福島で、とくに中高生、大学生たちの被曝低減はとりわけむずかしい。
見守る親たちの気持ちが痛いほど伝わってきます。
このたび、福島県教育庁
健康教育課へ要望書を提出したそうです。
回答を文書で求めたところ、最初は断られたそうです。
そこを粘りづよく要請して、近く回答をもらえることになったそうです。
全国から見守っていきましょう。
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福島県教育長殿
<高校生の命を守る保護者ネットワーク>
高校生の学習環境の安全を確保し命を守るための要望書
~たったひとつの命を守り未来につなげるために~
2011年3月11日に発生した福島第一原発事故から1年8カ月が過ぎた現在も放射性物質の排出が続き、また放射性のごみの焼却により、環境は汚染され続けています。福島県内の高校の多くは昨年4月初めから授業が開始され、この1年8カ月の間、ほぼ通常通りに部活動や体育の授業を行ってきました。しかし、高校生には線量の高い校庭の表土除去をした
こと以外に、マスクをするような指導も積算線量計の配布も殆ど無く、内外の被曝を予防するための対策はありませんでした。
(積算線量計については二本松市、伊達市などの配布あり、自治体による)
高校生でも、発育状況には個人差があり細胞分裂もまだまだ盛んですし、これから子どもを産み育てていく年代に一番近い「子ども」でもあります。放射線のリスクについては様々な言説がありますが、子どものリスクが大人の10倍であるならば、高校生のリスクについても憂慮すべきだと思います。まして部活動、体育、長距離の自転車通学等の呼吸によりかなりの内部被曝が心配されます。多くの高校生が部活動等で全国大会を目指して休む間もなく練習に励み、進学校では夏休み、冬休み、春休みも課外授業があり、授業も欠席すると受験に影響が出るおそれもあるなど各々が被曝の無い地域に移動し、傷ついた細胞を休める機会など殆ど無いのが現状です。福島県内の高校生にも、被曝の心配のない安全な環境で学習をし、部活動等の活動をする権利があるはずです。
福島県内の高校生が他県の高校生と同じように、希望や目標を持ち、それらを実現できるよう、放射線の影響を心配することの無い、安全な学習環境対策を早急にとって頂きたくお願いいたします。
記
1) 年間被曝限度量1m㏜の法令を順守すること。環境の詳細な放射線値のモニタリング(校庭等の土壌検査も含む)の継続とホットスポットが見つかった場合の除染等を継続すること。他県の高校生と違う年間被曝限度量は明らかにダブルスタンダードであり、差別に値します。
福島県の子どもたちにも安全な環境の中で教育を受ける権利があります。
原発事故以前の環境に戻らない限り安全とは言えません。
2) 未曾有の原子力事故により、長期的に放射線の影響を受け続けることから考え、子どもたちの健康を守るべく必要不可欠な長期の保養を、福島県内の低線量地域や福島県外の非汚染地域(低汚染地域)で、最低でも1ケ月間のクラス単位、学年単位、或いは部活動単位で継続的に保養をさせることを要望します。
3) 2)については、学習や部活動等に支障のないように、施設等の確保や安全な食材の供給等について県外の自治体等に協力を呼び掛けるなどして早急に実行して下さるようお願いします。
また、費用の負担は国で持つよう、福島県から要請をお願いします。
誰一人もれることなく、家庭の負担がかからないようにして欲しいです。
4) 早急に精密なあらゆる検査を無料で行い、継続して受けられるようにして下さい。原発事故当時福島県内にいた高校生を含む卒業生、あるいは避難で県外に出た子どもに対しても、同様の検査等を無料で継続して受けられるようにして下さい。
保養先でも検査をし、内部被ばくの状況の把握をして下さい。また、心臓病、腎臓病、免疫力の低下なども心配されます。ベラルーシでは一人の子供が二つ以上の病気を持っている子が多いと言われています。
女性にホルモンの問題、ガン以外の甲状腺の病気や婦人科系疾患の多発などが見られると報告があります。
甲状腺検査、WBCのみならず、尿検査・血液検査・心電図など、検出限界値を低くした精密検査を行ってください。
5) 学校のスポーツ大会、運動部の活動に関しては、極力内外被曝の低減に努めて下さい。校庭等部活動をする場所の定期的な線量のモニタリングを行って下さい。ホットスポットが移動する可能性があるので、地上1mだけではなく、50cm、1cmの高さで測定して下さい。
子どもたちが活動する場所でホットスポットが見つかった場合は、立ち入りを禁止し、早急に
除染するようにお願いします。
毎時0.6 マイクロシーベルト以上に該当するような場所(日本の現行法規では部外者の立ち入りが禁止される放射線管理区域)での屋外活動を禁止して下さい。
6)福島市、郡山市などの中通り地区での活動が無理な場合、県内外の放射線量の低い場所に
活動する場所を移し、思う存分それぞれの力を発揮できるようにサポートすることを国に要請
し、実行できるようにして下さい。
7)避難で県外の高校へ編入を希望する生徒には、現在通学している高校と同等のレベルの高校を選択しやすくするなど、避難先の自治体に協力を要請しサポートをして下さい。
8)現在も地震が多発し、また原発で事故が起きることを考えて、安定ヨウ素剤の配布、避難経路の確保と誘導・周知を国と県、及び市町村の合同責任において、生命を守ることを第一に必ず説明会を開いて下さい。 未来を担う子どもたちの命を第一に考えてあらゆる対策を迅速に行って下さい。
9) 子どもたちの命は子どもたちのものです。彼らの真摯に活動する姿を取り上げ、福島県の「復興」「安全」などの宣伝に決して利用しないで下さい。
高校生以下のすべての子どもたちにも、「人権」があります。学ぶ権利があります。
先にも述べましたが、福島県内の高校生と県外の高校生の学習環境に、2種類の基準が適用されることは、全ての子どもたちに安全な環境で学習を受ける権利があることを無視するものです。
年間1m㏜を基準とし、安全な環境で安心して学び個人の意思が尊重され、将来への希望が閉ざされることのないよう、願いを込めて要望致します。
以上
高校生の命を守る保護者ネットワーク
参加保護者 一同