2016年9月17日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/050/068000c
自転車競技女子の米国代表、オクサナ・マスターズ(27)は生まれつき手足が変形している。1986年のチェルノブイリ原発事故で放出された放射性物質による汚染が原因と言われている。生後すぐ親に捨てられ7歳まで孤児院にいたが、米国人の養母に引き取られ、障害者スポーツを通じて生きがいを見つけた。
スポーツ、私の生きがい
マスターズは両手でペダルをこぐハンドサイクルという3輪自転車の選手。14日の20キロタイムトライアルで出場10選手中5位、15日の45キロロードレースで出場6選手中4位だった。悔やまれるのはロードレース。2〜4位が同タイムの激戦で、ラストスパートの競り合いに負けた。
「4位という順位ほど惨めなものはない」との言葉にメダルへの執念がにじむ。パラリンピック計4個目のメダル獲得は、東京大会までお預けになった。
マスターズは1個目の銅メダルを4年前のロンドン大会で手にした。ただし競技は男女2人乗りのボート。13歳で始めたが、背中を痛めて続けられなくなり自転車に転向した。
2年前のソチ冬季大会はクロスカントリースキーに出場し個人2種目で銀と銅のメダルを獲得した。「スポーツが私の生きがいだから」と言う。「手足がなくたって、耳が聞こえなくたって、目が見えなくたって、命はまだ残っている」
チェルノブイリの事故から3年後、約300キロ離れたウクライナ西部の街に生まれた。腎臓も一つしかない。渡米後に両脚を膝上で切断する手術を受け、義足で歩く。米スポーツ誌でヌードを披露し話題にもなった。
福島第1原発事故の被災者にも思いを寄せる。「非常に不幸な出来事だった。でも、希望を見いだして生きてくれると願っている」
【リオデジャネイロ朴鐘珠】
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