2016/06/11

除染土を建設資材に再利用、道路盛り土や防潮堤に


2016年6月10日 日経コンストラクション 
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03464670Q6A610C1000000/

環境省は2016年6月7日、除染で発生した廃棄物のうち、放射能濃度が低いものを建設資材として再利用する方針をまとめた。この夏までに詳細を詰めて決定し、福島県南相馬市内で盛り土材として使う実証試験を行う考えだ。

環境省が7日に開いた有識者の検討会で提示し、大筋で合意を得た。平常時の線量限度を年間1ミリシーベルトとした国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告などを踏まえ、再利用する除染土の放射能濃度を1kg当たり8000ベクレル以下に設定した。

使用する除染土を覆土などで被覆することで、周辺住民や施設の利用者への追加被ばく線量を年間0.01ミリシーベルト以下に抑えられるとしている。

除染土の再利用が考えられる例(資料:環境省)

例えば、盛り土に利用する場合、厚さ50cm以上の土砂やアスファルト、コンクリートで被覆する。植栽された土砂の場合は、100cm以上の厚さが必要だ。

環境省では、福島県内で発生する除染土などの量は、減容化後で最大2200万m3(立方メートル)に上ると推計している。そのうち約1000万m3は、1kg当たり8000ベクレル以下と見込まれる。これを建設資材に再利用できれば、最終処分量を大幅に減らすことができる。

用途ごとの除染土の放射能濃度と年間の追加被ばく線量を
1ミリシーベルトに抑えるために必要な被覆の厚さ(資料:環境省)

管理責任が明確な公共事業などで、再掘削などの形質変更がない盛り土などに限定して利用する。具体的には、道路や鉄道などの盛り土の路体、コンクリートなどで被覆した防潮堤、廃棄物処分場の盛り土などの利用を想定している。環境省では地域を限定せず、全国の公共工事で利用したいとしている。

除染土の流出を防止するため、地形や地質、環境、水理、災害と災害履歴、維持管理の方法などを考慮して計画・設計を進める。

再利用する除染土の放射能濃度は出荷時に確認し、出荷伝票に記載する。施工者は除染土の受け入れや保管、持ち出しについて管理するが、放射能濃度は管理しない。

出来形検査などで除染土の放射能濃度や使用場所、使用量などの記録を作成し、保管する。供用開始後の維持管理は、通常の施設と変わらない。

実証試験では、隣接地の空間線量率や地下水の放射能濃度を測定。除染土を再利用した工事で、施工後のモニタリングが必要かどうかを検証する。

除染土の再利用に向け、環境省は2018年度までに、発注者や施工者の取り扱い上の留意事項をまとめた「再生利用の手引」を作成する。
(ライター 山崎一邦)

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