2011/12/17

ふくしま集団疎開裁判却下

本当に残念で腹立たしい判決結果が下されてしまいました。



学校単位で疎開を…仮処分申し立て却下


東京電力福島第一原子力発電所事故で、福島県郡山市の保護者が同市に対し、放射線量の高い地域では教育は行わず、学校単位で疎開するよう求めた仮処分申し立てについて、福島地裁郡山支部(清水響裁判長)は16日、却下する決定をした。

決定要旨で同支部は、「他の児童生徒の意向を問うことなく、一律に教育活動の差し止めをしなければならないほど、具体的に切迫した危険性があるとは認められない」などと退けた。
弁護団は保護者の意思を確認し、抗告するかどうかを決める方針。
(2011年12月16日21時22分 読売新聞)
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下記の「ふくしま集団疎開裁判」のホームページには、「却下」決定に対するコメントも掲載されているので、ぜひご一読ください。
/http://fukusima-sokai.blogspot.com/
とくに注目したいのは、決定の骨子で、③100ミリシーベルト未満の低線量被曝の晩発性障害の発生確率について実証的な裏付けがない」と示されている点でしょうか。
ちょうど判決が出る16日の東京新聞朝刊で、下記のような記事があがっていましたが、これを受けての判決なのでしょうが、ICRPですら、「放射線被ばくに“しきい値”はない」と認めているのに…という気持ちがぬぐえません。
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東日本大震災:被ばく避難基準、20ミリシーベルト「妥当な値」 段階的下げ提言--政府WG

東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質による低線量被ばくの影響を有識者で検討する政府のワーキンググループ(WG、共同主査・長滝重信長崎大名誉教授、前川和彦東京大名誉教授)は15日、年20ミリシーベルト程度の被ばくによる健康影響は低いとしたうえで、政府の除染方針と同様に年20ミリシーベルトの地域では2年後に年10ミリシーベルト、その後は年5ミリシーベルトを中間的な目標にすべきだとの提言をまとめた。細野豪志原発事故担当相に提出した。【久野華代】
WGは、国際的な基準を参考に、避難の基準となっている年20ミリシーベルトについて「(喫煙などの)他の発がんリスク要因と比べて十分に低い水準だ」として、科学的に妥当な値だと結論付けた。福島県民の被ばく線量は年20ミリシーベルトを平均的に下回っていると分析する一方、「線量が高い地域から、優先順位をつけて徐々に下げていくべきだ」と提案した。
また、放射線の影響を受けやすい子供の生活環境を優先して除染し、避難区域でも校庭や園庭は毎時1マイクロシーベルト以下を目指すべきだと訴えたほか、子供が口にする食品に配慮して放射性物質濃度の適切な基準の設定を求めた。
チェルノブイリ原発事故(1986年)で増加した子供の甲状腺がんについては「福島第1原発事故では線量が小さく、発がんリスクは非常に小さい」と指摘した。
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■解説

 ◇さらに議論、検証が必要

福島第1原発事故後、健康影響についての明確な科学的証拠がないとされている100ミリシーベルト未満の被ばくを巡っては、食品や除染などさまざまな規制値や基準値が示され、国民の間では混乱も起きた。政府のワーキンググループは政府と東京電力を名指しして「低線量被ばくによる社会的不安を巻き起こした」と反省を求めたが、少数の専門家によるわずか1カ月余りの議論が、住民にとって安心材料になったとは言い難い。
避難の基準となった年20ミリシーベルトという数値はもともと、専門家で組織する国際放射線防護委員会が緊急時の目安に掲げたもの。WGは今回、この目安を追認しただけでなく、除染などの中間目標も政府が8月に示した基本方針を踏まえただけに終わり、今回の原発事故に伴う具体的な健康影響を独自に評価する姿勢は、ほとんどうかがわれなかった。
WGは提言の中で今後の適切な被ばく防護対策を取るために「多様な価値観を考慮すべきで地域ごとの住民参加が必要」と指摘した。放射性物質と向き合う日々は今後も続く。低線量被ばくの健康影響について、住民の意見を積極的に取り入れながら、不安解消につながる真剣な議論、検証作業が求められる。【久野華代、永山悦子】
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 ◇WGがまとめた低線量被ばくの影響◇

・100ミリシーベルト以上は線量の上昇に応じて発がんリスクも増加することが分かっているが、100ミリシーベルト未満は影響が科学的に証明されていない
・低線量を長期間被ばくした場合、同じ線量を短期間で集中的に被ばくした場合より健康影響は小さい
・内部被ばくと外部被ばくの人体への影響は同じ
・低線量の内部被ばくによるぼうこうがんの増加は被ばくとの因果関係があると評価できない
毎日新聞 2011年12月16日 東京朝刊

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