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原発事故発生時に18歳以下の県民を対象とした甲状腺がん検査を巡り、検査規模に関する要望が相次いでいる。検査の在り方などを考える「県民健康調査」検討委員会は14日に会合を開き、見直しの検討に着手するとみられる。震災から5年6カ月を経て、甲状腺検査は転換期を迎えている。
検査に関する検討委の報告(3月末現在)では、「がん」と確定したのは2011(平成23)~13年度の1巡目検査で101人、14~15年度の2巡目検査は30人で、「がん疑い」は計41人(手術で良性と確認された1人を除く)。検討委は「原発事故の影響とは考えにくい」と従来と同じ見解を示している。
チェルノブイリ原発事故と比べて線量がはるかに少ないことや事故当時5歳以下の子どもからの発見がないことなどが主な理由だ。3月末現在の報告では、事故当時5歳の1人が「がん、またはがん疑い」と診断されたが、検討委は「現段階で放射線の影響かは判断できない。科学的な分析が必要」としている。福島医大の研究チームは外部被ばく線量の異なる3地域で小児甲状腺がんの見つかる割合を比べ、現段階で地域による違いは見られなかったとする調査結果を公表している。
県小児科医会は7月の総会で、検査の一部見直しを含む再検討が必要との声明を採択。同会独自の検討委の設置を決め、検査の在り方に一石を投じた。
同会は8月、県に検査規模の縮小も含めた見直しを要望。大神(おおが)和広会長は、検査規模を縮小しても放射線被ばくによる影響の有無などは判断できるとの認識で、科学的な証明ができるような検査体制の確立や同意に基づく検査の実施などを求めた。
一方、「検査で甲状腺がんが見つからなければそれでいい。"過剰検診"のデメリットはない」として、「311甲状腺がん家族の会」は8月、県に検査規模の拡充を求めた。検診率の向上や検査期間の短縮、対象年齢の拡大などを求め、「できるだけ多くのデータを集めて対策を取るべき」と訴えている。県は「さまざまな意見を踏まえて今後の県民健康調査検討委員会で議論していきたい」との見解にとどめている。
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