。関係者によると高校生の論文が海外の学術誌に掲載されるのは全国的にも珍しいという。

■風評払拭の一助に スーパーサイエンス部物理放射線班
 
同校は文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され、先進的な理数教育に取り組んでいる。掲載論文は、スーパーサイエンス(SS)部物理放射線班の小野寺悠さん(18)=3年=、鈴木諒君(18)=同=、斉藤美緑さん(17)=2年=、安斎彩季さん(16)=同=、藤原祐哉君(17)=同=と顧問の原尚志教諭(57)らがまとめた。
 
生徒らは平成26年6月から12月にかけて、1時間ごとの外部被ばく量を計測できる個人線量計「D-シャトル」を使い、県内6校、県外の国内6校、フランス4校、ポーランド8校、ベラルーシ2校の計26高校から216人の2週間分のデータを集めた。分析の結果、外部被ばく量は県内と他地域でほぼ同じだった。県内は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故由来の放射性セシウムが影響しているものの、岩石などから出る自然放射線の影響が比較的小さいことを理由に挙げている。
 
小野寺さんは「研究成果を世界中の人に知ってもらうことで、風評払拭(ふっしょく)の一助になればうれしい」、原教諭は「国内外の多くの支援に感謝したい」と述べた。







2015/11/26

放射線の授業:心と体は自分で守ろう 福島・庭坂小でNPO /福島

2015年11月26日 毎日新聞
http://mainichi.jp/edu/news/20151126ddlk07100033000c.html

臨床心理士や保育士らでつくる郡山市のNPO法人「ハートフルハート未来を育む会」が25日、福島市の市立庭坂小学校で児童に放射線や心のケアの授業を行った。同会は、「原発事故後の福島で自分の心と体をどう守ればいいのか伝えたい」と話している。

授業は今年度から同会が小学生を対象に実施している「ふくしまの子ども希望プラン」の一環。3日間の日程で、学年ごとに▽放射線▽栄養・免疫▽運動・遊び▽心理教育−−の4科目について各専門家が実験などを交え基礎知識を教えた。放射線の授業では、ドライアイスで箱の中に霧を発生させ放射線が通る跡を目で見ることができる装置「霧箱」を児童が作り、放射線への理解を深めた。心理教育では、イライラした時に気持ちを落ち着かせる方法などを学んだ。

臨床心理士でもある同会の成井香苗代表は「保護者が放射線に対し不安を抱えていると、子どももその影響を受けて不安やストレスを感じる。授業を通じ、子どもたちが風評被害などに負けずにたくましく育ってほしい」と話した。

同会は子どものストレスがこの授業によって軽減されたかどうか調査しており、授業がストレス軽減につながると判断されれば、県教委を通じ県内の各学校で同様の授業を展開したいとしている。【小林洋子】

福島産食品の放射能検査、EUが初の部分解除へ

2015年11月26日 日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H08_W5A121C1EAF000/

欧州連合(EU)が福島県から輸入する食品の全てに義務付けている放射性物質の検査証明について、野菜や果実、畜産物を対象から外すことが26日わかった。EUが同県産の品目を対象外にするのは、東京電力福島第1原子力発電所の事故で規制を強化して以来初めて。年内にも正式に決め施行する。

EUは福島、茨城、青森、長野など15県産の食品の一部または全ての品目について検査証明書の提出を求めている。福島ではコメや水産物などは引き続き証明書が必要だが、桃や梨、ブドウといった果物や牛肉などは証明書なしで輸出できるようになる。合わせて、青森と埼玉については全ての品目で証明書の提出義務をなくす。

日本の食品をめぐっては、韓国が福島や茨城など8県産の全ての水産物の輸入を禁止。台湾も都道府県別の産地証明を求めるなど規制を強化している。日本政府はこうした規制について「科学的根拠に欠ける」と主張し、当局や世界貿易機関(WTO)を通じて撤廃を求めている。

福島産食品の輸入規制、EUが野菜など一部緩和

2015年11月26日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151126-OYT1T50180.html

欧州連合(EU)は、東京電力福島第一原発事故に伴って、福島県から輸入する全ての食品を対象に放射性物質の検査証明書の添付を義務づけている輸入規制について一部を緩和する方針を決めた。

福島産以外の食品も一部規制を緩和する。年内にも実施される見通しだ。

規制が解除されるのは、福島産の野菜、果実(柿を除く)、畜産品など。キノコやコメ、水産物の一部などは規制が維持される。

キノコ類などが規制されていた青森と埼玉は全ての品目が規制から除外される。岩手と宮城、栃木、茨城、群馬、千葉の6県のコメや大豆のほか、秋田と山形、長野の3県のワラビ(山菜類)も規制対象から外れる。

EUは2011年の原発事故後、福島産の食品などに放射性物質の検査証明書の添付を義務づけた。段階的に規制を緩和してきたが、現在も福島を含む関東や東北の15県の食品の一部が規制対象となっている。今回のEUの見直しで、福島産の野菜などは輸出しやすくなる。

日本産の食品を巡っては、韓国や台湾も輸入規制を行っており、日本政府は「規制は科学的な根拠に欠ける」と規制撤廃を求めている。

【ブリュッセル=三好益史】

2015/11/25

塩谷町長の「返上」発言 選定経過は有効 福田知事が反論

2015年11月25日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201511/CK2015112502000172.html

高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分場(長期管理施設)をめぐり、福田富一知事は二十四日の定例会見で、塩谷町の見形和久町長が二十日に開いた住民への報告会で「候補地の選定を返上する」と述べたことについて、「選定経過は有効である」と反論した。

福田知事は、町の動きを「反対運動の一環としての返上、あるいは拒否かもしれない」と指摘。ただ、候補地の選定手法を議論した過去の市町村長会議の決定を踏まえ、「選定手法はプロセスを踏んで基準をつくり、決定した経緯がある。それらは当然生きていると思う」と強調した。

見形町長は、九月の記録的豪雨で候補地が冠水した形跡があり、安全性は覆ったとして、候補地を返上する考えを表明。今後、国との交渉には応じないとしている。

(藤原哲也)

















【指定廃棄物の行方】県知事「反対運動の一環」 環境相「不安、心配根強い」 塩谷町の「候補地返上」表明























11月25日 朝刊





関連用語:
・指定廃棄物 

















http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/politics/news/20151125/2154688





 放射性物質を含む指定廃棄物の処分場候補地問題で、9月の豪雨で塩谷町の候補地が一部冠水したのを理由に町側が「候補地を返上する」と表明したことについて、福田富一(ふくだとみかず)知事と丸川珠代(まるかわたまよ)環境相は24日、それぞれ記者会見で所感を述べた。





 福田知事は「反対運動の一環としての範ちゅうのもの。選定経過は(県内の全首長による市町村長会議で)必要な意見を聞きながら進めてきたので、当然尊重されるべきだ」との見解を示した。





 一方、丸川環境相は「(町民の)不安や心配がまだ根強いということを感じ、重く受け止めている」と述べた。選定過程について福田知事と同様に市町村長会議での議論を経たことを強調。町執行部や町民に理解を求めるため、対話を模索し続ける意向を示した。

