2014/08/02

新たな除染方針、「再除染せぬ口実だ」



環境省と福島など4市は1日、個人被曝(ひばく)放射線量を重視する新たな除染の方針を示した。除染作業に携わってきた業者からは「作業は何も変わらない」などと冷めた見方が出る一方で、作業の効率化を評価する意見なども聞かれた。

「住民は除染で空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトに下がるかどうかを気にしてきた。今さら『基準じゃない』なんて話をすり替えられても困る」。大手ゼネコン関係者はこう話す。

 個人線量重視について、この関係者は「要は除染後に多少、線量が高くても『実際の被曝は年間1ミリシーベルトはいかない。再除染はしません』と言う口実にしたいのでは」と見る。

 すでに一部の自治体が取り入れている、汚染度が高いところを重点的に除染する簡素化した手法についても様々な意見が上がった。

 「今さら手法を変えるのは厳しい」。福島市の除染に関わったことのある企業役員はそう考える。「除染で重要なのは見栄え。庭がきれいになること。簡素化なんかしたらきれいじゃなくなるよ」と突き放した。

 一方、伊達郡の町で除染に従事したことがある男性は「作業をしながら、これだけの金をつぎ込んでどれほどの効果があるのかと思った」と振り返る。

 住宅1戸の除染でも100万円単位の金がかかることは少なくない。だが、東京電力福島第一原発事故から3年以上が経ち、除染で下がる線量は限定的になってきた。「ただお金をかければいいという時期は、もう終わったんじゃないか」


2014年8月2日
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/CMTW1408020700001.html

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