2015年02月11日 読売新聞より
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20150210-OYTNT50125.html
学校給食に地元産米を使う自治体が新年度から県内47市町村になり、福島第一原発の周辺を除くと原発事故前とほぼ同じ水準に回復する見通しであることが10日、わかった。放射性物質を懸念して多くの自治体が県外産などに替えたが、徐々に地元産が復活し、新年度は相馬市と新地町が再開する。県学校給食会は「全袋検査や独自の検査で安全なものだけを提供してきたことが安心につながったのではないか」としている。
給食食材の販売などを行う県学校給食会によると、原発事故前は三島町と檜枝岐村を除く57自治体が地元市町村でとれた米を使っていたが、2011年度は会津産や県外産に替える自治体が相次ぎ、地元産を使ったのは13市町村だった。検査で安全性が確認されて12年度は38市町村に増え、今年度は45市町村になった。
地元産の使用を見合わせている10市町村は、避難指示区域がある南相馬、浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉、葛尾、飯舘、川内の9市町村と広野町。広野町は「昨年、保護者にアンケートを行ったが、まだ理解を得られる状況ではない」として新年度も見送る方針。昨年10月に避難指示が一部解除された川内村は「新年度中の再開を検討している」という。
4月から小中学校15校で再開する相馬市は、昨秋から保護者説明会を開催。給食では精米後の検査で放射性物質が検出限界値(1キロ当たり10ベクレル)未満のものを使っていることや、炊飯後も各学校で検査する市独自の方針を説明した。それでも一部の保護者から「将来どんな影響があるか分からない」と不安の声があった。
市教育委員会が昨年12月に市内の小学1年生~中学2年生2696人の保護者を対象に行った意向調査で、給食の地元産米を食べると回答したのは83・8%で、家から白米を持参するとしたのは7・2%だった。2月中に最終確認を行い、白米持参を選択した保護者には給食費のうち白米分を返金するという。市教委は「今後も保護者を対象に放射線に関する講演会を開くなど、食の安全を丁寧に説明したい」と話した。
県学校給食会の五十嵐孝雄常務理事は「地産地消を進めていた原発事故前の状況に戻りつつあるのは大変喜ばしい」と話した。
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