2人用対戦カードゲーム「ラドラボ」で学ぶ放射線、京大監修

2015年11月25日  リセマム
http://resemom.jp/article/2015/11/25/28132.html
 
放射線をテーマにした2人用対戦カードゲーム「ラドラボ」が11月22日、タンサンアンドカンパニーから発売された。京都大学の放射線の専門家が監修しており、楽しく遊びながら放射線の基礎知識を学ぶことができるよう工夫されている。

原案・監修を担当したのは、京都大学放射性同位元素総合センターの角山雄一助教。2011年3月の東京電力福島第一原発の事故を教訓に放射線についての基礎的な科学知識を子どもたちに提供しようと、ボードゲームやカードゲームを作る「タンサンアンドカンパニー」とともに製作した。京都放射線教育研究会も協力している。

「ラドラボ」は、放射線をテーマとした2人用対戦カードゲーム。放射線の種類である「α(アルファ)線」「β(ベータ)線」「γ(ガンマ)線」「中性子線」とリンクした「アルファス」「ベータン」「ガンマー」「ニュトロ」という4種類のキャラクターが登場する。

ゲームでは、キャラクターの種類に応じた「ブロックカード」を選び、キャラクターの「とっぱ力」と「パワー」を「ブロック」することが必要になる。ブロックカードは、「ペーパバリア(紙)」「プラシールド(プラ)」「ナマリウォール(鉛)」「ウォータフォール(水)」の4種類。キャラクターとブロックとの駆け引きを通して、「α線は紙1枚で止めることができる」など、「放射線の種類と遮蔽(しゃへい)物の関係」「放射線の種類と危険性」について学べるようになっている。




対象年齢は6歳以上。価格は1,800円(税別)。カード70枚と「あそびかたと解説」1冊が入っている。

「あそびかたと解説」の中で、監修者の角山助教は保護者へのメッセージとして「放射線の問題は、福島の中だけのことではないと思います。私たち大人は、これまでの認識や無知をあらため、一から放射線について学び、原発を含めて放射線を利用することにより私たちが受ける恩恵と放射線利用のリスクについて冷静に議論を深めるべきではないでしょうか」と記している。

台湾高官、輸入規制解除に積極姿勢 栃木県産食品の放射性物質検査視察

2015年11月25日 下野新聞  http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/economics/news/20151125/2154690

台湾の対日窓口機関である亜東関係協会の李嘉進(りかしん)会長は24日、県庁で福田富一(ふくだとみかず)知事を表敬訪問し、2011年の東日本大震災以降輸入を規制している県産食品(酒類を除く)について「近いうちに(台湾が)解禁することを期待している。一緒に頑張りたい」と、早期解除に積極的な姿勢を示した。

李会長らは表敬に先立ち、県産農産物の放射性物質の検査状況を視察。「食の安全について現状確認できたので、政府や関連省庁に報告する」とも述べた。

李会長は日本の外務省に当たる機関のトップ。福田知事が10月末、台湾で同協会の張仁久(ちょうじんきゅう)秘書長と会い、輸入規制の早期解除を要請したのを受け、来日に合わせて本県を訪れた。

この日は宇都宮市内の県農業試験場を訪れ、震災以降、県内で生産、販売する農産物のモニタリング検査の実施状況を視察した。13年4月以降、農産物から基準値を超える放射性セシウムは検出されていないとの説明を受けたほか、検査に使われている精密機器を確認した。また県産ナシ「にっこり」を試食した。






野生きのこ出荷制限解除へガイドライン

2015年11月25日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151125/k10010318331000.html

東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、放射性物質の影響で出荷制限が続いている野生のきのこなどについて、林野庁は出荷を再開するための具体的な手順を示したガイドラインをまとめました。

原発事故の後、放射性物質の影響で出荷制限となった農産物について、国は、食品の放射性物質の安全基準を満たしていることを確認するための検査のやり方など出荷再開に向けた手順を示してきました。しかし、林野庁によりますと、野生で採れるきのこや山菜などは種類が多く、ばらつきも大きいことなどから手順に沿って検査することが難しいということで、これまで東北や関東、それに東海など10の県のおよそ100自治体で出荷制限が続いていました。

今回、林野庁では放射性物質を特に取り込みやすいとされるきのこの専門家などを交えて検討を行い出荷再開に向けたガイドラインを新たに作成したということです。ガイドラインでは野生のきのこや山菜などについて種類ごとに、3年間、継続して放射性物質の値が国の基準値の半分を下回ることや、3年目は検査する場所を増やすことなど具体的な手順が盛り込まれているということです。

最終的な出荷制限の解除は地元の自治体と協議して決めるということですが、林野庁によりますとすでに、この手順を満たした長野県や青森県の一部の自治体で野生のマツタケなどの出荷制限が解除されたということです。

野生キノコ出荷解除へ初の指針 本県など10県に制限/岩手

2015年11月25日  岩手日報
https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20151125_7

東京電力福島第1原発事故で出荷が制限されている野生キノコをめぐり、3年間で計60検体以上の安全性を確認するなど、制限解除に向けた具体的な手順を盛り込んだ初の指針を林野庁がまとめたことが24日、分かった。これまでは国による解除への具体的な手順は示されていなかった。

キノコ類は土壌に含まれる放射性物質を取り込みやすいとされ、原発事故後、国の基準値超えが続出。野生キノコは本県など10県の100を超える自治体で出荷制限がかかっている。今回の指針で解除に向けた手順が明確となり、自治体側の取り組みが活発化しそうだ。

野生キノコは種類が多いが、自治体ごとに全種類一律に出荷制限がかかっている。制限を解除するには種類ごとに放射性物質が含まれているかどうかを調べる必要があるが、それぞれ収穫期間も限られ検体を確保するのが難しく自治体側から解除基準の明確化を求める声が高まっていた。

社説 河北抄

2015年11月25日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/column/kahokusyou/20151125_01.html

隣り合う県がいがみ合うようになりはしないか、心配になってきた。福島第1原発事故によって拡散した放射性物質を含んだ牧草が、白石市から福島県内の牧場へ搬出されたからだ。

「線量は1キログラム当たり8000ベクレル以下。『指定廃棄物』ではない。出荷目的の牛に与えるのは自粛すべき牧草であり、焼却できる一般廃棄物でもある」と白石市農林課。相手の牧場は牛を出荷するわけではないので問題ないという。

だが、牧場のある福島県浪江町は納得しない。先週末、町長が白石市を訪れて抗議する事態になった。容認したら、放射性廃棄物があちこちから運び込まれかねないと危機感を抱いている。その気持ちもまた十分に理解できる。

いまさらながらだが、原点に立ち返って産業廃棄物として東京電力に引き取ってもらうのは無理だろうか。最終的な処分方法は国と相談して決めればいい。

保管から処分まで市町村に任せっきりでは出口が見えない。処分の枠組みにどこか欠陥があるから、被害者同士が対立してしまうのではないか。

福島事故の健康不安対策 原発関連財団請け負い

2015年11月25日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112502000121.html

