2018/07/22

7/4 東京/「第37/38回国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加 〜国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす〜」

(7月4日(水)11:00より、衆議院第一議員会館にて、院内勉強会「第37/38回国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加〜国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす〜」が開催されました。今回、主催団体の1つだったグリンピースジャパンの鈴木さんから報告があがっていましたので、ご紹介します。画像等、詳細はこちら→http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/61723/
  子ども全国ネット)


国連人権理事会福島勧告で一歩前進!

うれしい報告があります!
以前もお伝えした国連人権理事会での福島原発事故被害者の人権状況の改善を求める勧告の件で、一歩、前進がありました。

勧告のうち、ポルトガル政府が求めていたのは、「国連国内避難民に関する指導原則の適用」でした。

国連国内避難民に関する指導原則が日本語に

でも、その「国連国内避難民に関する指導原則」の日本政府公式訳はありません。「国内避難民」である東電福島原発事故避難者のみなさんとともに、翻訳して!と「原則」の管轄である外務省に要請し、国会議員事務所を通しても要請していました...そして、7月4日、外務省から「要請いただいているので翻訳します」との回答がありました。
ちっちゃいことかと思われるかもしれませんが、でも、この原則は、20年前にできていて、20年間翻訳されなかったことを考えると、大きいことなのでは...と思っています。

なんといっても、政策に適用してもらうために、日本語訳がなければお話になりません。

回答は、7月4日に開かれた衆議院議員会館での勉強会「第37/38回国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加〜国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす〜」でのことでした。

有権者の声かけで多くの国会議員が参加

勉強会には、国会議員が11人、議員秘書さんが16人、報道関係者の方7人、関東に避難している原発事故被災者の方、支援者の方、人権NGO、また、スタッフとボランティアで68人定員のお部屋がいっぱいになりました。

告知が前週の金曜日なのに、なぜ、これほどたくさんの国会議員が参加してくれたのか? それは、関西の被災者支援グループや、東京の被災者グループ、支援者のみなさんが、国会議員ひとりひとりに、お声がけしてくださったからに他なりません。動くこと、ほんとうに大切、そして感謝です。当日も、ひなん生活をまもる会やグリーンピースのボランティアさん、ヒューマンライツ・ナウのインターンさん、「避難の協同センター」の松本徳子さんなどが手伝ってくださいました。

翌日、朝日新聞に「国連国内避難民に関する指導原則」が翻訳されることも含め、掲載されました。

会合の後も、主催団体で国会議員事務所を数箇所まわり、本件へのご協力をお願いしてきました。


国連国内避難民に関する指導原則を広めよう

「国連国内避難民に関する指導原則」は、国内避難民はほかの人と同じ権利を有する、という当たり前のことが書かれているだけなのですが、その当たり前のことがないがしろにされているのが日本。

① 日本政府による翻訳ができる

② 日本政府がちゃんと「原則」を周知させる、行政が「原則」にのっとった避難者対策をする

③ 日本政府が「原則」を法律として取り入れる

一歩一歩前に進んでいきたいと思います。

7月4日勉強会ハイライト

国会でいち早く福島勧告についてとりあげた山崎誠衆議院議員が冒頭にあいさつしました。

「日本がこれ(勧告)をきちんと受け止めるかどうかが、日本の外交にも大切。福島の問題は解決しておらず、状況は悪化している。いろんなかたちで支援していきたい」

次に、外務省が「国内避難民に関する指導原則」について説明しました。

「国内避難民の問題は、世界でも大きな課題となっている。国内避難民に関する指導原則は国内避難民のニーズに応えるためにつくられた規範文書。30の原則からなる。日本はこの指導原則を重要な枠組みとして認知している。日本への適用については、原則を尊重し、日本政府としても対応していかなければならないと考えている。今回、みなさんの関心が高まり、山崎誠議員からの指摘も受け、日本語訳は外務省として翻訳作業を始めた」

