2016/09/26

寄り添う姿勢

2016年9月26日 毎日新聞
mainichi.jp/articles/20160926/dde/041/070/059000c

民間の「3・11甲状腺がん子ども基金」が設立され、呼びかけ人に小泉純一郎元首相ら約60人が名前を連ねる。「なぜ、今?」。東京都内で今月、記者会見と設立記念シンポジウムがあり、足を運んだ。基金理事の河合弘之弁護士が説明した。「患者とその家族がお互い顔も名前も知らずに分断され、逼塞(ひっそく)した生活を送っているからです」

福島第1原発事故当時、福島県で18歳以下だった174人が、がんまたはその疑いと診断された。全国的な統計に基づく推計に比べ「数十倍多い」との指摘もあるが、事故との関連性を巡り専門家の間で見解が異なる。この子らが再発と転移、将来の経済的負担や結婚での差別におびえる。「今後どうなってしまうの?」。シンポでは告知された子のメッセージが紹介された。

30年前のチェルノブイリ原発事故で治療にあたった医師の菅谷昭さん(長野県松本市長)によると、ベラルーシでは子どもたちを年1回、非汚染地域で保養させる事業や検診を国が続けている。被災者に寄り添う姿勢の何という違いだろうか。【沢田石洋史】

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