東京電力福島第一原発事故による住民の健康不安に対応し、悩みの軽減や解消を目指す環境省の「リスクコミュニケーション(リスコミ)」関連三事業を、電力会社や原発事業者幹部らが役員を務める公益財団法人「原子力安全研究協会」が二〇一四年度に、総額四億一千三百万円で請け負っていたことが分かった。同協会は本年度も同種事業を継続。原発を推進する側が幹部を務める法人が税金を使って、原発を不安視する住民の相談事業を担う状況が続いている。 (篠ケ瀬祐司)

本紙は昨年四月、三事業のうち、住民に被ばく対策を説明する「相談員」の支援事業を環境省が同協会に七千四百万円で発注したことを報じた。今回、国の事業の無駄や執行状況を政府自身が点検する「行政事業レビュー」の資料で、より多くの事業を協会に発注していたことが判明した。

環境省を含む十一省庁・委員会が一四年度、避難住民の早期帰還に向けて放射線による健康不安に対応することを主な目的に、リスコミ事業を本格化させた。このうち環境省の三事業は入札で事業者を募集し、協会が落札した。

協会が請け負った事業は、相談員の支援のほか、住民の放射線による健康不安に対応する資料の改訂や、住民向け集会の運営など。環境省は、一五年度も同協会が同種の事業を落札したと認めているが、金額など詳細を公表していない。

協会は、原子力の安全性を中心に研究する組織。理事に関西電力や日本原子力発電の現役幹部が就いている。事業が原発推進側の論理に立った内容になる可能性について、環境省は「契約内容に沿って事業を遂行してもらっている」(放射線健康管理担当参事官室)と否定。協会の担当者は「環境省に聞いてほしい」と述べるにとどめた。

福島原発事故に伴う損害賠償を求める団体などでつくる「原発事故被害者団体連絡会」共同代表の武藤類子さん(62)は「放射線の健康被害は、大丈夫と言う人もいれば、危ないと言う人もいる。双方の意見を聞いて判断したい。原発推進側に近いとみられる組織がリスコミを担うのは住民として不安だ」と話す。

福島県で講演した経験のある京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「年間二〇ミリシーベルトという避難基準以下でも、被ばくによる健康影響の危険性があると住民に話したら、行政側からリスコミの邪魔になると言われたことがある。多様な意見を出し合いながら一定の方向性を出す体制で進めるべきではないか」と指摘した。

リスコミ事業をめぐっては、文部科学省は、被災地住民の問い合わせや相談に対応する事業を、原子力行政を担ってきた旧科学技術庁出身者が役員を務める国立研究開発法人「日本原子力研究開発機構」と同法人「放射線医学総合研究所」に発注している。文科省は両法人に発注した事業の額を明らかにしていない。


鳥の目虫の目:事故の現実、直視する=大島秀利

2015年11月25日 毎日新聞
http://mainichi.jp/area/news/20151125ddf012070002000c.html

子育て世代の主婦や会社員らが16年前に翻訳し、今も売れる米国の防災マニュアル冊子がある。それは、ニューヨーク市の北東にある州の「コネティカット州原子力発電所非常事態対策ガイド」だ。

冊子は現地の電力会社と州が共同制作し、原発16キロ圏内に配られた。当時の日本で「住民の不安をあおる」と原発防災に後ろ向きだったのに比べると、翻訳者は「とても具体的な記述」と今も思う。例えば、緊急事態で「子どもが学校や保育所に行っている場合」の項目では、「保護者は学校からお子さんを連れ帰ろうとしないで」とし、理由を「交通の問題を引き起こし、全ての子供たちのタイムリーな避難の妨げになるから」と説明する。学校は既に避難施設などを定めているというのだ。

車の運転中の指示は被ばく防止のため「エアコン、ヒーターはスイッチを切る」。ペットの扱いの記述も。屋内待避で「屋内にいれる」とある一方、避難移動では「ペットのために食べ物と水を置く。ペットは避難施設には連れていけません」と。

地区ごとの避難ルート図もあり、次のように詳細に案内する(A〜Dは実名)。「A地区 85号線を北上(中略)Bストリートの信号で右折し、次の信号へ。Cストリートで左折し、D高校へ」

原本を忠実に再現した訳者たちは1999年、前書きで制作理由を「このような防災対策さえ持たない日本の現状を絶対許さないという気持ちがあったからです」と書いた。

12年後、福島第1原発事故が起きた。日本の防災対策範囲はそれまで原発10キロ圏だったが、実際の放射能汚染に伴い、政府は約50キロ地点も避難区域に入れた。事故後、事前の防災対策区域は30キロ圏とされた。福島事故の現実は、広域の放射能汚染や長期間の避難生活など、米国の原本冊子の想定もはるかに超えた。

翻訳冊子は福島事故以降、京都府など原発の30キロ圏内の住民らの注文もあり、通算約2000部が売れた。「うわべの防災ではだめ。原発の危険を考える材料に」と訳者たち。36ページ、800円(送料別)。

問い合わせは東京都小金井市緑町2の14の14、「小金井市に放射能測定室を作った会」の香田頼子さん。
(社会部編集委員)

放射線と病気の関係報告書にお墨つきを与えた山下俊一の正体――白石草×広瀬隆対談【中篇】

2015年11月25日 ダイアモンド社書籍オンライン
http://diamond.jp/articles/-/81811

『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた
『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。本連載シリーズ記事も累計282万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、
OurPlanet-TVの白石草(はじめ)氏が初対談!
白石氏は『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち』(岩波書店)で、具体的な固有名詞や数値を出しながら、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故のその後を詳細にレポートした。
また、OurPlanet-TVでも、フクシマ原発事故に関する衝撃的な映像を日々公開している稀有な女性だ。
そんな折、8月11日の川内原発1号機に端を発し、10月15日の川内原発2号機が再稼働。そして、愛媛県の中村時広知事も伊方原発の再稼働にGOサインを出した。
本誌でもこれまで、
37回に分けて安倍晋三首相や各県知事、および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
スベトラーナ・アレクシエービッチ著『チェルノブイリの祈り』がノーベル文学賞を受賞した今、白石氏がチェルノブイリとフクシマの現地で把握した事実と科学的データはあまりにも重い。
安倍政権によって、真実の声が次々消される中での対談2回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)


無責任に「安全」を布教する
山下俊一の正体


白石 今日は重要な本をお見せしたいと思います。
『チェルノブイリ事故の健康影響――四半世紀後の結果』(原題:HEALTH EFFECTS OF THE CHERNOBYL ACCIDENT-a Quarter of Century Aftermath)という報告書です。




ウクライナの報告書は、2011年4月に政府の緊急事態省が出版した『ウクライナ国家報告書(Twenty-five Years after Chernobyl Accident:Safety for the Future──National Report of Ukraine)が有名ですが、実はこの年8月に放射線の健康への影響だけをまとめた、もっと詳細な先の報告書が出されていました。

この本のページをめくって、冒頭に驚いたのは、長崎大学がこの報告書を作成していて、山下俊一氏が巻頭序文を書いているのです。



 

広瀬 ダイヤモンド書籍オンラインを読む人に紹介しておきますと、山下俊一は、長崎大学の原爆後障害医療研究所教授や、緊急被ばく医療研究センター長、日本甲状腺学会理事長を歴任した人物です。