続いて、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士が国連人権保障システムと東電福島原発事故についてお話ししました。

「原発事故後、7年以上経過したが、健康に対する権利、居住に対する権利、子どもの成長発達に関する権利、環境に対する権利、避難者が国内避難民として保障される権利など、さまざまな人権保障が十分でない。国連社会権規約でも、食料、衣料、居住の権利が定められている。ところが年間20ミリシーベルトを下回る地域の住民への住宅支援が打ち切られている。日本政府は、2012年「健康に対する権利」国連特別報告者、2014年の国連自由権規約委員会からの勧告、また2016年の女性差別撤廃委員会からの指摘などについて対応してこなかった。今回対日人権審査(UPR)の4つの福島関連勧告をすべて受け入れた。ポルトガルの勧告は国連国内避難民に関する指導原則の適用というもの。原則は国内避難民であることによって差別を受けてはならない、危険を感じる場所への強制送還や再定住から保護される、再定住においての住民参画などを定めている。日本でも適用していくということで非常に期待している」

グリーンピースから、2018年6月から7月にかけて行われた第38回国連人権理事会での福島原発事故関連の動きについて報告。今年は「国連国内避難民に関する指導原則」がつくられてから20周年ということで、国内避難民に関するパネルディスカッションが行われ、政策への当事者の参画の重要性が指摘されました。

また、「In Their Own Words」(当事者の言葉で)というサイドイベントが開かれ、南スーダン、ナイジェリア、メキシコの「国内避難民」と並んで、東電福島原発事故被害者の園田さんが、避難指示区域外の避難民の数が日本政府によって把握されていないこと(よって対策の検討が困難)、避難者政策への当事者参画がない実情を話しました。

最後に、第37回国連人権理事会でスピーチをした東日本大震災避難者の会(サンドリ)代表の森松明希子さんと副代表の車田麻美さんが、国連参加報告と実情について報告。

「この7年間、ずっと人権侵害の状況が続いている。避難民が日本全国ばらばらに散らばっており、とくに避難指示区域外の避難者の実情が把握できておらず、そのため効果的な支援ができていない。国際的な原則が守られておらず、差別もおきている。また、帰還する人への支援が厚く、帰還しない人への支援が打ち切られている。避難続けたい人が続けられる施策をお願いしたい」(森松さん)

「元の住まいは福島県須賀川市だが、原発が爆発したときに三春町にいた。三春町の住民に安定ヨウ素剤が配られたが、自分と子どもには三春町の住民でないということで安定ヨウ素剤が配られなかった。いまでも子どもに申し訳ない。大阪府で供与されたアパートに入ったが、ハザードマップで赤いところだったので、自主的に別のアパートに移った。場所は高槻市で先日の地震でそのアパートは今のアパートよりより大きい被害があった。ただ、現在の住まいにも被害があり、現在避難生活をしている」(車田さん)

*今回のブログで話題になっている「国連国内避難民に関する指導原則」はGPID日本語版作成委員会(代表:墓田 桂)による訳があります。ぜひ、ご一読ください。

*7月4日の勉強会のもようは三輪祐児さんが撮影してくださっており、こちらでご覧になれます。

なお、当日の参加議員は以下の通りです。(あいうえお順)

岩渕友参議院議員(共産党・全国比例)
金子恵美衆議院議員(無所属の会・福島第1区)
紙智子参議院議員(共産党・全国比例)
吉良よし子参議院議員(共産党・東京選挙区)
辰巳孝太郎参議院議員(共産党・大阪選挙区)
堀越啓仁衆議院議員(立憲民主・北関東ブロック比例)
福島みずほ参議院議員(社民党・全国比例)
森山浩行衆議院議員(立憲民主・大阪府第16区)
山崎誠衆議院議員(立憲民主・東北ブロック比例)
山添拓参議院議員(共産党・東京選挙区)
山本太郎参議院議員(自由党・東京選挙区)

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