2015/02/18

愛知/15歳除染、ほかにも未成年が作業か 暴力団の影も


2015年2月19日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH2L4PTKH2LOIPE00W.html

15歳の少年に福島市内で除染作業をさせたとして、愛知県警は18日、名古屋市守山区にある土木建設会社の男を労働基準法違反(危険有害業務の就業制限)の疑いで逮捕した。同社は少年に対し、「足場を組む作業」で除染とは伝えていなかったほか、少年以外にも除染をさせられた18歳未満の未成年が複数いる疑いのあることが県警の調べでわかった。

15歳に福島で除染作業させた疑い 名古屋の業者を逮捕
除染作業の少年に「18歳で通せ」 日給は3千円

逮捕されたのは、同社専務の千葉祐士容疑者(49)=福島市山下町。発表によると、千葉容疑者は昨年7月22日、福島市南矢野目の大型商業施設の敷地内で、当時15歳だった愛知県内の少年(16)が18歳未満であることを知りながら、東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質に汚染された草や土を取り除く作業をさせた疑いがある。容疑をおおむね認め、「除染作業をしている会社にアルバイトに出しただけ」などと供述しているという。

千葉容疑者は、「うちの現場は18歳未満は働くことができない。誰から聞かれても18歳で通せ」などと少年に話し、年齢について口止めしていた。少年は昨年7月下旬、日給3千円の約束で除染作業に従事していたが、千葉容疑者から暴力を振るわれ、給与を受け取る前に逃げ出したという。少年は昨年3月、中学校を卒業。4月にハローワークで、労基法違反の疑いが持たれている男が専務を務める会社を紹介され、足場を組み立てる作業員として就職した。

原発労働者や除染作業員を支える活動をしている「被ばく労働を考えるネットワーク」(東京都)事務局の中村光男さん(63)は「若くて安い労働力は業者にとって魅力的なのだろうが、悪質な業者も多い。行政は現場で作業の実態をよく見て、確認する必要がある」と話す。

■絶えぬ違反、半年で335件

東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業で、未成年者を従事させたり、十分な安全を確保していなかったりするケースが後を絶たない。暴力団の暗躍も懸念されており、関係機関は対策に乗り出している。2013年10月、福島地裁郡山支部は、18歳未満の少年7人に年齢を偽らせ、除染をさせた労基法違反などの罪で、福島県の建設会社社長に懲役2年2カ月の実刑判決を言い渡した。

福島労働局によると、昨年1~6月に除染作業をした313業者を調査したところ、約6割にあたる186業者で計335件の労基法や労働安全衛生法の違反が見つかった。内訳では、賃金の不払いや計算方法の誤りのほか、現場で作業前や作業中に、放射線量を正しく測定していなかったものが多かったという。

除染作業に暴力団が進出しているという懸念も出ている。山形地裁は13年3月、派遣業の許可を持たず男性7人を福島県内で作業に従事させたなどとして、暴力団元幹部に懲役8カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。元幹部は給与をピンハネしたとされ、除染に使われる税金が暴力団の資金源になっている実態が浮き彫りになった。こうしたこともあり、環境省や自治体、警察、企業は連携し、暴力団や悪質な業者を排除しようと対策協議会を発足させ、目を光らせている。

一方、作業員不足は深刻だ。ハローワーク福島の奥貫秀則業務部長は「景気が上向き、土木建設作業員全体の需要が高まる中、健康被害への不安もある除染作業は人が集まりにくい」と指摘しており、厳しい状態が続いている。

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