つまり長崎では、被曝問題の権威なのです。フクシマ原発事故後、すぐに福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーに就任し、

 「安定ヨウ素剤を今すぐ服用する必要はありません」
「甲状腺が影響を受けることはまったくありません」
「放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきません。クヨクヨしている人にきます。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます」
と、被曝を放置する、無責任きわまりない発言を繰り返した重大な犯罪者です。

山下俊一の正体については、
『東京が壊滅する日』にくわしく書いたので読んでください。




広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。


白石 その山下俊一氏が、ウクライナの報告書では、こう書いています。
 「日本における最悪の原子炉事故からの早期の回復にとって、チェルノブイリからの教訓は間違いなく有用であり貢献するものである」

 「人類に対する放射線の影響は、複雑であるが単純に二つに分類することができるかもしれない。急性影響と慢性影響、そして高線量影響と低線量影響である。それゆえ、緊急被ばく医療においてと同様に、低線量で低線量率の放射線影響とモデルの潜在的なインパクトを識別するのに、国際的な共同プロジェクトはきわめて重要である」

さらに、目次には「放射線の影響──チェルノブイリ事故を受けて発症した影響による病気」として、甲状線ガンはもちろん、白血病、固形ガン、細胞遺伝学的影響、免疫学的影響、持続的ウイルス感染、非腫瘍性疾患、心血管疾患、甲状腺障害、目や歯への影響などが載っています。

日本では、チェルノブイリの健康影響というと小児甲状腺ガンばかりがクローズアップされてますが、ここにはさまざまな疾病が並んでいます。

驚くのは、この報告書は、文部科学省の「グローバルCEO」の予算でつくったと書かれていますが、日本ではまったく流通していません。

ウクライナに連絡してみると、「長崎大学に300冊送った」というのですが、長崎大学に問い合わせたところ、「もともと20冊しかなく、すべて関係者に譲ったので、手元には一冊もない」と言われてしまいました。

結局、私はあらゆる手を尽くして、ウクライナ側から入手しました。




 
白石 草
(Hajime Shiraishi)
早稲田大学卒業後、テレビ局勤務などを経て、2001年に独立。同年10月に非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV」を設立。一橋大学大学院地球社会研究科客員准教授。2012年に「放送ウーマン賞」「JCJ賞」「やよりジャーナリスト賞特別賞」、2014年に「科学ジャーナリスト大賞」をそれぞれ受賞。著書に『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち』『メディアをつくる――「小さな声」を伝えるために』(以上、岩波書店)、『ビデオカメラでいこう――ゼロから始めるドキュメンタリー制作』(七つ森書館)などがある。


広瀬 驚いた。原発事故とさまざまな病気の関係がある事実について、長崎大学がお墨つきを与えている報告書が出回ると、具合が悪いから隠しているのだ!!

白石 重要な本ですから、文部科学省は日本語版を作成し、全国の大学や図書館に配布してもらいたいものです。


予防に努めるウクライナ、
事実を無視し続ける日本


白石 チェルノブイリ原発事故のあと、ソ連はさまざまな隠蔽を行いましたが、日本よりはマシであったと言わざるをえません。

たとえば、初期被曝について、ソ連では2万人以上の甲状腺を検査し、核種別(放射性物質ごと)のデータも残しています。

しかし、日本ではわずか1080人の子どもを、スクリーニング検査と称した簡易検査をしただけです。まともな実測データがまったく残っていません。

しかも、この不確かなデータにより、日本の被曝線量はチェルノブイリより格段に低いと決めつけて、きちんとした検診を実施していません。

これに比べ、ベラルーシやウクライナは、ソ連から独立後、1991年に施行された「チェルノブイリ法」という法律に基づいて、きめ細かな検診を行い、今も保養をはじめとする住民支援策を実施しています。

では、なぜ彼らが、これほど検診や保養に力を入れているのでしょうか。

それは、子どもを大切にするというお国柄もありますが、必ずしも人権意識が高いからではありません。ベラルーシのような専制国家が、なぜ子どもたちの検診や保養に力を入れるかと言えば、国家存続のためです。

広瀬 そうだったのですか。ECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)では、「ベラルーシという国家がなくなるかも知れない」と言う人さえいます。人口が減り続けて……。

白石 子どもたちは、将来を担う希望です。子どもたちが元気に成長してもらうには、予防が大切だというのです。

しかも、現実的には、経済的な側面もあるようです。ウクライナの役人が、私にはっきり言いました。

「予防と治療では、どちらがお金がかかりますか?」と。

もちろん、治療のほうが大変です。だから早期に検診し、保養に行かせるという積極的な政策をとっているわけです。

ナチスドイツが、かつて障害者を大量虐殺したり、日本でも優生保護法が長年温存されてきたように、国家の強化や経済的な理由で保健政策を進めることには、大変な問題があります。

ですが、現在、ベラルーシやウクライナで実施されている、子どもの健康を最優先にする政策は、見習うべき部分が多いと感じました。

一方、日本は何もしていません!! 年間20ミリシーベルトという、チェルノブイリよりも4倍高い基準で避難解除をどんどん進め、そこに多くの人を戻すというのは、信じがたいことです。しかも、2018年には、すべての賠償を打ち切ります。

広瀬 日本は、「人殺し国家」です。マスメディアも含めて、被曝問題は最低の扱いです。自分たちがあぶないのに、報道界もバカばっかりです。これを、何とかしなければなりません。
 

医学的なことと
差別は別の話


白石 ただ、低線量被曝の危険性を訴えると、「福島を差別している」とバッシングする人もいます。

広瀬 そうです。私も、反原発運動を始めた36年前からそうしたことを経験してきました。私自身は常に、医学的な危険性を訴えましたが、長崎や広島の被曝二世、三世の人たちがやってきて、

「あんたがそういうことを言うために俺たちは差別される」
と言われました。

それを聞いて、私も最初はすごく悩みましたが、しかしそれを言うなら、水俣病の危険性も、放射性物質の危険性も言ってはいけないことになります。おかしいですよね。そこで彼らと何度も議論して、

「医学的な危険性は、はっきりしましょう。それと障害者差別は別のことです。差別は日本人の民度の問題です」
と言って、何度も話し合って、理解してもらいました。人間の人格と、医学的な問題を混同してはいけません。日本人は民度が低すぎます。

白石 フクシマ原発事故の場合、広瀬さんが
『東京が壊滅する日』で書かれたとおり、みんなが被曝者なのです。

これを見てください。

これは、チェルノブイリとフクシマ原発事故の被曝線量について、国連科学委員会(UNSCEAR──アンスケア)という国際機関が公表したデータを比較した表です。

日本政府は、フクシマ原発事故は、チェルノブイリ原発事故より被曝線量が少ないから、健康被害は起きないと言っていますが、このデータを見るとほとんど一緒ですよね。実際、被災者の数もほとんど一緒なのです。


広瀬 この表にあるベラルーシのゴメリや、ロシアのブリャンスクは、染色体の異常が出ている最大の汚染地帯です。つまり遺伝的な影響がはっきり出た地帯です。

その結果、ブリャンスクでは事故から10年後に、先天性奇形による乳児死亡率が、ロシア平均の5倍になったことが、アレクセイ・ヤブロコフ氏たちの著書『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)に書かれています。

