2015年02月24日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150224k0000e040184000c.html
東京電力福島第1原発事故を受け、山形県に避難した母親でつくる「山形避難者母の会」が、今月末にも情報誌「KURASSO(クラッソ)」を発行する。山形から福島に戻った母親が編集を手がけ、避難当時の自分が知りたかった福島の情報を盛り込む。伝えたいのは「戻る、戻らない、いずれの選択も『正解』」とのメッセージだ。
情報誌はB5判24ページを予定。福島県内の学校給食の検査態勢を知ってもらうため管理栄養士にインタビューしたり、子どもの屋外遊び場など身近な情報を掲載したりしている。インタビューや情報収集は登録会員らが担った。
編集したのは、母の会代表の中村美紀さん(39)。2011年8月、娘3人を連れて福島県郡山市の自宅から山形市に自主避難し、昨年3月に帰還。同5月には長男を出産し、4児の母になった。
中村さんが避難中、最も欲しかった情報は「福島で暮らす人たちのリアルな声」だったという。行政は除染の進ちょく状況や、食品の放射性物質濃度などのデータは示してくれるが「本当に知りたいのは福島の人が何を感じ、何を考えて暮らしているのかというストーリーだと実感した」という。このため情報誌では、不安の声や困ったことも加減せずに掲載することにした。
避難中、帰還をためらう背景には、放射線量などの不安に加え「逃げた」という罪悪感もあったという。だが、戻ってみると、疎遠になっていた友人から「お帰り。待ってたよ」と声をかけられ、泣きそうになった。原発事故後の被災者の行動は、混乱の中で一人一人が必死に考えて選択した答えだ。「古里はいつでも『おかえり』って言ってくれる場所。情報提供し『戻っても戻らなくても、その選択を応援しているよ』と福島から発信することが大事だと思った」という。
情報誌2000部は2月中にも福島、山形両県内の避難者の交流拠点などで無料配布する。今後の発行は、読者の反応をみて決める。「全国の方に読んでほしい」と、電子版での発行も検討中だ。問い合わせは、中村さんのメール(yamagatahinanhaha@gmail.com)か電話(070・5473・4262)で。
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