かねてから、DNA解析をして、放射線影響に特異なパターンの有無を調べないのだろうかと疑問が出ていました。今回、こうして発表されたのは、担当する医師が所属する学会であって、それを報道で知るという、県民健康調査の情報共有のあり方に疑問を感じます。まして、先日県民健康調査についての記者会見があったばかり。そこでは触れずに、学会発表という形に、というのは、県民健康調査で得られたデータが誰のものなのか、という思いです。
また、これだけの子どもが甲状腺がんをもつのが福島に特異な状況でないとすれば、各地にも潜在的な甲状腺がんの子どもがそれだけいるのだろうか、という疑問も生じかねません。
もちろん、これで、放射能由来でないことが裏付けられたのかどうかは専門家の判断に委ねるしかないわけですが、だからといって、福島の子どもたちがこれ以上、被ばくにさらされてよいわけではなく、内部被ばく、外部被ばく合わせて、公衆被ばく限度の年間1ミリシーベルト以上の被ばくにさらされないこと、予防原則にもとづいて、できる限り被ばく防御をする必要があり、健診を丹念に続けることは、あらためて言うまでもないと思います。
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東京電力福島第一原発事故を受け、18歳以下の約37万人を対象に県と福島医大が実施している県民健康調査「甲状腺検査」で、これまでに見つかった甲状腺がんの細胞の遺伝子変異を解析した結果、チェルノブイリ原発事故の被ばくで甲状腺がんになった子どもの遺伝子変異とは別型だった。研究結果を福島医大と長崎大のグループが初めてまとめた。研究グループは今回の結果を踏まえ、「福島第一原発事故の影響は考えにくい」との見解を示している。福島医大甲状腺内分泌学講座の鈴木真一教授が14日、大阪市で開かれた日本甲状腺学会学術集会で発表した。これまでの甲状腺検査でがんと確定したか、疑いがあるとされた人は計103人いる。発症割合などの科学的知見から県や福島医大は「現時点で放射線の影響は考えにくい」としてきたが、遺伝子レベルの分析で見解が裏付けられた格好だ。
学術発表によると、県民健康調査関係で遺伝子解析したのは、103の症例のうち、がんとされた23人分。ほとんどが国内の成人の甲状腺がんによく見られる遺伝子変異で、チェルノブイリ原発事故後に甲状腺がんになった子どもからはほとんど見つかっていない。さらに、チェルノブイリで多く見られた遺伝子変異は23人中、1人も見つからなかったという。
当時18歳以下だった全ての県民を対象にした網羅的な検査で発見された甲状腺がんについて、福島医大は「成人になってから発症する可能性があったものを早期に発見した可能性を示唆している」と分析している。
2014/11/15
福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2014111519239
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