10年後ですよ。これからの福島がどうなるか、本当に心配です。

白石 ですからフクシマ原発事故の汚染地帯では、事故後に、「放射性物質汚染対処特措法」という法律ができました。

この法律によって、年間1ミリシーベルト以上の汚染がある地域を、「汚染状況重点調査地域」として指定しているのですが、そのエリアに住む人口をあわせると、なんと700万人にのぼります。

日本では、チェルノブイリのように、きちんと土壌を調べていないので比較は難しいのですが、これらの地域は、チェルノブイリの「汚染地域」とほぼ同じ土壌汚染をしていると考えられます。

通常だと「放射線管理区域」と言われるような高濃度の汚染がある地域です。チェルノブイリでも、この「汚染地域」に住んでいる住民や避難者は、約690万人と推計されていますので、ほぼ同数なのです。

ただ福島県内でも会津若松市や、千葉県の船橋市など、同レベルの汚染がありながら、指定を受けていない自治体もあるので、それらを含めると東日本を中心に全国で1000万人を超える人が被曝していることになると思います。

それなのに、あたかも福島だけの問題、避難指示区域だけの問題のように矮小化しています。みんな被害者であるという認識を持たなければなりません。

この図は、国立環境研究所の研究グループがフクシマ原発から放出した放射性物質をシミュレーションしたものです。

2011年3月11日から29日までに、甲状腺ガンを引き起こすヨウ素131はどれほど降ったのか。その積算沈着量を示しています。

私たちはみんな、これを吸いこんだのです。

小児甲状腺ガンであると診断を受けた人は100人以上いますが、現状では、自分が被曝したということがわかると、家族に迷惑がかかると思い、孤独の中で苦しんでいます。けれど、実際には、多くの人が被曝しているのです。

今後、小児甲状腺ガンになった人が、ひとりでも名乗り出れば、状況は変わっていくと思います。

絶対に裁判で勝てると思いますし、ひとりでも2人でも、声をあげてくれたら、その人ひとりの問題ではなくて、多くの人たち全員を助けることになります。

すでに、さまざまな不調を訴える人がたくさんいるので、つながっていけば、状況はよくなっていくと思います。

広瀬 本当にそうです。白石さんのお力も借りて、なんとか、みなでフクシマ原発事故の被害の実相を記録する作業を考えてゆきましょう。

次回は、「日本で甲状腺ガンが激増する理由」についてお話ししましょう。

(つづく)

2015/11/24

福島県産あんぽ柿用放射性セシウム濃度非破壊検査機器を納入~食の安全を支援し、あんぽ柿の出荷拡大へ貢献~

2015年11月24日 Hitz日立造船株式会社
http://www.hitachizosen.co.jp/release/2015/11/001924.html

Hitz日立造船株式会社は、このほど、福島県産のあんぽ柿用放射性セシウム濃度非破壊検査機器7台を福島県あんぽ柿産地振興協会向けに納入しました。

 福島県あんぽ柿産地振興協会は、今年度のあんぽ柿出荷量を震災前の約75%に相当する1,157tまで増やす方針としています。本件は、同協会が食品衛生法で定められた放射性セシウム濃度基準値超過の有無を検査のうえ安全性が確認された製品のみを提供できるようにするため、非破壊検査機器の増設を決定し、当社が同機器の設計・製造から現地据付・調整までを請け負ったものです。

福島県では、東日本大震災の影響で2011年から2年間にわたり、伊達地方を中心にあんぽ柿の加工を自粛していましたが、GAP(農業生産工程管理)導入による放射性セシウム対策を推進し、2013年より一部地域で加工および出荷を再開しました。

本機器は、あんぽ柿の出荷箱(あんぽ柿トレー8個/箱)の形態で、各トレーの放射性セシウム濃度を一度に測定し、その測定結果に基づいて自動で出荷の可否を判別するシステムです。

放射性セシウム濃度の基準をクリアしたことを証明できる、迅速かつ確実な検査体制の構築により、あんぽ柿の出荷量拡大に貢献できると期待されています。

現地に据付けした放射性セシウム濃度非破壊検査機器

当社は、事業ドメインの1つに「社会インフラ整備と防災」を掲げており、安全・安心な社会の実現のための防災事業を積極的に展開しています。福島県には、2012年度には米袋の放射線検査装置「アスカHTX-100」を県南地方と相馬地方に30台以上納入しているほか、2014年度には伊達市を中心にあんぽ柿向け放射性セシウム濃度非破壊検査機器を10台納入しています。今後もこれらの製品や技術開発を通じ、被災地域の復興支援や安全・安心な社会の実現に貢献していきます。


なお、本件の概要は以下のとおりです。

1.発 注 者:福島県あんぽ柿産地振興協会

2.納入機器:放射性セシウム濃度非破壊検査機器及び周辺機器

        検査数量:最大31,000トレー/日(8時間)

3.設置台数:7台

4.納入場所:伊達果実農業協同組合 3台

        伊達みらい農業協同組合 梁川営農センター 2台

        国見営農センター 2台

5.納   期:2015年11月

「農産物検査」周知足りず 出荷制限品目流通、新たな風評懸念/福島

2015年11月24日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151124-030402.php

県は10月下旬からの約3週間で、国や県が出荷制限などを指示している福島、広野2市町のユズ、県の放射性物質検査を受けていない豆類が販売された事案を計6件発表した。安全な県産農産物を消費者に提供する上で、検査制度に対する認識の不備が露呈した。いずれも食品に含まれる放射性セシウムの基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回っていたが、出荷制限品目などの流通は新たな風評につながる恐れがあり、県の指導力が問われている。

◆◇◇揺らぐ信頼関係
「消費者や生産者との信頼関係を崩しかねないことをしてしまった」。広野町の農家が持ち込んだユズを県の収穫自粛品目とは知らずに店頭に並べ、今月19日までに144袋を販売したいわき市の道の駅よつくら港の駅長白土健二さん(52)は悔やむ。

県によると、国や県から出荷制限などの指示が出されている県内の野菜・果実は15品目。広野町のユズは2012(平成24)年11月から県が収穫自粛を要請している。県は毎年、自粛解除に向けて検査しているが、昨年の検査で1点が基準値を超えたため、自粛が続いている。

道の駅よつくら港では、県いわき農林事務所の指導を受けながら、生産者に検査徹底などを呼び掛けているが、収穫自粛の情報は把握せず「末端まで周知することができなかった」(白土さん)。

◇◆◇職員の巡回強化
県が、福島市と広野町のユズが販売された原因を調べたところ、生産者、小売店ともに出荷制限品目であることを知らなかったという。検査前の豆類が販売された原因については、本来は県の検査が必要だが、「自主検査で基準値を下回れば問題ない」など、生産や販売側に検査制度への誤認があった。

県は郡山市で18日に開かれた緊急対策会議で「検査の周知徹底がされていなかった」と認め、県職員による直売所など関係機関への巡回を強化し、検査制度の周知徹底を図っている。

