http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20160908-00061931/
「311甲状腺がん家族の会」が9月5日、「福島県県民健康調査検討委員会」と「福島県小児科医会」に3通の質問と要望書を送付したと公表した。
福島県県民健康調査検討委員会の星北斗座長にあて
一つは、福島県県民健康調査検討委員会の星北斗座長宛てで質問は5項目。
8月8日付け福島民友が掲載した「対論・甲状腺検査」での発言に関して、星座長が、「『科学的な説明のため、1人も漏らさずきっちり調べるべきだ』という意見もないだろうし・・・」と述べたことについて、「網羅的な調査の必要性に疑問を呈する」根拠を尋ねている。
また、「18歳を超えると(県外への就職、進学などで)学校での集団検査ができなくなり、極端に受診率が下がる。こういう人をその先どこまで深追いするかは論点の一つになる」と述べたことに対し、「甲状腺検査体制の縮小を示唆しているのであれば、その合理的な根拠を教えてください」と尋ねている。
さらに、「仮に検査体制を縮小する場合、これまで受診勧奨などをもって実施された甲状腺検査により判明した小児甲状腺がんへの手術の妥当性について」など、すべて質問の理由と共に尋ねている。
福島県小児科医会の太神和広会長にあて
一つは、福島県小児科医会太神和広会長宛てで質問は4項目。これも、8月8日付けの福島民友が掲載した「対論・甲状腺検査」での発言に関するものだ。
太神会長が、「放射線と関係なく以前から一定割合であった『潜在がん』を見つけているにすぎないと、医学的知識のある人は考えるだろう」と紙上で述べたことに対し、因果関係については、解明の途上にあるとして、この「発言の合理的な根拠」などを尋ねている。
また、「韓国で甲状腺検診を実施した結果、がんの発見率はどんどん上がって手術も増えたが、その一方でがんの死亡率は変わらなかった」と述べたが、福島と単純に比較することの合理的な根拠を、質問の理由と共に尋ねている。
福島県小児科医会にあて
もう一つは、福島県小児科医会宛てで、同会が福島県に要請したことに対する質問と要望となっている。
福島県小児科医会が8月25日に福島県に対し、甲状腺検査の事前にメリットとデメリット両面を説明することと同意書の取得を要望したことについて、「デメリット」とは何かを質問。
また、「過剰診断」「過剰検診」と「過剰治療」を明確に分け、不安の払拭や被ばくとの因果関係の究明のため、現状の甲状腺検査を継続すべきであり、子どもたちにどのようなことが生じているのかいないのかを、医療には追及する使命があるとして、網羅的な検査継続などを要請している。
それぞれ、受理後1週間以内の回答を求めている。家族の会は、福島県の検査で甲状腺がんが判明した子どもや家族を中心に構成され、2016年3月に発足した。
3月の発足会見で筆者撮影。右から千葉親子、河合弘之両代表世話人、牛山元美・世話人 |
まさのあつこジャーナリスト
ジャーナリスト。1993~1994年にラテン諸国放浪中に日本社会の脆弱さに目を向け、帰国後に奮起。衆議院議員の政策担当秘書等を経て、東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。著書に「四大公害病-水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害」(中公新書、2013年)、「水資源開発促進法 立法と公共事業」(築地書館、2012年)など。
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