東京電力福島第1原発事故による県産の野菜や食品への風評被害が依然残る中、風評払拭(ふっしょく)へ向けた「放射性汚染と消費者意識についての学習講演会」(消費者庁や県、協同組合ネットいばらきなど主催)が5日、水戸市三の丸の県水戸生涯学習センターで開かれた。消費者にあらためて放射性物質の影響について情報を整理してもらうのが狙い。JAや生協などの関係者80人が参加した。
食の安全に詳しいNPO食品保健科学情報交流協議会理事長の関沢純さん(農学博士)が、放射性物質による汚染と食品の安全性の関係について講演。
関沢さんは、放射性物質と発がんリスクの関係について、がんの発生リスクは放射性物質の影響だけでなく、生活習慣に関連する要因も高いと説明した。
食品に含まれる放射性セシウムは、流通業界などで国基準の1キログラム当たり100ベクレルを下回る基準を設定し、基準超の商品は市場に出回っていない。
放射性物質の影響について過剰な不安を持つ考えもあるが、関沢さんは「根拠のないうわさや情報に惑わされず、科学的に理解することが大切。さまざまなリスクを総合的に考えてほしい」と強調した。
このほか、県がことし1〜2月に消費者や流通事業者などを対象に実施した県産食品への意識調査について、県販売流通課の担当者が報告。
県産の野菜を買い控えている人は東京や関西で1割程度だが、流通・小売事業者が推定する割合は実態よりも高いという。
同課は「消費者の動向について情報を事業者に提供し、買い控え解消を働き掛けるといった対策をこれからも続けていく」とした。
2014年9月6日
茨城新聞より
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14099250519183
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こうした講演会が各地で開かれているので、自分の地域での実施や内容を注視していきたいと思います。「買い控えしている人は1割」というのは、どこから出てきた数値なのかわかりませんが、あくまでも売れるようにすることをめざしている講演会なのだとわかります。
まず、「1キログラムあたり100ベクレルの基準超の商品は市場に出回っていない」とは決して言えないのが日本の現状です。なぜなら、
・測定にあたってのサンプリングの頻度が少なすぎること
・地域ごとに出荷をストップしても、地域の範囲が汚染の実態と合っていない可能性があること
・市場に出回っているものの多くは測定していないので、実態は不明であること
ただ、ありがたいことに、土壌の性質によって、日本の農産品は100ベクレルを超えるようなものがとても少ないという状況はあるので、山野のものや川・湖沼のものをのぞけば、100ベクレルを超えるものは少ないことは言えます。
一方で、大豆など、100.3ベクレルのものは出荷された報告もあり(小数点を四捨五入して100ベクレルまでは出荷可能)、もちろんそれ以下のものは当然流通する可能性があり、すでに出回っている大豆や小麦などが加工品として流通するのは、その年に限らないことも注意すべきことです。
そもそも、100ベクレルという基準値が安全かどうかについての論拠が、検討の段階から納得いかないものであったし、チェルノブイリの報告などを聞くにつけ、それで安全とは言いがたいと思います。何より、それを判断し、食べるかどうかを決めるのは、消費者なのですから、生産流通を担う方々がそこをまちがってしまうと、対立を生んでしまいかねません。
やはり、綿密に厳しく測定し公表されることが実行されない現状では、移行値の高いものについては、地域の汚染度を考えて選ぶしかないと思います。「風評被害」、100ベクレルを超えないまでも汚染されたものをいかに消費させるかしか対応していない消費者庁の方針に地域ごと飲み込まれることのないよう、市町村区の行政から動かしていけたらと思います。
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