2019/08/17

7/21 子ども全国ネット 8周年企画『子どもたちの甲状腺はどうなっているの?』を開催しました。


原発事故から8年、福島県では小児甲状腺がんの患者が200人を超えることが公表されていますが、甲状腺検査を行ってきた県民健康調査検討委員会は、甲状腺検査2巡目について、専門家で作る甲状腺評価部会の「甲状腺がんと被ばくの関連は認められない」といった見解を受理しました。

本当に、放射能とは関係ないの? 子どもを守りたい私たちは、どう考えて何をしたらいいの? そんな母親たちの不安に少しでも寄り添い、一緒に学び、共に考えていきたいと思い、8周年企画は子どもたちの甲状腺をテーマに取り上げました。






当日の動画をユープランさんが録画公開してくださっています。 
http://urx3.nu/ZsHE
※ 一部、非公開の部分は編集してあります。

まずは、福島県民健康調査検討委員会や県の甲状腺検査の経過などを、ずっと精力的に取材し、発信されてきたOurPlanetTVの白石草さんにお話しいただきました。

「福島県では2011年から、事故当時18歳以下だった子どもたち38万人を対象に、甲状腺検査を実施しています。5mm以上の結石、あるいは2cm以上の嚢胞が見つかった場合、詳細な二次検査をするということになっていて、そして検査結果が公表されています。

ただ、二次検査になって、そのあとすぐに穿刺細胞診した人たちの数字は公表されるのだけれど、一度、経過観察に回されてしまった人たちのデータは公表されていない、そこが問題です。











ですから、今、公には217人の方々が甲状腺がんと公表されていますが、そうした形で公表されていないけれど、穿刺細胞診で悪性の疑いがあると診断された人を入れると、私の見立てでは、おそらく300人くらいいるんじゃないかなと思っています。

多くの手術を執刀している鈴木真一先生が手がけた手術数は、今年5月に学会で発表したのが180例でした。これは、県が発表数している手術数より、とても多いのですね。一人の医師だけでも、この数字を超えているということになっていますので、実際にはもう少し多いのではないかと思っています」


次にお話しいただいたのは、福島や関東圏でたくさんの健康相談を担当し、甲状腺エコー検査も行ってこられた医師の牛山元美さん。牛山さんも白石さんと同様、福島県の対応に疑問を投げかけています。

「甲状腺がんは元々あるわけですね。どれくらいあるかというと、日本では年間10万人あたり12,3人。1億2000万の人口だとしたら、1年間に14000人が甲状腺がんだと診断される。でもこれは、大人まで全部合わせてです。

じゃあ、子どもは? というと、事故前、2007年の統計だと、15〜19歳の発生率が、人口10万人あたり、1,7人。15〜19歳は640万人いるので、1年間でだいたい110人ぐらいが甲状腺がんと診断されていることになる。14歳以下はどうなの? と聞かれると、非常に数が少ないので、統計としてとれないと言われています。



白石さんがおっしゃったように福島でやっている県民健康調査では、がんの疑い218人 手術173人という公式な発表ですが、公表されていない人たちは数十名いて、約300人近くいるんじゃないか、とアワプラなどの取材でわかっているわけですね。県はそういう方たちに対して、把握したり、今後公表する予定はない、そんなことはしません、と言います。













チェルノブイリと男女比が同じ、というのは重要です。普通なら、女性のほうが比率が多いけれど、男の子のほうが多いのです。」


最後に、関東圏での検査の必要性を訴え、お母さんたちが中心となってボランティアで甲状腺検査の仕組みを作り、各地の団体と連携して取り組んでこられた「関東子ども健康調査支援基金」の木本さゆりさんと佐藤登志子さんにお話しいただきました。

「場所を固定せず、各地域を毎週末ごとに巡回式で甲状腺検査をやっています。医師がその場で保護者に説明し、結果を手渡ししています。受診者1人に1つのID番号をつけて、結果データを管理しています。同じ人が2回受ければ、2回分が記録されるという形です。

実際には機器や消耗品など、非常にお金がかかりまして、受信者1人あたり2000円の実費負担をお願いしています。医師とスタッフはボランティアです。

福島の原発事故後に、102の市町村が汚染状況重点調査地域に指定されましたが、そのうち、51の市町村が関東にあります。でも、福島県以外の汚染地域では、国が対策をとりませんでしたので、『自分の地域で検診がしたい』という団体がいくつもありました。私たちは、そういった団体の健康調査を支援するという基金を設立して、実施しています。

2017年10月から、土日で毎月開催.
月100~150人/年2000~2500人
運営は、栃木、茨木、埼玉、千葉、神奈川で合計17の団体。
全国どこに住んでいても受けられます。
事故当時18歳以下を優先しています」


その後、質疑応答の時間をもちましたが、この問題は、まだまだわかっていないことが多いということがよくわかり、長く時間をかけて見ていかなければならないと痛感しました。

最後に白石さんが一人一人が、声を届けることの大切さを訴えてくださいました。
「県でも、委員の先生にでもいいので、手紙、メール、電話など、できることをぜひやっていただければ」とおっしゃっていましたが、一人一人のアクションを、できるところからやっていかなければと思いました。


登壇してくださったみなさま、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

〈イベント概要〉

日時 2019年7月21日(日) 13:00〜16:15 
会場 専修大学神田キャンパス 7号館3階 731教室

登壇者 
・白石草さん(NPO法人アワプラプラネットTV)
      http://www.ourplanet-tv.org/
・牛山元美さん(さがみ生協病院内科医)
・木本さゆりさん・佐藤登志子さん(関東子ども健康調査支援基金)
                https://www.kantokodomo.info/


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