2015/02/18

福島の子に、わが家提供 松本のNPO法人が新事業

北野さん(左)の自宅で顔合わせする植木理事長(中)と佐川さん=松本市で
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 東日本大震災で被災したり、福島第一原発事故で避難したりする子どもを受け入れる松本市のNPO法人「まつもと子ども留学基金」は、子どもが市民の家で生活するホームステイ型の受け入れ事業を新たに始める。四月から福島県内の子ども二人がホームステイをしながら地元の学校に通う。
 同留学基金は二〇一三年、大震災の被災者らの支援を目的に福島からの避難者や地元の弁護士らで結成した。市内の空き民家を改装して寮にし、昨年四月から子どもを受け入れている。現在は小学六年の女子児童一人と中学一、二年の女子生徒六人の計七人が生活し、地元の学校に通っている。
 福島市瀬上町の佐川美佳子さん(42)から、小学六年の長男(12)の入寮希望が寄せられたが、寮の空き部屋がなくなったため、ホームステイ型での受け入れを検討。理事長の植木宏さん(44)が知人らに相談した。今年一月末、寮の視察に来るなどその活動を知る松本市の北野友子さん(79)が「二階の空き部屋を使っていいよ」と部屋の提供を申し出た。
 北野さんは二階建て一軒家に一人暮らし。別の福島県内の保護者からも小学六年の男子児童の入寮希望があったため、二階の空き部屋三部屋のうちの二部屋を使い、子ども二人が暮らすことになった。
 食事などの面倒は北野さんがみるが、詳細は今後、同留学基金のスタッフらと話し合って決める。今月上旬、佐川さんら二家族が松本市を訪れ、北野さんと顔合わせをした。
 「原発事故から四年になるが、原発の被害は続いている。成長期の子どもだけでも安全で安心な場所で生活してほしいと思った。北海道や北陸の親戚の家に家族での避難も考えたけど、夫の仕事もあって難しかった」と佐川さん。長男は「友達と離れるのは寂しいけど、外で思う存分遊べる」と話しているという。
 「福島の事故は大人の責任。人生最後の人助けとして責任を持ってあたりたい」と北野さんは語る。
 同留学基金は、活動に賛同する企業や団体からの資金などの支援で運営し、子どもの受け入れでは保護者に一定の自己負担がある。寮での食事などはスタッフが担当する。
 植木さんは、「子どもを安全な場所で育てたいと考えるのは当然のこと。こうした活動を広げていきたい」と話している。

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