11月17日に行われた、東日本大震災復興特別委員会(参議院)より「子ども・被災者支援法」についての答弁を抜粋しておきます。青字は、質問者(国会議員)の発言、赤字は、政府答弁です。色文字、下線や太字だけでも、ぜひお読みください。
そして、国民の代表である国会議員の仕事は「立法府」である「国会」で、立法を審議することです。その国会議員全員の賛成で、日本の法律となった「子ども・被災者支援法」の理念がまったく実現されていないことに、国会議員はもっと政府を追及すべきなのではないかと思います。
総選挙の争点に、まったく出てこない被災者支援ですが、こうした状況を理解し、追求できる議員を選ぶことができれば、支援は前進するはずで、そのために何ができるか、知恵をしぼりたいです。
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○委員長(櫻井充君) 東日本大震災復興の総合的対策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
大臣を終えて初めての質問がこの震災復興特であるということ、大変感謝をしております。理事の皆様、委員長、ありがとうございます。
まず初めに、子ども・被災者支援法について質問をしたいというふうに思います。
この法案は、私、筆頭発議者であり、提案者でございます。この法案は全会一致で、しかも全政党が提案者になった戦後初めての法案でございました。私が被災地福島県の議員ということで、野党時代に子ども救済法という法案をまず条文を作りまして、この趣旨は、被災地そして原発事故があった地域の子供たちを守るという趣旨でございます。同じことを考えておられた川田議員たち、そして民主党さんの方では当時の谷岡郁子議員が、その後みどりの風に移られましたが、野党をおまとめになって被災者支援法というのを作っておりまして、その二つを合体したものがこの子ども・被災者支援法でございます。
その中の特に私が書き込んでいた子供の救済の部分、この条文について今日は質問したいと思います。
基本方針について、安倍内閣になってからやっと作られたということで、関係者として感謝を申し上げます。その次の課題として十三条三項があるというふうに思っております。
御存じのように、福島県においては今十八歳未満の子供たちの医療費は無料になっております。しかし、ここで問題なのは、震災当時十八歳未満であったけれども、今、原発事故から三年八か月が経過をいたしまして、年が上の方の子供は十八歳を超えております。当時、例えば十七歳だったお子さんは今二十歳や二十一歳になっているわけでございます。そのお子さんたちに万が一重いがんのような疾病があった場合には、福島県の十八歳未満の医療費無料というのは適用されないことになっております。
このような重大な疾病が出ないことを祈っておりますし、これは現在の科学を環境省の方で今様々な検討をなさっていることも承知しておりますが、十三条三項というのは、そもそもの趣旨は、原発事故による放射線被害による重大な疾病の発症というものがいまだかつてない事象であるために、様々な専門家の意見があり、これはどのぐらいの割合で、どのぐらいの期間で、どのぐらいの重い疾病が生じるということはなかなか一つの見解に至るには時間が掛かるという、そういう問題が根底にございました。当時も本当に様々な意見がありました。非常に深刻な見解もあれば、楽観的な見解もございました。
しかし、そのような様々な見解の中で、私たち与野党を合わせた議員は、この様々な見解の検討に掛かる時間の間、被災者、特に子供たちを不安にさらせると、その不安の負担を子供たちに押し付けてはならないということです。ですから、その結果が、政府としての統一見解が出るまでの間、まずは、重い疾病が出たら、これが原発事故に起因するか起因しないか分からなくても医療費の支援を国がするというふうに十三条三項に書いてあります。
先日、環境省が私のところにレクに来たときに、ちょっとそれと違ったような見解を述べておられましたので、是非、環境省の方には当時のこの子ども・被災者法の議事録を読んでいただき、そして当時の復興大臣がそのようにいたしますというふうにおっしゃっておられますから、しっかりとそれを読み込んで対応していただきたいと思うんです。
つまり、まずは国が支援をするということが前提です。そして、括弧の中に書いてある、わざわざ括弧書きの中に放射線による被曝に起因しないものは除くと書いてあるのは、これは法律の条文の読み方では当然のことでございますが、立証責任を転換しております。そのように当時の国会でも私たち提案者が答弁をしております。国が原発事故に起因しないということを立証するんです。裁判所で主張していただきたいと思います。しかし、起因するか起因しないかということの様々なことによる負担を被災地の子供たちに、そしてその子供たちの親に押し付けることはやめましょうという、そういう趣旨でございます。
ここまで聞いていただいた上で、是非早くこの十三条三項を具体的に制度化をしていただいて、万が一のときには国が医療費を支援する、当時十八歳未満で現在十八歳以上の者の重い疾病に係る医療費でございますが、そのような制度をつくっていただきたいと思いますが、まず小里環境副大臣、そして復興大臣に御答弁を願いたいと思います。
○副大臣(小里泰弘君) 御指摘をいただきましたように、福島県におきまして子育て支援の観点から十八歳以下の医療費助成を行っているところでございまして、十八歳を超えるとこれが途絶えてしまうんじゃないかと、そういう視点からの問題提起をいただいたと心得ます。
環境省では、福島県民の原発事故後の中長期的な健康管理を可能とするために、福島県が創設をしました基金に交付金を拠出をして、福島県が実施をしておりますところの健康調査を支援をしているところでございます。また、平成二十五年十月に取りまとめられました子ども・被災者支援法の基本方針に基づきまして、専門家会議を設置をし、事故後の健康管理の現状、課題を把握をし、今後の支援の在り方について検討を行っているところでございます。