◇◇◆食の安全徹底を
今回誤って販売されたユズ、豆類の放射性セシウム濃度は最大でも1キロ当たり13ベクレルと基準値を下回った。農産物の放射性物質検査をめぐっては、県が11年に県産米の「安全宣言」をした直後、基準値超えのコメが次々と検出された苦い経験がある。

県消費者団体連絡協議会は「行政や一部の流通・販売側に(必要な検査などをしなくとも)『もう大丈夫だ』という意識がどこかにあるのではないか。食の安全は絶対に忘れてはならない」とくぎを刺す。

[福島日報ダイジェスト] 「伊達市の小豆から15ベクレル」福島ダイジェスト10月16~19日

(フクシマン・マサさんメルマガより転載させていただきます。http://ameblo.jp/masa219koro/ からメルマガ登録できます。子ども全国ネット)

10月16日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、郡山市、矢吹町、葛尾村などで、農産物、畜産物等134検体について、放射性セシウムの検出検査が行われました。
その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。
また測定下限値を超える数値が検出された検体は、全体の約6%にあたる8件でした。
その品目と産地、数値は次の通りです。

相馬市産の柿4件中の2件から 7.47Bq/kg、3.49Bq/kg

二本松市産のユズ3件から 3.81Bq/kg~7.38Bq/kg
国見町産のキウイフルーツ1件から 4.53Bq/kg
棚倉町産のユズ1件から 2.99Bq/kg

続きまして、10月19日及び20日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、郡山市、会津坂下町、川内村などで、農産物、畜産物等82検体について放射性セシウムの検出検査が行われました。
その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。
また測定下限値を超える数値が検出された検体は、全体の約28%にあたる23件でした。
その品目と産地、数値は次の通りです。

西郷村産の玄米2件から 26.56Bq/kg、22.43Bq/kg
会津若松市産の施設栽培の原木シイタケ1件から 23.27Bq/kg
下郷町産の露地栽培の原木ナメコ 1件から 19.65Bq/kg
伊達市旧小国村産のアズキ1件から 15.9Bq/kg
二本松市旧油井村産の秋ソバ2件中の1件から 6.59Bq/kg
田村市旧七郷村産の秋ソバ1件から 6.16Bq/kg
会津坂下町旧若宮村産の秋ソバ3件中の1件から 4.93Bq/kg
福島市旧水原村産の秋ソバ1件から 4.53Bq/kg
三島町旧宮下村産の秋ソバ1件から 3.59Bq/kg

以上、福島県発表「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」をダイジェストにしてお伝えしました。

詳しくお知りになりたい方は、福島県のHPより「ふくしま新発売」、厚生労働省 および、 郡山市のHPより「食品中の放射性物質の検査結果について」をご覧ください。

食品の放射能測定結果を報告 石垣市民ラボが説明会/沖縄

2015年11月24日 八重山毎日新聞
http://www.y-mainichi.co.jp/news/28812/

東日本大震災による福島第1原発事故を受け、2012年5月から食品・飲料の放射能測定を実施している特定非営利活動法人石垣市民ラボ(江川三津恵理事長)は23日、市内で流通している食品・飲料1186件を3年以上にわたって計測した結果、157件(13%)から厚労省の定める基準値(1㌔㌘当たり100ベクレル未満)を下回る放射性セシウムを確認したと発表した。石垣島産の食品・飲料からの検出は確認されていない。

同ラボが測定した市内の流通品のうち、これまでに静岡県産の茶葉や国産麦茶、宮城県産大豆などから放射性セシウムを検出。11月には青森・千葉県産の原木シイタケから1㌔㌘あたり16・90ベクレルを計測した。

市外から贈り物などで届き、同ラボに持ち込まれた非流通品の測定件数は504件で、このうち75件(15%)から厚労省の基準値を下回る放射性セシウムを検出した。神奈川・岩手県産の原木シイタケや福島県産きゅうり、国産あんぽ柿などから測定されたという。

同ラボの笹尾哲夫所長は23日午後、同法人が大浜信泉記念館で開いた結果報告会で、「石垣島産の食品ではまったく検出されていないが、県外産の材料を加工した食品から検出される可能性はある」と述べる一方、「福島県産の玄米も調べてみたが検出されず、土壌改良など農家の努力のたまものだと思う。全体的な傾向として放射性セシウムの検出は少しずつ減ってきていると思うが、流通体系によって変化もある」と指摘した。

フリースクール「こんな場所」福島でイベント

2015年11月25日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASHCP5CLVHCPUGTB006.html?rm=256

不登校の子どもたちが学校以外で仲間とともに学べる居場所「フリースクールビーンズふくしま」が21日、活動を紹介するイベントを福島市
で開いた。通っている子どもやその保護者、相談に来た人ら約40人が訪れた。

フリースクールは住宅街にある2階建ての借家。中高生を中心に17人が在籍している。専属スタッフ2人と学生ボランティアらが子どもたちを支える。

平日の午前9時から午後5時までの間で、子どもたちは好きな時間に来て帰っていく。勉強や行事の準備などの時間割は、子どもたちがスタッフと話し合って自ら決めるのが特徴だ。

イベントでは、子どもたちが手料理を振る舞ったり、フリーマーケットを開いたりした。ふだんの活動を紹介する動画を流し、写真を展示。初めて訪れる人に対して、スタッフらが丁寧に相談に乗った。

フリースクールの公開イベントで、スタッフが見守るなか
手料理をつくる今泉和也君(左)=福島市八木田
福島市の今泉和也(かずなり)君(14)は2年前のこのイベントを見学したのをきっかけに通い始めた。「友達とふれあうのが苦手だったけど、今は自分から行動できるようになった。スタッフの方に『きつかったら、僕たちに言って』と声をかけられて、認められ必要とされていると感じた」と笑顔で語る。来春の高校入試に向けて受験勉強中だ。

17歳の息子が約5年通う大内有佳里さん(41)は「教科書の知識ではなく、生きていく上での優しさや思いやりを学べる場所」と意義を話す。

フリースクールをめぐっては、
自民党の国会議員連盟が小中学校以外で教育を受けた場合でも義務教育の修了を認める議員立法の法案をまとめた。いじめなどで学校に通えない子どもの学習を支援するのが目的。法案が来年の通常国会で成立すれば、2018年4月にも新制度がスタートする。

運営するNPO法人「ビーンズふくしま」の若月ちよ理事長は「国が学校以外の場を認めてくれるのは大きい。ただ、課される義務が多くなるのは心配。今のままの自由なフリースクールを認めてくれればありがたい」と話す。

28日午後1時半からは、通っている子どもの保護者以外も参加できる「親の会」を開く予定。若月理事長は「まずは親御さんだけでも、フリースクールという場があることを知ってほしい。
不登校の子を無理に連れてくるのではなく、相談してほしい」と話す。

問い合わせは平日のみで、フリースクールビーンズふくしま(024・529・5184)へ。(伊沢健司)

核廃絶求め、広島宣言 世界核被害者フォーラムが閉幕

2015年11月24日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASHC64D9YHC6PTIL00L.html

