2011/12/07

6日の原子力損害賠償紛争審査会の結果を受けて

6日、原子力損害賠償紛争審査会が行われ、
自主避難者に一律8万円、妊婦や子どもには40万円という
支払金額が指針として出されました。
以下、その報道と、それについてFoE Japanから出た声明です。


自主避難者に一律8万円、賠償案を提示
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4895457.html
(動画あり)
TBS NEWSi

 原発事故により、自主的に避難した住民への賠償案が示されました。政府の「原子力損害賠償紛争審査会」は、自主避難した住民に一律8万円、妊婦や子供については40万円を支払い、同じ区域で避難しなかった住民にも同額を支払うとする指針を取りまとめました。

 小学生の子供2人をかかえ、神奈川県横須賀市で避難生活を送る福島県川俣町の菅野イツ子さん(45)。自営業の夫を福島に残したまま、母子だけの避難生活もすでに8か月が経ちました。

 「大体、2人朝がバタバタしていて、 私も(避難生活に慣れ)余裕が出てきて・・・」(菅野イツ子さん)

 元々、川俣町にある菅野さんの家は原発から20キロ以上離れている上、計画的避難区域にも該当していませんが、子供の健康への影響を心配し、「自主的な避難」を決断したといいます。

 避難先での子供たちの生活も順調だといいますが、生活費を稼ぐため、福島に一人残る夫との家族離ればなれの生活が続きます。

 「寂しいですね・・・やっぱり。知っている人があまりいないし 、一緒に暮らしていた夫も離れて 生活していますので、本当にいつもいたものですから(夫が)いないという生活が一番こたえますね」(菅野イツ子さん)

 毎月の家賃や生活費にかかるのはおよそ15万円。夫からの仕送りでまかなってはいますが、少しでも子供たちの生活の足しになればと、菅野さんは今月から宅配便のパートを始めました。

 「今まではこう、ひっそりと暮らしていたような感じで・・・。少しずつ、踏み出せるというか、このままじゃいけないと思ってきて」(菅野イツ子さん)

 子供の健康と安全を守るためにした、「自主避難」という選択。

 6日に開かれた政府の「原子力損害賠償紛争審査会」では、こうした自主避難している住民への損害賠償をめぐり、指針がとりまとめられました。

 指針では、まず、福島県の県北、県中、いわき、相双の4つの地域を「自主的避難等対象区域」と定義。この区域で自主的に避難をした住民について、原発事故に対する恐怖で被った精神的損害と、避難による生活費の増加を合わせて1人あたり一律8万円を支払うこととなりました。

 18歳以下の子供と妊婦については、1人あたり40万円となりました。一方で、避難せずに留まった住民についても、「事故への恐怖という点では自主避難者と変わらない」として、同じ額を支払うことになりました。

 「実費を賠償してください」(会場)

 結局、自主避難した住民と地域に残った住民双方が不公平にならないよう配慮した形ですが、避難した世帯ごとにかかった費用は異なることなどから、今後も不満がくすぶることになりそうです。(06日17:32)



これに対して、FoE Japanでは下記の声明を出しています。

http://www.foejapan.org/energy/news/p111206.html

【声明】 自主的避難に損害実費・精神的損害の賠償を
2011年 12月6日


本日、原子力損害賠償紛争審査会で、自主的避難者等に対する賠償方針が決定しました。審査会の中間指針追補に関して、FoE Japanと福島老朽原発を考える会(フクロウの会)は以下の声明を発出しました。

<声明>
自主的避難者に正当で幅広い賠償を!
避難費用や収入減少分、精神的損害をカバーできる賠償とすべき
東電は、個別請求に応じ、完全に賠償すべき

12月6日の原子力損害賠償紛争審査会において、自主的避難者等に対する賠償方針が決定し、賠償の地理的範囲は、県北・県中・いわき・相双内の市町村とし、賠償期間は、子ども妊婦を除いて原発事故の発生当初、子どもや妊婦までは今年12月末までを対象に、自主避難者やとどまった人に対する賠償額は子どもや妊婦で一人40万円、その他の人で8万円とされました。

私たちは、避難区域外からの、放射線被ばくへの不安や恐怖による避難の合理性を認め、避難者と残留者への賠償を認めたという点では今回の審査会の方針を評価しますが、自主的避難に対しては、あくまで損害実費および精神的損害が賠償されるべきであると考えています。また、下記の点で問題であると考えています。

・自主避難者の中には、引っ越し費用、二重生活に伴う生活費の増大、交通費などにより、多大な経済的負担を負った方々もいます。また、仕事をやめざるをえなかった方、不動産価値の損失により損害を得た方もいらっしゃいます。これら の避難費用や収入の減少や喪失、財産の減少などが今回の「一括」の賠償を超過した場合、個別請求によりカバーできるように明記すべきです。避難者の賠償項目は、避難区域内からの避難者と同様とすべきです。

・賠償が支払われる期間があまりに短すぎます。国や自治体の除染計画はおおむね2年間で立案されていますが、除染に2年かかる、すなわちそれまでには線量が十分さがらないということを考えれば、賠償を認める期間は最低でも2年とし、それ以降も検討できるようにすべきです。

・賠償対象の地理的範囲が、県北・県中・いわき、相双となっていますが、この外側にも空間線量が高い地域が存在します。特に、宮城県丸森町は、線量が高い地域です。基本的には、日本の既存の法令での公衆被ばく限度などを参照しつつ、自主的避難に対して幅広く賠償を認めていくべきです。

・子ども・妊婦以外の住民に対して、「原発事故の発生当初」しか賠償が認められないことは不合理です。子ども・妊婦への配慮は、賠償の範囲を狭めるために行うのではなく、基本的な賠償範囲に追加する際に検討されるべきです。


今回の中間指針追補においては、個別具体的な事情に応じて、賠償額が算定される場合が認めうるとしています。

私たちは、東京電力に対して、自主的避難者や残留者の方々の、避難費用や除染、収入や財産の減少に関する個別の請求に基づき、審査会の指針を超える部分に対しても、責任をもって迅速に賠償をしていくことを求めます。


【問い合わせ】
国際環境NGO FoE Japan 満田夏花/090-6142-1807
福島老朽原発を考える会 阪上武/090-8116-7155

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