2014/11/05

今を生きる 正しい知識伝える 広野町が放射線相談室設置/福島

環境省の予算がついて、こうした住民や帰還する人たちへの相談窓口や情報提供事業が推進されているが、その内容がとても問われています。「正しい知識」は、どこに依拠するのか、どの部分を伝えるのか、などで、伝わり方がまったく変わってしまうだけに、居住し続けることや帰還だけを優先していないかなど、注視していきたいところです。優先されるべきは、将来にわたる子どもたちと住民の健康な生活ですから。

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町民の不安解消に努めると誓う相談員の木幡さん
■常勤相談員 木幡ちえみさん 37
 広野町は4日、東京電力福島第一原発事故に伴う住民の放射線への不安解消に向け放射線相談室を設置した。常勤で相談員を務める看護師の木幡ちえみさん(37)=広野町上北迫字上田郷=は2人の子を持ち、避難生活を体験した。帰町を迷う母親の気持ちは誰よりも分かる。「町民に寄り添い、放射線について正しい知識を伝えていく」と誓う。

■母の目線で助言
 町役場で4日に行われた相談員への辞令交付式。「(放射線への)不安が解消され、多くの町民が戻ってほしい」という遠藤智町長のあいさつに、木幡さんはぐっと表情を引き締めた。
 「放射線の専門家ではないが、これから確かな知識をしっかり学びたい」と力を込める。第一種放射線取扱主任者の資格を持つ元日本原子力研究開発機構(JAEA)職員と、いわき市にある環境省の放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター職員から週1回、指導を受ける。放射線への人体への影響や、不安を抱える人へのアドバイスの仕方を身に付けていく。
 放射線についてばかりではない。看護師として、出産や健康全般の質問も幅広く受け付け、町民の良き相談相手になりたいと願う。
 木幡さんは広野町出身。看護学校を卒業後、結婚を経て東日本大震災が起きるまでの約13年間、富岡町の眼科医院に勤務した。
 原発事故により、いわき市で約2年間、避難生活を送った。昨年春、長女(14)の中学校進学で悩む。娘は友人とともに広野中に入学したいと希望したが、放射線が少し不安だった。
 小学1年生だった長男(9つ)を広野に戻すのを心配した親族もいたという。木幡さんは動いた。避難先のアパート周辺と自宅周りの放射線量を測って比べたところ、大差がないと気付く。身の回りの状況について正しい認識を持ったことが、帰還を決める要因の一つになった。
 相談員として活動をスタートさせた木幡さんは「母親の悩みをしっかり聞いてアドバイスしたい。不安が解消され、結果的に多くの町民が帰ってくればうれしい」と目を輝かせている。

■設置拡大目指す
 広野町は、町内の「大字」単位の6地区に相談室の設置を目指す。町役場の相談室を拠点に交流会や講演会、研修会などを随時開き、町民に放射線を正しく理解してもらう。
 町は、町民約5500人のうち若い世代を中心にほぼ半数が避難生活を続けているとみており、放射線への知識を広め帰町促進につなげたい考えだ。

■町役場1階に開設 広野町放射線相談室
 町役場1階の児童図書室の一画に開設した。木幡さんと、相談室長の鈴木洋四雄(よしお)さん(70)=町社会福祉協議会長=が応対する。業務は土・日曜日、祝日を除く平日の午前8時30分から午後5時15分。電話は080(9252)4773。

2014/11/05
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/11/post_10961.html
福島民報

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