今先生からいただきました問題提起、貴重な御意見をしっかりと受け止めて、今後また専門家会議で議論をして必要な検討をしっかりと進めてまいりたいと思います。
○国務大臣(竹下亘君) 非常に大変重要な課題であると認識をいたしております。
子供たちは日本の将来を背負っていく存在でございますから、政治家、政治へ携わる者は、今も大事でございますが、常に未来、すなわち子供たち、孫たちのことに思いを致しながら今を考えていかなきゃならぬというふうに思っております。
先ほど環境省から答弁があったように、専門家会議を今環境省の中に設置をしていただいておりまして、議論をいただいておるということを承知をいたしております。専門家会議の結論といいますか方向を待って、環境省ともよく相談をして対応していかなければならない課題であると思っております。既に十三回ですか、専門家会議開催をされておりまして、間もなく一定の方向が出るんじゃないかという期待も我々、あっ、今度十三回目が今月の二十六日に行われる予定というふうに伺っておりますが、間もなく方向性を出していただけるものだと、こう思っております。
環境省と、これいずれにしましても、本当によく相談をして対応していこうと思っております。
○森まさこ君 是非しっかりと検討していただきたいと思うんですが、ちょっと気に掛かるのは、この専門家会議の方が医学的な見地から専門的に検討するということで、医学的な見地で専門的に検討はずっとしていただいて結構なんですけれども、それを待っている間の不安というものを、その負担を押し付けないでほしいという趣旨が十三条三項でございますので、検討は検討でやっていただき、しっかりとした医療費の支援については、同時並行的にこれは設置の方向に向けて検討を進めてほしいと、大臣のリーダーシップに期待をしたいと思います。
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
次に、子ども・被災者支援法について何点か伺います。
先ほど、森委員からも質疑がありました。超党派で参議院で議員立法を成立をさせていただきましたけれども、特に、これまで、基本方針が示されてから、この十三条の第二項、第三項の規定であります定期的な健康診断と医療費の減免、さらには医療の提供について、これをしっかり実施していくための実施法について超党派の議員連盟において今議員立法をすべく検討中です。
やはり早くこういった実施をしてほしいという、特に福島県民だけではなく県外の人からも、特に健康診断をしてほしいという声ですとか、それから先ほどの森委員からもありましたように、十八歳を超えた後も継続して医療を受けられるようにしてほしいという声もありまして、そういった実施の方をやっぱり是非、これは法律もそうですし、実施の方も含めてやっぱり検討を是非進めていただきたいというふうに思っています。
質問なんですが、この子ども・被災者支援法の附則の二には、「国は、第六条第一項の調査その他の放射線量に係る調査の結果に基づき、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すものとする。」と書かれています。
この支援対象地域の見直しはいつ行うんでしょうか。法律では毎年見直すということになっているわけですが、支援対象地域を定めた基本方針の閣議決定からはや一年がたちました。十二月に行うということで理解してよろしいでしょうか。
○副大臣(浜田昌良君) 今、川田委員から御質問いただきましたように、昨年の十月十一日に基本方針、閣議決定しております。そして、法律の附則二で、今読み上げていただきましたが、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すと、こう規定されておりますので、支援対象地域の考え方の変更自体はないと思いますけれども、この法の二条の規定に基づきまして、区域については様々な事情を考慮して適時適切に対応してまいりたいと思っております。
○川田龍平君 この見直しに当たっては、どのような観点で行うんでしょうか。よもや予算やこの対象地域を減らす方向ではないと思いますが、この準支援対象地域についても見直すのかどうか、お答えいただけますか。
○副大臣(浜田昌良君) 支援対象地域の見直しについてでございますけれども、川田委員御存じのように、この支援対象地域については空間線量の一定推計値をベースにしますが、当時の法案の審議の際、分断を新たにつくらないでほしいという要望もございましたので、経済的、社会的な一体性も考慮して決められております。そういう考え方をベースにしながら、基本的にその後の線量の状況はどうなっているかということを踏まえて決めていくと。
あわせて、準支援対象地域についても、支援対象地域等と決められておりますので、検討していくことを考えております。
○川田龍平君 大臣、是非、恐縮なんですけれども、この子ども・被災者支援法の第十四条、それから第二条の二項に何と書いてあるか御存じでしょうか。もしよろしければ読み上げていただければと思います。
○国務大臣(竹下亘君) 子ども・被災者支援法第十四条は、「国は、第八条から前条までの施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずるものとする。」と、こう定めているところでございます。
○川田龍平君 続けて、二条の二項には何と書いてありますでしょうか。
○国務大臣(竹下亘君) 二条二項は、「被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。」、こう定めているところでございます。
