2014/08/01

個人被ばく線量に基づいた除染目安に関する抗議声明

 本日、環境省より公表された「市町村除染に関する国と4市の勉強会中間報告」に関し、個人被ばく線量に基づいた除染目安に転換することに強く抗議し、下記の通り、抗議声明を送りました。




石原伸晃 環境大臣 
井上信治 環境副大臣


個人被ばく線量に基づいた除染目安に関する抗議声明




 私たち「NPO法人子ども全国ネット」は、環境省による「市町村除染に関する国と4市の勉強会中間報告」に関し、個人被ばく線量に基づいた除染目安に転換することに強く抗議します。
 私たちは、今回公表された「毎時0.30.6マイクロシーベルト」という目安は、がまん値を超えた受け入れられない数値「被ばく強要目安」であり、決して子どもたちを被ばくから守るための数値ではないと考えます。
 とりわけ、子どもたちへの放射線による被ばくの影響はわからないからこそ、できる限り、防護する必要がある、と「原発事故子ども・被災者支援法」では謳っています。この4市の勉強会の中間報告が、何の法的根拠ももたないまま、福島県内外における除染の目安として広がるようなことになれば、子どもたちの被ばく防護がないがしろにされてしまうのではないか、不安を抱えたままの帰還を促されてしまうのではないか、という懸念があります。


以下、その理由です。
1.個人線量計(ガラスバッジ)による被ばく測定の限界と弊害
2.「場」の線量と「個人」線量の混同による恣意的な数値のアップ
3.住民の意見を無視した、不透明なプロセスによるまとめ内容の決定

 現在使用されている個人線量計では、一人ひとりの正確な外部被ばく量を測定することが難しいという指摘があります。本来、一般公衆の被ばく限度は、追加被ばくが年間1ミリシーベルトであり、これは、外部被ばくのみならず、内部被ばくも合わせて考えられるべきです。にもかかわらず、外部被ばく線量のみで計算し、1ミリシーベルトまでは基準値内としていることには、あらためて矛盾を感じます。また、個人線量計の数値のみが重視される中で、被ばく防護についても自己責任が問われかねないという懸念も生じます。
 そもそも、個人線量計は、放射線管理区域における放射線業務従事者の個人被ばくを管理するためのものです。ですから、個人線量に依拠するのであれば、その地域の全ての住民を、放射線業務従事者と同様に被曝管理すべきであるのに対し、場の線量を管理するための指標として個人線量を使用するのみでは、何ら放射線防護にはなりません。このままでは、「場」の線量と「個人」線量の混同であると言わざるを得ません。
 また、4市勉強会の開催から今回の中間報告の公表に至るまで、すべてのプロセスが不透明であり、住民の声を聞く機会のないままに実施しています。これは、「原発事故子ども・被災者支援法」の理念である、被災当事者の意見を聞くことをまったく無視しています。

以上


201481

特定非営利活動法人子ども全国ネット








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