「核」の被害を受けたとする人々が被爆地・広島市に集い、意見を交わしてきた世界核被害者フォーラムが23日、閉幕した。核兵器禁止条約の締結やウラン採掘、原発中止などを求める「広島宣言」を採択。「核時代を終わらせない限り、人類はいつでも核被害者になりうる」と訴えた。


フォーラムはNGO(非政府組織)や市民らでつくる実行委員会が主催した。21日から約10カ国・延べ900人が参加し、原爆や核実験、ウラン採掘、劣化ウラン弾原発事故の被害の実態や放射線被害の影響などを報告。最終日の23日は「核被害者ネットワークをどう築いていくか」を議論し、フォーラムを契機に被害者が連帯して核廃絶に向けたメッセージを発信していくことを確認した。

広島宣言では「核と人類は共存できない」と指摘したうえで、核時代に生きる人たちは「加害者の謝罪と補償」「
情報公開」「放射能で汚染された環境下での労働の拒否」といった権利を持つとした権利憲章を盛り込んだ。

来年3月で
東京電力福島第一原発の事故から5年になることを踏まえ、「フクシマを忘れない、繰り返させない特別アピール」も発表。原発に頼らず、再生可能なエネルギー政策への転換を世界各国が図っていくことを求めた。(大隈崇)

「放射線被ばく考える」27日、鹿児島市で集会/鹿児島

2015年11月24日 毎日新聞
http://sp.mainichi.jp/area/kagoshima/news/20151124ddlk46040147000c.html

九州電力川内原発(薩摩川内市)の再稼働を受け、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故発生時の放射線被ばくを考える集会が27日午後7時から、鹿児島市山下町の宝山ホールで開かれる。

市民団体「被ばく医療を考える会かごしま」が主催。福島原発事故国会事故調査委員会の委員を務めた医学博士の崎山比早子さんが「原子力災害がなぜ特別なのか−放射線の危険性」と題して講演する。また、甲状腺への内部被ばくを低減するために服用する安定ヨウ素剤について、「ますみクリニック」(鹿児島市)の青山浩一院長が医療関係者の役割を報告する。

安定ヨウ素剤は、国の原子力災害対策指針に基づき、原発5キロ圏内住民(3歳以上)に事前配布。5キロ以遠の住民に対しては、保健所などで保管している安定ヨウ素剤を避難所で配布することになっている。

集会は参加費500円。問い合わせは、ますみクリニック099・282・1586。【杣谷健太】

12/11赤坂・東京「国際NGOと福島の談話タイム」開催

2015年11月24日   ジャパン・プラットフォーム
http://www.work-master.net/201547367

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、12月11日、六本木・富士フイルムフォトサロンにて「国際NGOと福島の談話タイムー福島をコラボレーションで支えるー」を開催する。

JPFは、2011年東日本大震災直後より現地入りし、被災された人々・地元NPO・支援団体・自治体などと情報共有、連携しながら、東北で支援活動を展開してきた。東日本大震災からもうすぐ5年が経つが、いまだ約19万541人が避難生活を続けており、そのうちの半数以上が福島県の人々だ(4万4094人が福島県外に、6万588人が福島県内に避難)。

当日は、JPFが日々活動をともにするJPF加盟NGOや福島支援団体が、福島の人々が抱えている複雑で見えにくい問題と、JPFが実践してきた地域の人々とのコラボレーションについて語る。

参加無料(申し込み〆切は12月8日)。

会場は富士フイルムフォトサロン2階(東京都港区赤坂9丁目7-3)。
日時は12月11日14時~15時30分。

ジャパン・プラットフォーム(
http://japanplatform.org/

2015/11/23

母子避難の家族、童謡コンクールで銀賞/宮城

2015年11月23日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151123_13002.html

東京電力福島第1原発事故で福島市から北海道に3年間母子避難し、現在は仙台市で暮らす一家が、童謡コンクールの全国大会で銀賞に輝いた。「お世話になった人たちに感謝の気持ちを届けたい」と臨んだ大会。念願の舞台に立ち、家族で声を合わせる喜びをかみしめた。

仙台市泉区の会社役員武藤宏明さん(45)と長女妃音(ひなと)さん(8)、次女妃生(ひさき)ちゃん(6)は3日、東京であった「第30回全国童謡歌唱コンクールグランプリ大会」に出場。父と子でほほ笑ましい歌声を響かせ、ファミリー部門の7組中、2位の銀賞に選ばれた。

妻祥子(あきこ)さん(36)は三女妃花里(ひかり)ちゃん(1)と客席から応援した。元気いっぱい歌う3人の姿に目を細めた。

声をそろえて歌う武藤さん一家
2011年3月、原発事故を受けて祥子さんと子ども2人は宏明さんの実家のある函館市に避難した。仕事の都合で福島市の自宅に残った宏明さんと会えるのは年に数回だけ。祥子さんは「現実から逃げるように何にでもチャレンジしていた」と当時を振り返る。妃音さんと妃生ちゃんは歌が好き。童謡コンクールの北海道ブロック大会に2回挑んだが、全国大会出場はかなわなかった。

昨年、仙台市に新居を構え、1人増えた家族みんなでの生活を取り戻した。「支えてくれた人たちに元気でいることを伝えたい」と、3度目の挑戦を決めた。

曲は「あおいそらにえをかこう」。姉妹で振り付けを考え、足踏みをしたり、手を掲げたり。祥子さんのピアノ伴奏で練習を重ね、東北大会を1位で勝ち抜き全国大会出場を果たした。

<青い空に絵をかこう 大きな大きな船 あの船にのって出発だ ボクらのしまへ>

新たな道を進み始めた家族を象徴するような歌詞。祥子さんには古里福島市の風景も重なる。

「幼いころに見た空の下に帰りたい。一日も早く元の福島に戻ってほしい」

磐城、福島、郡女大付に福島県高校理科研究「最優秀賞」

2015年11月23日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151123-030148.php

理科系の部活動に所属する高校生による、第28回県高校生徒理科研究発表会は22日、郡山市で開かれ、物理と地学の2部門で磐城、生物とポスターの2部門で福島、化学部門で郡山女大付がそれぞれ最優秀賞に輝いた。

県内の25校から生徒約300人が参加した。生徒らは、河川や魚、虫など身近な自然や放射性物質に関するテーマなどで、日ごろの研究成果を披露した。

各部門の最優秀賞の受賞校は来年7月に広島県で開かれる全国高校総合文化祭に出場する。


日ごろの研究成果を発表する生徒ら

「殺人行為」「狂気の沙汰」-地元中高生らの清掃活動に誹謗中傷メール1千件 反原発派の非常識にため息…

(一部にはそうした激しい物言いがあったかもしれません。けれども、このイベントに対して「少しでも子どもの被ばくが少なくなるように」との思いで声を届けていた人が決して少なくなかった事実も知っています。「子どもの思いに応えた」のだとしても、その行為自体が正しいかどうかは別問題です。少しの被ばくでも本来なら守られるべき子ども。この子たちの未来を思うのであれば、路肩でゴミを拾えば舞い上がるかもしれない砂ほこりの、その土砂をベクレルで測定してみたのだろうか、その上で安全と言い切れるだろうか、と思います。 子ども全国ネット)

2015年11月23日 産経新聞
http://www.sankei.com/smp/premium/news/151123/prm1511230004-s.html


