知事、停止要請を見直し 県外の民間借り上げ住宅新規受け入れ
2011年12月 9日 福島民報
民間賃貸住宅借り上げ制度により県内からの避難者を受け入れている都道府県に対し、県が今月末での新規受け入れ打ち切りを要請したことへの反発が相次ぎ、佐藤雄平知事は8日、県災害対策本部会議で方針を見直す考えを示した。県には100件以上の苦情が寄せられている。県の対応と地元に残りたくても安心・安全への不安から避難を考えざるを得ない住民感情との隔たりが浮き彫りになった形で、県の見通しの甘さを指摘する声も出ている。
県が都道府県に受け入れ打ち切りを要請していたことが明らかになって以降、県災害対策本部には「除染が進んでいないのになぜ打ち切るのか」「将来の避難の道を閉ざすのか」などの怒りの電話が相次いだ。
自主避難を考えている県民や県外の自主避難者も反発を強める。福島市南沢又の女性(39)は、小学6年の長女への放射線の影響を心配し、年明けに兵庫県に引っ越す予定だ。避難に伴う経済的負担は大きく、自主避難を考えている世帯にとっての借り上げ住宅を「頼みの綱のようなもの」と話す。福島市から新潟市に避難している「ふくしま新潟県内避難者の会」の村上岳志代表(36)は「小さな子どもを抱えた家族や若い夫婦の悩み、苦しみを考えているのか」と憤る。他県の避難者団体と連携して署名活動などを展開し、今後も長期的に住宅の借り上げができるよう求めていく考えだ。
県は東京電力福島第一原発事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」が年内に終了する見通しとなっていることなどを受け、都道府県に対して事務レベルで受け入れ打ち切りを要請。今週内に正式に求める方針だった。
県災害対策本部会議で佐藤知事は「都道府県の意見を聞きながら、あらためて検討する必要がある」と述べ、当面は正式要請をしない考えを示した。
多くの避難者を受け入れている新潟県は、県に対して受け入れを継続する必要性を指摘してきた。担当者は「被災者支援は『これだけの期間やったからいいだろう』という話にはならない。制度を今後も続けるのか、代替措置を講じるのか、福島県と考え方を整理する必要がある」としている。
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