新潟県は15日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼動を巡り、福島第一原発事故による健康影響を検証する「健康分科会」の第4回会合を開いた。低線量被ばくによる健康影響などの議論を進めた。4ヶ月ぶりの開催となったが、今後は議論のスピードを上げるため、3ヶ月ごとに開催していく方針だ。
会議ではまず、鹿児島大学の秋葉澄伯委員が「低線量被ばくによる健康影響」の論点と参考文献を説明。甲状腺がんの潜伏期や、小児甲状腺がんの進行の早さ、超音波検査による過剰診断などについて委員が活発な意見交換を行った。
秋葉委員は、明確なデータがないとしながらも「いろいろなデータを考えると、小児は成人よりも甲状腺がんの進行の早い気がする」と指摘。新潟大学の中村和利委員は、小児甲状腺がんは他のがんに比べて「予後が良く自然に消える」という意見を述べたが、獨協医科大学の木村真三委員は「原発事故前のデータと比べることは出来ない。原発事故の被ばくによって発生した甲状腺がんとは別の話で、きちんと見ていかないといけない」と否定した。
会議の後半は、中村委員が福島原発事故関連の論文検索の結果を説明した。甲状腺がん以外のメンタルヘルスや、生活習慣など計62の論文を紹介し、今後の議論の参考にしていく。
次回の会議について、木村委員からは5月に来日するベラルーシの専門家(甲状腺の臨床医)を会議に招聘することや、秋葉委員からは、福島で開催されている「県民健康調査」甲状腺検査評価部会の鈴木元部会長を招聘することが提案され、鈴木宏座長が了承した。今後、県が最終的な判断を行う。
新潟県「健康分科会」メンバー
委員:青山 英史 新潟大学医学部 教授 放射線医学
秋葉 澄伯 鹿児島大学 名誉教授 疫学・公衆衛生学
木村 真三 獨協医科大学 准教授 放射線衛生学
鈴木 宏 新潟青陵大学 副学長 疫学・公衆衛生学(座長)
中村 和利 新潟大学医学部 教授 疫学・予防医学(副座長)
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