「明らかな犯罪」「殺人行為」-。東京電力福島第1原発が立地する福島県沿岸部の国道6号で10月、地元の中高生らが参加した一斉清掃活動の主催団体に対し、約1千件にも上る誹謗(ひぼう)中傷の電話やメールなどが寄せられていたことが分かった。地元の高校生が道路沿いに捨てられたごみの多さに見かねて声を上げ、5年ぶりに行ったボランティア活動。必要以上に放射線被曝(ひばく)を恐れる人たちによる、子供たちの思いを踏みにじる中傷行為に地元の関係者は胸を痛めている。(野田佑介)

「懐かしい」とほほ笑む中学生


「あったあった、ここにも」。10月10日、今は原発事故の収束拠点となっているサッカー施設「Jヴィレッジ」(広野町、楢葉町)にほど近い国道6号の歩道沿い。

マスクを着け軍手をはめた一団が草むらから火箸でごみを拾い上げ、ポリ袋に次々と入れた。ペットボトルに空き缶、菓子箱にビニールひも、さらには看板のようなものまで。

生い茂る雑草に隠れて見えづらいが、火箸で草をよけると次から次へと見つかった。開始から2時間余りで子供たちの袋はいっぱいになった。

震災前までJヴィレッジで活動していたサッカークラブに所属し、チームの仲間たちと参加した中学3年の男子生徒(15)=いわき市=は開口一番、「懐かしい」とほほ笑んだ。

原発事故以来、初めてJヴィレッジ近くまで来たといい「(施設の)環境がいい。ここで練習したい」と目を輝かせた。放射線量への不安はないかと尋ねると「自分の意思で来ました。気にはしません」と語った。

高校生が再開を持ちかける
「みんなでやっぺ!! きれいな6国(ろっこく)」と題した清掃活動は、平成19年から毎年秋に行われてきたが、東日本大震災と原発事故のため22年を最後に中断していた。

今年3月、国道6号であった桜の植樹イベントに参加した地元の高校生が、道路沿いに捨てられたごみが多かったことに心を痛め、「6国」の主催団体の1つ、NPO法人「ハッピーロードネット」の西本由美子理事長(62)に開催を持ちかけた。

高校生の思いに共感した西本理事長は「自分の考えを持って故郷のことを考えてくれている子供たちの思いを尊重したい」と活動再開へ奔走。その甲斐あって、国や県、沿線の自治体から後援を受けた。

ところが、活動の実施を告知した9月中旬ごろから、このNPOに誹謗中傷の電話やメール、ファクスが県内外から届き始める。

「若者を殺す行為」「美談にすり替えた子供への虐待」「狂気の沙汰だ」-。中には、主催団体の関係者に危害を加えることをほのめかしたものもあった。10月末までに、こうした誹謗中傷のメールなどは、1千件にも上った。

「子供の希望を踏みにじるな」
清掃当日。北は宮城県境の新地町から、南はいわき市まで全8区間計約50キロで、中高生約200人を含む総勢約1400人が参加した。避難区域となっている区間は大人が担当し、中高生はそれ以外の一般の居住地域となっている区間を受け持った。




「(国道6号が通る)この地区は自分たちのルーツ。地元のために何かしたいと思っていた」。大熊町出身の高校2年の男子生徒(17)は参加の理由をそう語った。

生徒は会津若松市などに避難し、現在はいわき市の新居で暮らしている。実際にごみを拾って歩いた広野町の様子を「小さいころから遊びに来ていた。景色は変わっていないけれど人が少なくなった」と寂しげ。それでも「こうして、ここに立てるようになったということは復興が進んでいるということだと思う。参加できてうれしい」と笑顔を見せた。

国道6号を通って学校や買い物に行っていたという高校2年の男子生徒(17)も思いは同じだ。浪江町で生まれ育ったが自宅には戻ることができず、いわき市で生活する。「浪江の家への行き方も忘れてきている。思い出の詰まった故郷の力になりたいと思ったのでよかった。まちがきれいになりやりがいを感じる」と話したが、「本当は浪江の近くにも行きたかった」と漏らした。

活動に参加したいわき市出身の会社員(36)=仙台市=は「地域のことを考えている若者がたくさんいることが分かった。被災地の希望だ」と話した。

西本理事長は「子供たちが安全に参加できるよう確認していた。除染で線量は下がっており、活動当日も計測したが被曝線量は日常生活の範囲内だった」と強調する。活動に参加した子供たちが誹謗中傷にショックを受けているといい、「賛否があるのは仕方ないと思うが、実際にこの地で生活している人がいる。故郷を思う子供たちの希望をなくすようなことはしてほしくない」と訴えた。

福島でDV相談が増加傾向 避難生活ストレスなど影響か

2015年11月23日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASHCM71WFHCMUGTB00W.

夫や恋人からの暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」に悩む女性が増加の兆しをみせている。福島県の「配偶者暴力相談支援センター」(DVセンター)への相談件数は、今年度上半期(4~9月)は781件。半年で昨年度の56%に達した。県は、東日本大震災後の避難生活のストレスや経済苦がDVを引き起こす一因と分析する。

県内9カ所のDVセンターへの相談件数は2008年度の1709件をピークに減り続けたが、12年度からは2年連続で増えた。昨年度(1404件)は減少に転じたものの、今年度は再び増加傾向をみせる。

県内のDVセンターに寄せられた相談件数

県によると、「避難先のアパートで夫に暴力を振るわれた」といった相談は後を絶たない。児童家庭課の担当者は「避難の長期化の影響を懸念している」という。

DVは殴る蹴るなどの暴行だけでなく、暴言や性行為の強要、携帯電話のメールの細かなチェックなど多岐にわたる。原発事故の賠償金を夫が使い込み、妻に渡さないケースもあった。

市町村も被害者支援に取り組む。会津若松市では相談員2人が電話や面談で対応。警察署に被害者の見守りを依頼したり、DV防止法に基づく裁判所への保護命令(接近禁止)申し立てを手伝ったりしている。離婚後も経済的に自立できるよう、看護師や保育士などの資格取得をめざす人に、最大月10万円を2年間給付する制度もある。

夫と離れたくても頼れる親類や友人がいないなど、行き場のない人の「最後のとりで」が「県女性のための相談支援センター」(福島市)だ。看護師や心理判定員らが常駐し、心身のケア、保護の申し立てや就業の支援、被害者の子どもの学習支援にあたる。

同センターの阿部郁子所長は「外傷があり、元気がない人がいたら。丁寧に話を聞いてほしい。そのうえで、かくまったり、その人の夫と掛け合ったりせず、警察や福祉窓口に速やかに届け出てほしい」と話す。

DVは子どもに及ぼす影響も大きい。原宿カウンセリングセンター(東京)の信田さよ子所長は会津若松市での講演で「DVに接した男の子は攻撃的になり、暴力でものごとを解決しようとしがち。女の子は自分の髪の毛を抜いたり、自傷したりする行為がみられる」と指摘。DVを振るう男性の大半が子どものころに家庭でDVを目撃しているといい、「世代間の被害の連鎖を止めなければならない」と訴えた。(池田拓哉)