○川田龍平君 大臣にわざわざ読んでいただいたのも、まさにこの条文がこの法律の理念の本当に基本となるところです。わざわざ十四条にこういうふうな規定を置いているわけですから、この支援対象地域、また準支援対象地域の見直しに当たっては、このパブリックコメント、パブコメだけで済ませようということではなく、是非、自主避難者の人たちの声も含めて、この被災者の声を直接聞く場というものを是非復興庁主催で設けていただけるというふうにお考えいただきますようによろしくお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(浜田昌良君) 今、十四条は大臣から読み上げさせていただきましたが、被災者の要望、意見をしっかり受け止めることは重要でございまして、復興庁においては、これまで被災者団体等が開催する会合に職員が参加するなどして被災者などの意見を伺ってまいりました。私自身も何回も出席させていただきました。さらに、県外避難者等に対する相談体制を確保するため、昨年度、全国四か所で民間団体等を通じた県外自主避難者等への情報支援事業を実施しておりまして、今年度はこれを八か所に拡大して実施しております。
今後とも、被災者を支援する民間団体とも協力しながら、政府が責任を持って、被災者等の御意見を引き続き伺ってまいりたいと思っております。
○川田龍平君 大臣、是非この関係団体のヒアリングを傍聴するという、そこに行って聞くというだけではなくて、是非主催して、復興庁の方で主催していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、大臣お願いします。
○副大臣(浜田昌良君) 担当の私から答えさせていただきます。
基本方針の策定の際には、御存じのように、復興庁主催で福島と東京で説明会も主催させていただきました。そういう意味では、そういうことも組み合わせておりますし、ただ、大人数でわあっとやるというのが必ずしも効率的でなかったなという感じもありましたので、少人数での懇談会になるべくお招きいただいて、かつ、NPOのいろんな工夫もございますので、そういうところで伺った方が本当の意見もお伺いできますので、その辺、開催の仕方についてはいろいろ工夫したいと思っております。
○国務大臣(竹下亘君) 先ほど浜田副大臣にお答えをいただきましたように、本当にいろんなレベルでやらなければならない。川田委員御指摘のように、それを復興庁が主催してやりなさいという御指摘でございますが、今までどういう形でやって、どこが落ちていたのか、あるいはどこか抜けがあるのかということも再検討した上で検討させていただきます。
○川田龍平君 これ、被災者の人たちが待ち望んでいるのは、定期的な協議の場を設けてほしいということも要求してありましたので、是非直接意見を聞いていただきたいと思います。
次に、この自然体験と保養事業進捗の来年度の見込みについて、子ども・被災者支援法に基づき文科省が実施している自然体験・交流活動支援事業について伺います。
今年度から福島県外も対象となっていますが、現時点で県外を選択した学校や幼稚園、保育園の割合、また長期の宿泊を伴う事業を実施した社会教育関係団体にはどのような団体があり、行き先の都道府県はどこだったのかの現状をお教えください。
○国務大臣(下村博文君) 福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業は、子ども・被災者支援法第八条の自然体験活動等を通じた心身の健康の保持に関する施策の一つとして、御指摘のように、今年から、福島県の子供を対象に、幼稚園、保育所、小中学校、特別支援学校及び社会教育関係団体が実施する自然体験活動や、県外の子供たちとの交流活動を支援する事業として実施しているものであります。
今年度の幼稚園、保育所、学校の申請数は九百二十九校園所で、参加予定の子供の数は約七万五千人となっております。このうち県外での活動を組み入れているものは百六十校園所、約二万人で、全体の約二割でありました。また、六泊七日以上の長期宿泊を伴う事業を実施した社会教育関係団体はNPO、社会福祉法人、PTAなどでありまして、行き先は北海道、新潟、神奈川、伊豆大島、京都、沖縄と全国各地にわたっております。
○川田龍平君 ありがとうございます。
チェルノブイリの経験から、放射線にとりわけ脆弱な子供たちが一定の期間ほかの地域で保養することが重要との知見は大臣もよく御存じのことだと思います。
この事業、私は子ども・被災者支援法の貴重な成果の一つとして評価をしています。初年度の今年は、準備が間に合わずに日帰りや一泊程度の事業しか実施できなかった学校などが多かったと聞いております。来年度はもっと県外での滞在宿泊日数を増やして申請する学校などが増えてくるのではないかと思いますが、今年度の予算と比べて来年の概算要求額は増やしていますでしょうか。
○副大臣(浜田昌良君) 復興特別会計でございますので、復興庁からお答えさせていただきます。
今年度から東日本大震災復興特別会計に計上いたしました福島の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業につきましては、平成二十七年度概算要求において、文部科学省からの要望を踏まえ、今年度と同額でございます三億二千四百万円を計上したところでございます。
○川田龍平君 是非、副大臣、それから文部科学大臣、復興大臣、昨年は十億円要求をして三億円だったと聞いております。獲得した予算額と同額しか要求していないということでは減ってしまうのではないでしょうか。心配です。是非、実施団体、受入れ団体の声にも文科大臣からもよく耳を傾けていただきながら、来年度も予算を十分に確保していただくようにお願いいたします。
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